厚生労働省の「保育所保育指針解説」に、「幼児期においては、保育所や地域の行事などに参加したりする中で、日本の国旗に接し、自然に親しみをもつようにし、将来の国民としての情操や意識の芽生えを培うことが大切である」という一文があります。
 

 2018年に発表された際には国会でも揉めた箇所らしいのですが、ここは文部科学省の「幼稚園教育要領」の記述に合わせて改訂したもので、更に遡れば、2006年の教育基本法改正に合わせたものですから、実は今更言っても仕方がないことなのです。昔から厚生労働省は、保育所運営に関して文部科学省の幼稚園運営と足並みを揃えてきたので。

 ただ、「国民としての情操」の意味でまた悩むことになってしまいました。

 片っ端から調べていると、古いのですが、1941年に施行された「国民学校令施行規則」に、「国民的情操」という文言があることが分かりました。


 以下は同規則の条文です。
第一条二 国民生活に必須なる普通の知識技能を体得せしめ情操を酵化し健全なる心身の育成に力むべし
第十三条 芸能科は国民に須要なる芸術技能を修練せしめ情操を酵化し国民生活の充実に資せしめるをもって要旨とす
第十四条 芸能科音楽は歌曲を正しく歌唱し音楽を鑑賞するの能力を養ひ国民的情操を酵化するものとす
第十五条 芸能科習字は文字書写の技能を修練せしめ鑑賞するの能力を養ひ国民的情操を酵化するものとす
第十六条 芸能科図画は形象を看取し且作品を鑑賞するの能力を養ひ国民的情操を酵化し創造力を涵養するものとす


 ここから考えますと、国民的情操とは「国民生活に必要な知識技能を学ぶなかで育つ情操」と言い換えられそうです。

 ところで、「情操」という言葉は、明治初期の心理学界で「涵養すべき人間の最高位の情」を表す"sentiment"(英・仏語), " feeling"(英語),"Gefuehl"(独語)の訳語として試されたのですが、その後使われなくなり、教育学界に用語や徳目として残ったのだそうです。

 今ひとつすっきりしないのですが、 「国民としての情操」とは、「日本人として」正しいとか善いとか美しいとか畏れ多いとか思う気持ちと理解しておくことにしました。
 ふるさとを大事にしようね、ということなのかなあ。