■『鬼滅の刃　遊郭編』第9話

昨日は『鬼滅の刃　遊郭編』第9話「上弦の鬼を倒したら」が公開（放送・配信）されましたね。

音柱・宇髄天元と3人の妻達の関係がしっとりと描かれ、同時に、炭治郎・善逸・伊之助らの連繋プレーが描かれていました。

那田蜘蛛山の戦い、無限列車での戦いを経て、今回の吉原遊郭での戦いとなったわけですが、彼らの役割分担や連繋プレーが徐々に形成されていくところも見所ですね。

■ヒノカミ神楽と水の呼吸

さて、今回考えてみたいのは、連繋プレーではなくて、炭治郎の気づきについてです。炭治郎は、戦いの最中にいろいろなことを考え、言葉にしてくれます。

中でも興味を引いたのは、炭治郎が闘っている最中に、家伝の「ヒノカミ神楽」と、鱗滝さんに学んだ「水の呼吸」を混ぜるということに気づく場面でした。

「呼吸を混ぜるんだ　水の呼吸とヒノカミ神楽と合わせて使う。そうすれば、水の呼吸のみよりも攻撃力があがり、ヒノカミ神楽よりも長く動ける！」

物語が進む中で「呼吸の型」の謎は、徐々にその正体を現してくるのですが、どうも「日の呼吸」が元になっているらしいが、いくつもの「呼吸の型」に分派していった理由を、炭治郎が悟る場面でした。

「今まで鬼と闘ってきた剣士たちは、皆そうしてきたはず。自分に合わせた呼吸と剣技。もっとも自分の力が発揮できる形に変化させ、考え抜いたから、呼吸は分かれて増えていったんだ！」

■基本と応用

どんな芸事も基本は基本として教わることでしょう。しかし、その技を体現する人は、1人1人体格も性格も力量も異なります。同じことをやろうとしても、その技を扱う土台が違うのです。

その技を実効性のあるものに磨き上げるためには、創意工夫と試行錯誤が必要です。基本に忠実に学ぶ中で、自ずと応用変化が生まれてくるものなのです。

日本には古来、様々な武芸流派が生まれてきました。現代に至っても、なお枝分かれしながら進化しています。武芸のみならず、華道でも書道でも、1人1人の創意工夫が、新たな一流一派を生んでいくものなのです。

後に現れる上弦の鬼・黒死牟の悩みや嫉妬に対する答えを、この瞬間に炭治郎はかいま見た瞬間だったように思えます。この悟りによって、炭治郎の剣技はレベルアップしました。

■混ぜて使えば新しい技が生まれる！

この「水の呼吸」と「ヒノカミ神楽」を混ぜて使うという発想は、私たちも学ぶことができます。まさに「水」と「日」、陰と陽を混ぜ合わせる発想です。本来はまったく反対の性質のものを混ぜ合わせて新しいものを生み出すというのは、男女、おしべとめしべに留まらず、あらゆるものを生み出す基本原則だと言ってもいいでしょう。

陰陽だというのは大前提としても、もう少し細かく見ると、もっと実践的な知恵を導き出すこともできます。

「水の呼吸」は、炭治郎が鱗滝さんから学んだ鬼殺隊の柱に伝わる呼吸と剣技でした。それは、求めて学び、身につけたものです。

対して「ヒノカミ神楽」は、先祖から脈々と受け継がれてきた伝統の技。そもそも剣技であるとも知らず、神楽舞のやり方として父より学んだものでした。炭治郎にとっては、いつの間にか身につけていた家伝の技術です。

「水の呼吸」は外なる知。
「ヒノカミ神楽」は内なる知。

そんなふうに捉えてみてはいかがでしょう。あるいは

「水の呼吸」は、新たな知。
「ヒノカミ神楽」は、古（いにしえ）の知。

外と内を混ぜる。
新と古を混ぜる。

たとえば、学校で学ぶ知識、あるいは社会に出て学んだ知恵、セミナーや本で学んだ知識というのは、「外」で「新」の知と言えるでしょう。

その一方、家庭では幼少の頃から親兄弟親族から受け継ぎ、しつけられてきた知を身につけているはずです。それは、「内」で「古」の知です。

学校で学んだ知識や社会から学んだ「外」で「新」の知を使っても、今ひとつ成長できないと感じたら、そもそも家庭で親や一族から学んだことはないかと考えてみてください。すでに持っている「内」で「古」の知を、後から学んだ「外」で「新」の知と混ぜ合わせるのです。

そうすると、自分オリジナルの発想を得ることができます。

次回も引き続き、「知を混ぜる」ということについて考えていきます。

（つづく）

『鬼滅の刃』に学ぶ「夢を叶える8つの力」 - 株式会社ぱる出版書籍紹介雇用が流動化する中で、コロナ禍もあり、人々が分断され距離を置くようになり、世の中の矛盾や理不尽さに涙を呑む人の増えている。社会現象ともなっている『鬼滅の刃』に共鳴する人が増えているのは、その現れでもある。『鬼 …

pal-pub.jp