ある人が書いた記事を読んだ。
彼は「酒をやめられない最大の理由は、無意識の中に“酒は良いもの”というイメージが深く刷り込まれているからだ」と言う。
そしてその「根底のイメージ」を消去すれば、飲酒欲求そのものが消え、一生楽になるという。
理屈は分かる。
なるほど、と思う部分もあった。
自分の価値観の多くが、環境や情報に影響されて形成されたものだという点も、否定はできない。
けれど、それでも私は思う。
人の無意識や感情は、そんなに一気に書き換えられるものだろうか?
「完全に消去できる」と断言されると、何か置いてきぼりにされるような気がする。
もちろん、彼の言葉に救われた人もいるだろう。
でも私は、自分の中の「矛盾」や「迷い」と、もう少し一緒にいたいと思ってしまう。
無理に正しさに寄せるより、混乱の中でも自分の足で立つことのほうが、今の私にはリアルだ。
「こうすれば楽になれる」と語る声は力強い。
それを信じたくなる瞬間もある。
だけど、どこかで「その声に自分を預けてしまってはいけない」と思っている。
なぜなら、それもまた新たな“信仰”になりかねないからだ。
自分を縛るものは、自分で気づいて、少しずつほどいていきたい。
誰かの正解に飛びつくのではなく、私が、ゆっくりと確かめていきたい。