日経平均の一目均衡表では、12月11日頃から基準線が大幅上昇となる見込みです。現状は、日足ローソク足は転換線の上にあり、判断としては強気局面といえますが、ここ最近の動きを見ると、後付けで言えばそれっぽい説明はでききそうですが、ちょっと均衡表から先の予想を当てるのは難しい気がします。ようするに、たいしてはまっていないように思います。
この手のチャートは、下がった後の戻り相場では日柄や価格のめどを立てやすいのですが、新高値を抜く、あるいはボックスのレンジを抜けるところというのはちょっと苦手な気がします。下げ幅の何%戻し、といったフィボナッチの計算は当たるときはよく当たるので、あるいは日柄の対等数値とかの方がそれっぽい話ができそうに思います(が、そちらは今見ていなくてすみません)。
チャートパターンでは、6月中旬以降は拡大三角形(ブロードニングフォーメーション)を形成している、と言っていいと思います。ボラティリティの上昇とともに売買代金が増加していく様子は、まさに教科書通りといえるでしょう。市場の迷いを反映しているとのことですが、まあその通りでしょうね。通常の先行きが狭くなっていく形の三角持ち合いは、三角持ち合い終了後の動きとしては基本的にそれ以前のトレンドを継続する、とされますが、拡大三角形はそういうわけでもなさそうです。ただ、株価の上限下限が支持線ではっきりわかるので、テクニカルを信じて売り買いする人には読みやすいチャートパターンと言えると思います。
そういう点で、先週も書きましたが、この高値水準というのは絶好の売りタイミング、ということになります。上に抜けた場合は、まずはだまし(一瞬抜けてトレンド開始と思われるが、実はそうならないケース)の可能性を疑いますが、ポジションを持っていた場合は早めの損切りが無難だろうと思います。中長期で長いトレンドを取るつもりならともかく、相場のボックスの上下をとらえようというやり方の場合は、やはりこまめにロスカットをするしかないのではないか、と思うわけです。
しかし、三角持ち合いやフラッグのパターンもそうですが、一見弱そうなケースが逆に強気パターンだったりします。そういう意味で、足元の拡大三角形は、上値は横ばい、下値は切り下げとなっており、これは一見弱く見えますので、実はこの後のトレンドは上、となるのではないかと個人的には期待しています。
海外投資家は来年の賃上げに注目している、というコメントも見られますが、今月日経新聞の「私の履歴書」は黒田元日銀総裁ですが、黒田さんもデフレ脱却には賃金の上昇が重要と書いています。賃上げの状況は、ある日にバシッと出る材料ではないのである意味すっきりしませんが、個人的には来年の賃上げは好調で、株高とともに、株高を正当化する理由としてあげられるようになるだろうと予想しています。
結局のところ、賃上げは会社としてはコスト増になりますが、一般的に製品、サービスの販売価格に対する人件費の割合は、業種にもよりますがめちゃくちゃ高いわけではないです。したがって、製品、サービス価格の値上げで吸収され、むしろ利益は増加します。逆に言うと、そうした循環に入れない会社は避けた方がよい、ということになると思います。
また、海外の人件費が上昇しており、日本国内の人件費が相対的に安くなっています。海外の安い製品の流入が日本のデフレの要因の一つとなっていましたが、その結果、国内賃金が低く抑えられる、という効果もあったように思います。しかし、そうした大きなトレンドは終了するとともに、優秀な人材を取るためには給与を上げないと海外企業(あるいは国内他社)にとられる、という流れになってきていると思います。業績を伸ばしていける企業の株価にとって、いい環境だと思います。PERの上昇も見込めると思います