肺炎で入院しておりましたが17日に退院しました。ではその後普通に戻るかというとなかなかそうもいかず、布団から出てもソファーに座ったまま動けないとか、リハビリと思って外を歩くのにも歩く速度が異常に遅いとか、そんな感じでおりました。ということで、先週も当欄をお休みしてしまい、大変失礼しました。

 で、着実に回復はしているものの、そのペースは極めて遅く、今日段階で、元気な時は普段の疲れてる日ぐらいまで復活してきました。不思議なことに、半日ペースぐらいで元気になったり元気が無くなったりするのです。会社にも出勤し始めましたが、普段40分ほどの通勤時間は電車の座席に座ることもないのですが、今は体がきつくて座らずにはいられないような状況。でも、登れなかった階段が登れるようになったり、着実に回復しております。ということで、本日は文章も書けるようになっております。


 さて、日経平均は足元で大幅上昇しております。年末、あるいは年初に、今年の日経平均の見通し、というものを金融各社が出すと思うのですが、新春株式講演会の前に、すでに予想レンジを越えてしまったりしているケースもあるのではないでしょうか。お気の毒様です。


 株価変動の値幅が大きいので、日経新聞あたりもなんだか値動きが荒いというようなことを書いてしまっていた記事も見かけましたが、数学以前に算数もできない人に記事を書かせてはいけませんね。ということで、ちょっとデータがまとまって取れませんでしたが、とりあえず20211月以降の日経平均の日足データをとって前日比を見てみたのですが、20211月以降でさえ、足元の前日比騰落率はベスト10にも入りませんね。今年110日の値上がり率が、かろうじて第36位といったところです。たかだか20211月からですからね。しかし、足元では連続で値上がりしておりますので、5日前比の値上がり率はどうか、というのもとってみました。そうすると、112日の5日前比が+6.88%で第4位です。まあまあ健闘していますね。しかし、1989年の史上最高値を抜こうか、というところまで来ているわけですから、本当は1985年以降あたりのデータでランキングを取りたいところです。もしとったら、おそらく全く上位には入れないだろうと思います。ちなみに2021年以降のランキングだと、5日前比の値上がり率では2022年の3月が上位に並びます。


 ということで、日経平均が2万円なら、1日に1,000円上がれば5%の値上がりですが、34,000円だと1,000円上がっても+2.9%にしかすぎません。逆に言うと、日経平均2万円で2.9%の値上がりだと580円ですね。このあたり、値幅だけ見てボラティリティが上がっているとか値動きが激しいとか、そういうことを言うのはやめてほしいところです。


 基本過ぎて退屈な話を失礼しました。さて、足元の日経平均の動きは122日号で書いている通りの展開となっており、個人的にはようやく予想が当たってきたな、と思っているところです。昨年の後半は一時期外れまくっていたので。


 今後ですが、米国大統領選はニュースとしては大変注目されるものではありますが、当欄で書いたように、財政出動や減税の話が出てこなければ、相場への影響は限定的と思います。財政出動や減税の期待もないので、もし話がでなくても失望はありません。逆に出てくるようだと株価にはプラス材料となると思います。もちろん、ここからの財政出動は一段のインフレを招く可能性が極めて高いと思うので、金利は相当上がってしまうと思います。株価が景気を取るか金融引き締め(の悪材料)を取るかは微妙なところで、景気拡大期待で株価にプラスというのが基本シナリオではありますが、やや注意は必要と思います。が、おそらく財政出動も減税も打ち出されないだろう、と見ています。


 米国のインフレ率は徐々に落ち着くでしょうし、ウクライナやガザの紛争も、株価に与える影響は限定的と思います。大きすぎてつかみきれないのが中国の景気減速とデフレです。これは、日本の株価が弱含んだ時にその理由としてあげられる可能性はあるように思います。一般的に、日本の景気は外需、一番は米国景気ですが、中国景気の影響も受けると考えた方がいいためです。しかし、足元の日本株の買い材料はデフレ脱却による日本の内需の回復と見ていいと思います。したがって、中国景気の減速は日本株の買い材料のど真ん中ではないため、大きな悪材料とはならないだろう、と楽観的に見ています。


 影響があるかも、と思うのは、米国債のイールドカーブです。今、米国債の長短金利が逆ザヤとなっています。具体的には、2年債利回りが10年債利回りよりも高くなっています。個人的には、長短金利差は金利やインフレ見通しの結果であって、それ自体が景気の先行きを示すものではないと思っています。しかし世の中には、逆イールドだから景気が悪くなる、と本気で信じている人が多いようです。どうかしてる、と個人的には思っています。


で、足元のインフレ率は今年は一段と低下してくると思います。となれば、短期金利は低下するでしょう。長期金利は、そうはいってもインフレの水準自体は以前より切りあがったところで当面は定着するだろうと見ているので、さほど下がらないと思います。こうして、長短金利の逆転は間もなく解消されると思います。言い方をかえると、足元の米国2年債はお買い得だと思います。長短金利差が順イールドになれば、イールドが景気の先行指標と信じる人たちにとっては景気回復のサイン、ということになると思います。で、彼らが株を買う理由になると思います。逆に言うと、そんな人たちが株を買ったところが天井となるかもしれません。


 日本株は長らくバリュエーションが安く置かれていましたが、インフレ率の水準が切りあがれば是正されると思います。PER10倍が12倍になれば、EPSが変わらなくても株価は2割高となります。日経平均35,000円の2割高は42,000円です。計算としてはそんな計算でいいと思います。