重心深度が生むクラブコントロールの難しさ
僕は普段、三浦技研のCB1008というアイアンを使っています。
バックフェイスの下2/5くらいはマッスル形状、
上3/5くらいがキャビティ形状になっており、
ソール幅は軟鉄鍛造キャビティヘッドとしては広い目。
重心角も5番で10度ほどあります。
因みに、最近チューンを承ったSRIXONやブリジストンなどのワイドソールデザインの軟鉄鍛造キャビティも5番で10~11度。
数年前までの一般的な軟鉄鍛造キャビチィに比べると1~2度くらい大きくなっており、それだけ重心が低くなり、かつシャフト中心軸から後方に深くなっていることを示す数値です。
昨日の同窓会ゴルフでは雨ゴルフが確定的だったので抜けの良い易しいアイアンをと思い
軟鉄ボディ+バネ板のワイドソール・ポケットキャビティ・ストロングロフト、というアイアンを持っていきました。
2年ぶりくらいにコースで使うアイアンです。
で、使ってみて率直に思ったこと。
なるほど、ソールの広さ+ロフトが立っているにもかかわらず球が上がりやすい重心設計はボールコンタクト(=芝面へのコンタクト、と言い換えても良いかもしれません)は寛容です。
ですが、ダウンスイングからインパクトまでに腕・身体に伝わる負荷量が明らかにCB1008のそれとは違ってとても大きく感じられ、
フェイスの戻し遅れによる右へのミスがいくつか出ました。
この現象が最も顕著に出るのが最もヘッドが大きく、シャフト中心軸からヘッド重心点までの距離が長いドライバーだと思います。
以下、右利きでの話になりますが、
アドレスとインパクトの時、フェイスはこれからヘッド(フェイス中心点)が描く軌道線に対して垂直です。
アドレス6時、ハーフウエイ9時、トップ12時として、
スイング中のフェイス中心点の軌道線とヘッド重心点の軌道線との位置関係に注目してみると7:30くらいまでのバックスイング1/4くらいまではヘッドの軌道線と重心の軌道線はほぼ一致しています。
重心距離の分、重心点が同じ軌道線上を先行して動きます。
9:00くらいまで上がるとフェイスはおおむね垂直になり(=フェイスの向きがヘッド軌道線に対して40度ほど開いた)、重心距離の分重心点の位置はフェイス中心点から離れて、この時点ではフェイス中心点軌道線と重心点軌道線は重心距離の分だけはなれた平行線の位置関係になります。
さらにトップまで上がった時、フェイス向きはヘッド軌道線と並行になり(=フェイスがヘッド軌道線に対して90度開いた)、重心点はフェイスの真下に来ている状態になります。
アドレス時点からトップまでのテイクバックの中で、フェイス向きはヘッド軌道線に対して90度開き、
ヘッド重心点はヘッド軌道線の下に潜り込むような軌道を描いたことになります。
ここから切り返すとき、フェイスをターンし始めようとするということはフェイスの下に来た重心点を時計逆回り方向に起こしてこなければならない力のベクトルが必要になります。
この回転ベクトルを生むための、または生むことを補助するための慣性力は切り返しの時点ではどこにも発生していませんから、人間が切り返しを始める時に作り出してやらなけれればなりません。
もし、これをせずにフェイスを開いたまま滑らすようにダウンスイングを起こしたら、フェイスの下にある重心点はその位置関係を変えないままダウンスイング方向に動き出します。
慣性力というのは一旦ある方向への力が加えられたらその方向へ(直線、回転を問わず)動き続けようとし、動かないもの(その方向への力が加えられていない)はずっと動かないでいようとする力です。
フェイス中心点と重心点が上下の関係になったままで平行に動き出せば、この重心点は永遠に回転しようとせず、すなわちフェイスは永遠に90度元に戻ろうとはしません。
