オレ達名古屋人が愛する食べ物の中に、鉄板イタリアンなるものがある。
よくレストランでハンバーグなどが乗ってくる鉄板を熱して、そこに溶き卵を敷き、
ケッチャップで味付けしたスパゲッティを乗せた料理だ。スパゲッティの具は
ウィンナー(赤いのが通とされている)タマネギ、ピーマンと言った所で、そう、
関東で言うナポリタンを鉄板に乗せたと思えばいい。
喫茶店でジュージュー音を立てて運ばれて来た鉄板イタリアンには、当然、
タバスコとパルメザンチーズが添えられており、こいつをたんまり振って食べる。
オレがガキの頃はスパゲティと言えば、ミートソースかナポリタンの事で、ピザと
言えばミックスピザだった。それがいつの頃からかスパゲティと呼ぶ奴は居なく
なり、名前はパスタと変わり、種類もわらわらと増えた。おまけにイタ飯屋じゃ、
タバスコなんて出て来た事が無い。
最初トロトロだったタマゴはやがてスクランブルエッグ状になって麺に絡み
混然一体となる。甘いケチャップの味にピリリと感じるタバスコの刺激、
アルデンテなど全く無視した作り置きスパゲティの食感、その麺が鉄板に
こびり付き、オコゲとなってパリパリと新たな食感のスパゲティに進化を遂げる....
ああ、カルボナーラが何だ!ぺペロンチーノがどうしたホイ!わしらには
鉄板イタリアンがあるがや!
しかし、昨日オレは某ゴルフ場で新たな鉄板スパゲティの世界に遭遇した。
鉄板カレースパだ。鉄板イタリアンほどの華やかさは無いがこれは美味かった。
遠い昔に読んだ、牛次郎 ビック鍵コンビが描く漫画、包丁人味平でその存在は
知っていたが、実物にお目に掛ったのは初めてだ。レストラン渾身の奥深い味わいの
カレールーにとろける様に煮込まれた牛肉、コシとは無縁の給食のソフト麺を髣髴と
させる入れ歯に優しい食感、そこにはオレが求めていたスパゲティが有った。
これは今度家で作ってみよう。ああ、今思い出してもヨダレが出る。
えっ、スコア?人が良い気持ちで反芻してるんだから、野暮な事は聞かないでくれ。