【GLi】
乗り心地においてGTに優る。何と言おうか、カドが無いのだ。高速走行時の挙動はGTに比べるとやや劣ると感じたが、十分に高水準。アルミホイール、オートエアコンなど、装備も充実。ハンドルが革巻きでないことをマイナスに評価するか否かは人それぞれ。唯一最大かつ致命的な欠点はヘッドランプがハロゲンであること。少々値上げしてでもキセノンバルブのプロジェクターにすれば、文句なしの圧倒的イチオシのグレードになったはずだが(GTの存在意義は無くなるので廃止で良いだろう)、VWJはそのようにはしないようだ。そもそも、オプションでキセノンヘッドランプを選択しても、オートレベライザーつきのプロジェクターにならないことに問題がある。どうしてAudi A3 Sportsbackでは可能なのに、VW Golfではそれができないのだろう。その理由に、純粋に興味がある。何か特殊な事情があるのだろうか。

GLiを、これまた喩えるならば
「主要科目はよくできるのに、副科目がまるっきりダメな受験生」
採る側としては二の足を踏む。

さて、読者の皆様の御期待に反して(?)、GLiについてはこれでは終わらない。過去に私は、『現状のEやGLiのパッケージングでは、これを新車で買う価値は無いと考える』と書いた。恥ずかしながら、この時点ではGLiを正しく評価できていなかったと今になって思う。GLiを見直す機会となったのは代車としてお借りした8日間であったが、この時の論調があまり否定的でないものに変容していたことにお気づきの方もおられたかもしれない。端的に述べるならば、GTとの比較において「より同乗者に優しい」のである。

4回目の車検まで9年間、もしくはその次までの11年間乗って乗り潰す(すなわちリセールを考えない)、ハロゲンヘッドランプで我慢できる、という二つの条件をクリアできるのであれば、GLiという選択も悪くはない。それならEでも同じじゃないか、とおっしゃる方もおられるだろうけれど、Eを乗り潰すのとGLiを乗り潰すのでは大きな違いがある。前者では「我慢忍耐の9年間」、後者では「納得の9年間」になる、それくらい商品力に差があると私は見る。だからこそ、GLiの「副科目」が及第点でないことが返す返すも残念である。その一方で「5代目GolfのベストバイはEである」などとのたまう、購入する者の身になっていない他人事視点の評論家は、プロであるだけに非常に罪深いと思うのだが、いかがだろう。
そろそろ07年モデルの詳細が聞こえてくる今日この頃、このブログもいよいよ最終章である。私の知る各グレードについて、改めてGTとの比較を置いて締めくくりたい。ブログのコンセプトが「GTをお勧めすること」であるので、そのあたりを御理解の上でお読みいただくようお願い申し上げる。

【E】
乗り心地はGTよりマイルド。この点を高く評価することはあっても良いと思う。しかし、2.0Lエンジンと燃料消費において大差ない1.6Lエンジン、今時ヘッドランプがハロゲンであること、MFI(Multi Function Indicator)が搭載されていないことは明らかに「お買い損」である。

日本国の制度では自動車税は排気量0.5Lきざみであるゆえ、1.6Lと2.0Lは同額になる(重量税も同額)。かのオートバックスの、必要量だけオイルを入れる「ミスターオイル」システムも0.5Lきざみ。もっと損なのは、洗車などボディサイズで価格が決まるサービス。私の近くのスタンドでは3ナンバー輸入車だからという理由で、ゴルフはメルセデスEクラスと同価格である。こんなのも1.6Lだとより一層悔しくないですかい?一般論として、排気量を抑えた分、それに応じたランニングコストの削減メリットがあるはずなのだが、ことゴルフEに限ってはそれがない。

話がそれるが、MFIの最大の利用価値は「あと何km走れるか」を表示する機能である。10km単位の大雑把な表示なのだが、アナログ燃料計がEmptyを指しても表示が「残り30km」であれば、確実に3Lは燃料が残っていることが分かる。私自身は「残り0km」になってから12km走ったことがあるので、それでも1L程度の安全域が設定されているものと考える(ガス欠を起こされても責任は負えませんのでマネされませぬよう)。この機能はもはや国産車でも、「ついていて当たり前」になりつつある。2006年フルモデルチェンジのトヨタ・カローラでさえ、ボトムグレードを除くすべてに航続可能距離を表示する機能が装備されている。こんな便利なモノがないなんて、惜しいねぇ。

