他県への往来も可能になった。
よっしゃ、一発お泊りでツーリングにでも行くか！
行くとしたらどこって、アンタ、そりゃ、この時期は涼しいお山の方でしょ！
走るなら、やっぱり中央道がいい、長い恵那山トンネルを抜けて長野に入った
途端に、気温が３℃位は違うもんね。シールド越しに見る空の青さが増し、空気
まで澄んで感じるのは、気のせいでは無いだろう。
中央道は飯田辺りまで山間を縫って走るので、コーナーも多く退屈しない。
松川インターを過ぎると左手に木曽駒ケ岳が見えて来る。近頃すっかり登山は
ご無沙汰だけど、あそこに登ったのは何年前だ？千畳敷カールまではロープ
ウェイとは言え、高所恐怖症のオレがテントを担ぎ宝剣岳とかよく行ったものだ。
長野道の岡谷で高速を下り、諏訪湖の湖岸を走って142号に入った。和田峠を越え、
長久保で152号に移り、上田に着いたのは昼過ぎだった。
長野道で更埴ジャンクションまで走り、上信越道でも良いのだが、単調な高速より、
やはり信州の長閑な風景を眺めながら下道を走る方が楽しい。
昼飯は草笛でくるみ汁の天ざるを食う。相変わらず蕎麦の盛りが良く、腹が苦しい。
食事を済ませ、406号に入りGSを走らせる。鳥居峠を越え嬬恋に入れば群馬県だ。
万座や草津、四万と魅力的な温泉の看板が目に付くが、我慢して走り続け、
ようやく今日の宿、法師温泉長寿館に着いたのは16時を回った頃だった。
早速、映画の撮影で上戸彩ちゃんが入った混浴風呂で汗を流す。え～と、彩ちゃんが
入ったのは、エへへへへへへへへへ、この場所だったな。
夕飯は素朴だが身体に良さそうな山の幸がふんだんに供された。この山ふぐって？
あぁ、そう、ナマズなの...ならナマズって書かないとナマズに失礼じゃね？
美味しい料理を肴についつい、岩魚の骨酒の盃がすすんでしまった。
部屋にはエアコンが無いが、網戸を通して入って来る風が涼しい。今日は久々の
ツーリングで少し疲れたので、もうひと風呂浴びて早く寝てしまおう。
旅館の朝飯はオレにとって１番の楽しみだ。
家では毎日毎日ベーコンと目玉焼きしか食わせて貰えない。しかもそれは
オレがセツ子の分と一緒に自分で作っているのだ。
朝からこんなに品数が並ぶと、あぁ、贅沢してるのぉ～って、気がする。
9時過ぎ、身支度を整えて宿を出る。今日は上毛高原を走って日光に抜けよう。
それから南会津を通り、秘境只見を経て泊りは魚沼の栃尾又温泉だ。この道も
最高に気持ちいい。でも、その前にここまで来たのだから、永井食堂に寄って
もつ煮込みを食わないと、アレを食わずには群馬を出られない。
熱々のもつ煮込みに刻みネギを乗せ、七味を振る。鼻息が荒くなり、口の中は
我慢汁でいっぱいだ。
あぁ、もう待ちきれない！もつをごっそり箸でつまみ口に放りこむ。噛むとコクの
ある味噌の旨味が、これでもかと広がる。臭みなど微塵も無い。すかさず丼に盛ら
れた白飯を夢中で頬張る。あぁ、何でだ！どうしてこんなに柔らかくて美味い？
けしからんキサマ、オレをデブにする積りか！
と、まぁ、こんなツーリングもいいなと思って妄想している内に、
どうしても永井食堂のもつ煮込みが食いたくなったので、ネットで注文したら、
翌日に届いた。食う為にツーリングをするオレにとって、行かなくても食えてしまう
のは嬉しいけど悲しい。