アドレスからトップまでの180度を使って90度開いたフェイスはトップからアドレスまでの180度を使って戻してやらないと、途中まで戻さないで途中から力を加えて戻そうと思ってもスイングによる強烈な遠心力と、すでに動き出してしまった強烈なベクトルが働いているため、人間の力では戻しようがありません。
これがフェイスの戻し遅れ、振り遅れ、と言われる現象の正体です。
トップでの切り返し時に人間がクラブの端っこを握った手の力で端っこに付いている最も重いヘッドという物体にシャフトを通じて回転する力を加えるわけですから
「シャフト中心軸からの重心距離の2乗×ヘッド重量」という力の重心距離が長ければ長いほど加えなければならない力は相乗的に大きくなることになります。
重心距離が長いのでボールに加わるインパクトパワーが大きい。とか
重心角が大きいので掴まりやすい。とか
重心深度が深いので球が上がりやすい。とか言いますが、
これらは全て「フェイスの戻し遅れが出ないよう、切り返しでしっかりフェイスを起こしていく力を加えられたら」という肝心な「クラブ使用上の注意点」が抜け落ちた話です。
この注意点が正しく守られれば、これらは全てそうでしょう。
以上の話には実はもう一つ「裏」があって、それは使用者のパワーに応じた硬度とトルクと重さのシャフトが付いている、ということです。
この点も、どのクラブメーカーも宣伝文句には絶対出てこないハナシです。
ヘッドの動きの話はちょっと考えれば分かる、割と単純な物理の話ですが、そこにシャフトの要素、人間の側の感覚やパワーの話が加わって、
金属とカーボンという無機素材で作られたゴルフクラブという道具は極めてアナログな道具でありながら、むしろそれだけに極めて有機的な道具、と言えるかもしれません。
だからこそ、クラブとスイングの関係性について正しい知識を持ち、正しいフィッティングを行うための知識と経験が
お客様にクラブを作ってお代金を頂く者と、クラブを使って正しく球を打つことを教える者には必要だと思うのです。
奥は深く、深遠な暗闇の中を小さなランプ一つを頼りに勉強を続けていくしかありません。
バックフェイスの下2/5くらいはマッスル形状、
上3/5くらいがキャビティ形状になっており、
ソール幅は軟鉄鍛造キャビティヘッドとしては広い目。
重心角も5番で10度ほどあります。
因みに、最近チューンを承ったSRIXONやブリジストンなどのワイドソールデザインの軟鉄鍛造キャビティも5番で10~11度。
数年前までの一般的な軟鉄鍛造キャビチィに比べると1~2度くらい大きくなっており、それだけ重心が低くなり、かつシャフト中心軸から後方に深くなっていることを示す数値です。
昨日の同窓会ゴルフでは雨ゴルフが確定的だったので抜けの良い易しいアイアンをと思い
軟鉄ボディ+バネ板のワイドソール・ポケットキャビティ・ストロングロフト、というアイアンを持っていきました。
2年ぶりくらいにコースで使うアイアンです。
で、使ってみて率直に思ったこと。
なるほど、ソールの広さ+ロフトが立っているにもかかわらず球が上がりやすい重心設計はボールコンタクト(=芝面へのコンタクト、と言い換えても良いかもしれません)は寛容です。
ですが、ダウンスイングからインパクトまでに腕・身体に伝わる負荷量が明らかにCB1008のそれとは違ってとても大きく感じられ、
フェイスの戻し遅れによる右へのミスがいくつか出ました。
この現象が最も顕著に出るのが最もヘッドが大きく、シャフト中心軸からヘッド重心点までの距離が長いドライバーだと思います。
以下、右利きでの話になりますが、
アドレスとインパクトの時、フェイスはこれからヘッド(フェイス中心点)が描く軌道線に対して垂直です。
アドレス6時、ハーフウエイ9時、トップ12時として、
スイング中のフェイス中心点の軌道線とヘッド重心点の軌道線との位置関係に注目してみると7:30くらいまでのバックスイング1/4くらいまではヘッドの軌道線と重心の軌道線はほぼ一致しています。
