日本の連休中にいくつか重要イベントが片付きました。順不同で書き上げると、ムニューシン米財務長官らの訪中では重要な合意は無し、協議継続となりました。FOMCは予想通り利上げは無し。6月の利上げは濃厚というところ。週末の4月の米雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比164,000人増加と市場予想は下回りましたが、ぼちぼち完全雇用に近づいているとみられることから、特段問題はないというか、雇用は堅調と見ていいと思います。また、失業率は0.2ポイント改善して3.9%に。これは約17年ぶりの低水準ということですから、タイミングが良かった面もあるにせよ、トランプ大統領の経済政策のおかげもあるのでしょう。賃金は前年比2.6%の伸びと限定的。ということで、景気は堅調だがインフレ加速に対する懸念はひとまず高まらずにすみそうです。


 マーケットは、NYダウは日本の連休前と比べておおむね同じ水準、ドル円は1円程度の円高ということでいでしょうか。CME日経先物4日終値は22,455円。大証の2日終値は22,420円ですから、おおむね横ばいでした。マスコミの記事によると、ここ10年ぐらいは5月の連休明けの日は相場変動が大きいとのことでしたが、今回はCMEを見る限り大荒れはなさそうに見えます。


 57の週は決算発表がピークとなります。これまでのところを見ていると、発表直後に値が動くものもありますが、主要銘柄では発表を受けて新たなトレンドに移行したようなものはあまりない印象です。今期予想を減益とする企業が散見されますが、9日発表予定のトヨタもおそらく数%程度の減益予想を出してくると思います。このあたりに対する市場の反応が注目点でしょうか。今のところ、その程度の会社予想なら今さら売られることはないように思います。本当は悪材料出尽くしで買われるぐらいだといいのですが、どうでしょう。


 ここ1ヶ月ほどはTOPIX予想EPSは増加しておらず、そういう意味では株価が横ばいの間に割安感が進むということにはなっていません(株価が横ばいで、その間に予想利益が増加すれば株価の割安感(ここではPERの低下)が高まるがそうはなっていないということ)。しかし、予想集計機関によりますが、IBESの予想あたりだとおそらくPER13倍台前半になっていると思われ、これは歴史的にはけっこう低水準で、ここから特に理由もなく日経平均が2,000円くらい上がっても全然問題ないレベルです。


 日経平均のチャート的には、日足で直近の窓がある22,620円あたりが節目となっており、ここを抜ければ24,000円突破は時間の問題と見ていいと思います。うまくすれば7日の週の後半に向けて抜いてくるのではないかと見ています。


 2月以降の株価の低迷は、米国利上げに対する景気減速懸念が悪材料の本命だと思いますが、それに加担しているのが中国景気減速とiPhone10の不調による電子部品の調整だろうと見ていましたが、ここにきてようやく13月期の景気が減速する恐れがあり、その理由の一つが電子部品の不調である、という報道が見られるようになりました。私が気づくようなことはみんな気づいているだろうと思っていましたが、必ずしもそうでもないことが世の中にはあるようです。あとは中国の景気減速ですね。


 ただ、電子部品の調整は間もなく一巡するとみています。というか、2月頃から、13月調整、46月から回復と見ていましたので、その予想を変えていないということです。ただし、回復の予想にはあまり根拠がありません。在庫調整がその辺で終わるだろうという見通しです。3月時点ではまだ在庫が積みあがっています。一方、中国の景気は、中国共産党の会議ですでに懸念が認識されており、構造改革とともに景気のテコ入れははかるということになっているようなので、まあ大丈夫だろうと思います。


 日経平均は326日に底入れしたという見方は変わりありませんが、世間はまだまだ疑心暗鬼のようです。みんながみんな強気の時には相場は8合目を超えていると思うので、今の状況、たとえば日経新聞あたりが弱気を書いているうちはまだまだ大丈夫だろうと思います。


 個別銘柄ではコマツに注目していましたが、決算は慎重なものとなりました。株価は発表後に少し上がってたものの、また下がっています。米国キャタピラーが原材料価格の上昇を理由に、この13月期が利益率のピークと説明したのも上値を重くしている理由だろうと思います。しかし気づいてしまったのですが、ここ数日間の上昇と下落は米国長期債利回りと連動していて、つまり、米国長期金利の上昇とともに株価が上がり、下落とともに下がりました。あれ、と思い、ここ23年のコマツの株価を東京三菱と比較するとなんと、ほとんど同じ波動ではありませんか。変化率こそ違いますけど。金利の上昇下降で一喜一憂する銀行株と、中国景気に一喜一憂するコマツ株と結局は同じ値動きって何のことやねん、と思った次第です。雰囲気で銘柄を選んではいけませんね。もっとも、今後は違う値動きをする可能性はあります。大型株はみな同じ、という考えもまた極端すぎるとは思います。