■コーチングスクールで学んだ「見ず知らずの人に声を掛ける方法」

前回は、『鬼滅の刃　遊郭編』第9話「上弦の鬼を倒したら」を観て、「知を混ぜる」ということについて書きました。

・外なる知恵と内なる知恵を混ぜる。
・新たな知と古（いにしえ）の知を混ぜる。
・「外なる新たな知」と「内なる古の知」を混ぜる。

など、知をミックスすることが「アイデア創出法」の基本であるということを観てきました。

私にもちょっと似たような体験があります。

コーチングのスクールに通っていたときのことです。その日は午前中に、見ず知らずの人に声を掛ける方法を学びました。

・相手の関心（事）に関心を持つ
・共通点を探す
・好印象を受けた外面から褒めていく
・他人の自己開示の量は、自分の自己開示の量より少ないものと思え
・自己開示しなければ、共通点は見つかりづらい

などのことを学び、昼休みに課題が出ました。

「昼休み時間の間に、初対面の人とどれだけ話ができるかチャレンジしてきてください。何人と話すことができたか教えてください」

そんな課題が出たのです。早速学んだことを実践してみましょうということでした。

スクールは赤坂にあり、ランチタイムには赤坂の食堂やレストランがあります。スクール生は、2～3人ずつランチに出かけて行きました。

食堂に入ったら、店員さんに声を掛けるのは必須です。笑顔で挨拶をして、お名前を聞いたり、接客に感謝の言葉を述べたりしました。隣に座った見ず知らずの人にも声を掛けます。

「このお店のうどん、うまいですねえ」

とにっこり話しかけます。相手の方は、「ええ」とか「そうですね」とか言いながら笑顔を返してくれます。

食事が終わったら、赤坂サカスに繰り出します。赤坂サカスには、いろいろなショップがあります。お土産のショップに入ると、当然ながら土産物を物色している人がいます。何を買おうか考えている人の傍らに寄り添って、

「そのキーホルダーいいですね！」

などと声を掛けます。ちょっとビックリはされますが、その人もいいと思っているものを、こちらから「いいですね！」と声を掛けるので悪い気がしないようです。そこから話が弾んだりします。

オブジェやビルなどの写真を撮っている人がいたら、カメラマンを買って出ます。その人も入れた風景写真を撮ってあげながら会話をします。

「どちらからいらしたんですか？　へえ、そうなんですね」

そうやって人数を稼いでいきました。

クラスに帰って、人数を確認してみたら、その日は、私が一番多くの人に話しかけることができていました。

■身近にある「内なる古の知」

見ず知らずの人に声を掛けるなんてことはやったこともありませんでしたし、もともとそんなことを考えたこともありませんでした。

しかし、私がその日、誰よりも多くの人に声を掛けることができたのはなぜでしょうか。

実に「外なる新たな知」と「内なる古の知」を掛けあわせて、自分らしい新たなやり方を創意工夫したからなのです。

見ず知らずの人に声を掛ける方法は、コーチング・スクールで「意図して学んだ知識」です。「外なる知」であり「新たな知」です。

これに私は、「内なる知」を掛け合わせました。

それは、おしゃべり好きな母の意識状態をモノマネすることでした。

母は、道ばたを歩いていると誰彼問わず声をかけては立ち話をするタイプの人間です。どこにでもいる「お話好きの主婦」です。近所の人とコミュニケーションを取り、常に情報収集しているのです。

私は、

「母だったら、こんなときどういう反応をするだろう？」

と考えて行動したのです。

赤ちゃんをみたら、必ず「あら、かわいいわねえ」と声を掛けるだろうなあとか、美味いうどんを食べたら「あら、おいしいわねえ」と口に出すだろうなあとかと考えて、それを実行していったのです。モデリングと言えばモデリングです。モノマネと言えばモノマネであり、なりきったと言えばなりきったのです。

当時の自分であれば、わざわざ知らない人に声を掛けたりすることはありませんでした。

知識で、見知らぬ人に声を掛ける方法を学んだとしても、まだぎこちない。しかし、子どもの頃から見てきた母の姿を真似することならばすぐにできました。学んだ知識とすでに身につけていた知恵とを混ぜて使うことで、スムーズにコミュニケーションが取れるということがわかったのです。

■「外なる新たな知」もいいけれど「内なる古の知」も大切に！

私たちは、誰しも、すでに身につけていて、しかもそのことに気づいていない知恵を持っています。新しいことを学んだり、新しい知識を仕入れたりしたら、単にそれだけで使おうとするよりも、すでに身につけたものとミックスしてみると、意外にうまくいくことがあるものです。

このミックスする、混ぜ合わせるというのがまた、「アイデア創出法」の基本です。

既存の知識と特定ジャンルの知識を掛け合わせることで、新しいアイデアは生まれるのです。

『鬼滅の刃　遊郭編』第9話「上弦の鬼を倒したら」の中の炭治郎は、まさに戦いの最中に、「アイデア創出法」を実戦するとともに、呼吸と剣技の秘密について謎を解いてしまったのですね。

来週の『鬼滅の刃』も楽しみです。

『鬼滅の刃』に学ぶ「夢を叶える8つの力」 - 株式会社ぱる出版書籍紹介雇用が流動化する中で、コロナ禍もあり、人々が分断され距離を置くようになり、世の中の矛盾や理不尽さに涙を呑む人の増えている。社会現象ともなっている『鬼滅の刃』に共鳴する人が増えているのは、その現れでもある。『鬼 …

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「内なる知」をおろそかにしていませんか？