重心距離の分、重心点が同じ軌道線上を先行して動きます。
9:00くらいまで上がるとフェイスはおおむね垂直になり(=フェイスの向きがヘッド軌道線に対して40度ほど開いた)、重心距離の分重心点の位置はフェイス中心点から離れて、この時点ではフェイス中心点軌道線と重心点軌道線は重心距離の分だけはなれた平行線の位置関係になります。
さらにトップまで上がった時、フェイス向きはヘッド軌道線と並行になり(=フェイスがヘッド軌道線に対して90度開いた)、重心点はフェイスの真下に来ている状態になります。
アドレス時点からトップまでのテイクバックの中で、フェイス向きはヘッド軌道線に対して90度開き、
ヘッド重心点はヘッド軌道線の下に潜り込むような軌道を描いたことになります。
ここから切り返すとき、フェイスをターンし始めようとするということはフェイスの下に来た重心点を時計逆回り方向に起こしてこなければならない力のベクトルが必要になります。
この回転ベクトルを生むための、または生むことを補助するための慣性力は切り返しの時点ではどこにも発生していませんから、人間が切り返しを始める時に作り出してやらなけれればなりません。
もし、これをせずにフェイスを開いたまま滑らすようにダウンスイングを起こしたら、フェイスの下にある重心点はその位置関係を変えないままダウンスイング方向に動き出します。
慣性力というのは一旦ある方向への力が加えられたらその方向へ(直線、回転を問わず)動き続けようとし、動かないもの(その方向への力が加えられていない)はずっと動かないでいようとする力です。
フェイス中心点と重心点が上下の関係になったままで平行に動き出せば、この重心点は永遠に回転しようとせず、すなわちフェイスは永遠に90度元に戻ろうとはしません。
アドレスからトップまでの180度を使って90度開いたフェイスはトップからアドレスまでの180度を使って戻してやらないと、途中まで戻さないで途中から力を加えて戻そうと思ってもスイングによる強烈な遠心力と、すでに動き出してしまった強烈なベクトルが働いているため、人間の力では戻しようがありません。
これがフェイスの戻し遅れ、振り遅れ、と言われる現象の正体です。
トップでの切り返し時に人間がクラブの端っこを握った手の力で端っこに付いている最も重いヘッドという物体にシャフトを通じて回転する力を加えるわけですから
「シャフト中心軸からの重心距離の2乗×ヘッド重量」という力の重心距離が長ければ長いほど加えなければならない力は相乗的に大きくなることになります。
重心距離が長いのでボールに加わるインパクトパワーが大きい。とか
重心角が大きいので掴まりやすい。とか
重心深度が深いので球が上がりやすい。とか言いますが、
これらは全て「フェイスの戻し遅れが出ないよう、切り返しでしっかりフェイスを起こしていく力を加えられたら」という肝心な「クラブ使用上の注意点」が抜け落ちた話です。
この注意点が正しく守られれば、これらは全てそうでしょう。
以上の話には実はもう一つ「裏」があって、それは使用者のパワーに応じた硬度とトルクと重さのシャフトが付いている、ということです。
この点も、どのクラブメーカーも宣伝文句には絶対出てこないハナシです。
ヘッドの動きの話はちょっと考えれば分かる、割と単純な物理の話ですが、そこにシャフトの要素、人間の側の感覚やパワーの話が加わって、
金属とカーボンという無機素材で作られたゴルフクラブという道具は極めてアナログな道具でありながら、むしろそれだけに極めて有機的な道具、と言えるかもしれません。
だからこそ、クラブとスイングの関係性について正しい知識を持ち、正しいフィッティングを行うための知識と経験が
お客様にクラブを作ってお代金を頂く者と、クラブを使って正しく球を打つことを教える者には必要だと思うのです。
奥は深く、深遠な暗闇の中を小さなランプ一つを頼りに勉強を続けていくしかありません。