ヘッドランプについては過去にいろいろと記述したが、今や軽自動車ですら標準装備のグレードが設定される時代である。3年後ないし5年後に売却するとして、その時のハロゲンの地位はどうなっているだろう。そのあたりを勘案すると、逆に「一般庶民には手が出せない」買い物になるように思う。動産としての資産価値にこだわりのない、優雅な御身分の方にこそ、相応しい。

Eグレードの総合評価を、何かに喩えるならば

「港区白金の安アパート。」

「奥様はシロガネーゼ」なのだが、まったく実が伴っていない。私自身、ゴルフが高級車であるとは微塵も思いませんが…ね。
臨時ニュースが長くなってしまいました。買い出しの続編をお送りします。

ドイツVWのサイトにあるゴルフの情報をご覧になればお分かりいただけるかと思うが、ドイツ仕様車にはセンターコンソールにiPodスロットを備えたものがある。これは英国・北米仕様には用意されていない(つまり英語圏の通販で入手不可)。今回入手しようと企んだのは、このコンソールボックスとハーネス一式である。エアコン吹き出し口があるにもかかわらず、ろくに冷えもしないエセ冷蔵庫なんかより、スマートにiPodを収納できる方がはるかにマシである。なにより、とってつけたような後付けケーブルがブラブラなんて私には我慢ならない。もう既出もいいところだが、具体的な方法はvwvortexの情報(http://forums.vwvortex.com/zerothread?id=2628851)を踏襲した。

今回の購入物品のうち、最も問題となったのはセンターコンソールボックスであった。そもそも、そんなものがアフターパーツとしてオーダーされることは予想し難い。末端の販売店に在庫などあろうはずもない。実は滞在中にちょっとした騒動(某観光地で遭難、顛末記はこことは別の本丸ブログで)を起こしてしまい、こってりと油を絞られるやら、各方面へのお詫び行脚やらで滞在日数が予定をオーバーしたのだが、それでもコンソールボックスだけは間に合わなかった。泣く泣く、航空貨物で送っていただくようにお願いして、帰国の途についた。最終的には発注から落手まで2ヶ月を要した。航空貨物の輸入手続きの際にも、輸入物品のカテゴリーによる関税率の解釈の相違や書類の書き方などについて税関でひと悶着あり、door-to-doorの国際宅配便のはずが成田まで足を運ぶハメになった。通関手続きについては、後に続く方がおられた場合に税関の担当者さんのお手を煩わせる(係官のX様には御迷惑をおかけしました、謹んで感謝の意を表します)ことになると想像されるので敢えて記載しない。

結果として、仕上がりはvwvortexの情報と相違ないものとなった。しかし、よくよく見ると、コンソールボックスのプラスチックの色調がちょっと違うような・・・。使用感は非常に満足のいくもので、ドロップインで装着可能、車を離れる時も(もともと隠れているので)iPodを隠す必要なし。総出費は約6万円となったが、自分でプラスチックパーツを壊すことなく、かつ正確に穴開けができるならば、センターコンソールを交換せずに2万円程度で実現可能ではないかとも思う。あと一点、注目すべき記述がvwvoltexのページにあったので引用する。"This will also allow you to use all steering wheel controls, charge the ipod and controll the iPod from the head unit as well."つまり、日本仕様ではGTXにのみ採用されている、ステアリングのオーディオコントローラーで操作が可能らしい。これはGTXを所有もしくは検討されている方には、そのアドバンテージを生かすポイントになりうると考えるが、いかがだろう。
リフレクターの照射範囲が広いということは、裏を返せば散乱光が多いということでもある。そこにHIDをもってくるとどうなるか。これが見事なまでに眩しい。まさに予想以上、期待以上。電話で話し込んでいるフリをしつつ、屈伸運動の如くに視点の高さを変えたり、スゥエーバックするボクサーのように水平方向の位置を変えたりして、光の飛び具合を確認。直後に自分のGTをガラガラの最上階まで走らせて、同位置の駐車枠に置いて見比べたから間違いない。あのバルブは光量の大きいサードパーティー製だったのかもしれない、とさえ思うくらいに眩しかった。

以前、代車としてGLiをお借りしていた時にも実感したが、事実リフレクターの方が照射範囲が広い。会社のビルの地下駐車場には、地下2階からスロープで地下1階へ上がりきったところの突き当たりの壁に「合流注意」とペンキで大書きされているのだが、GLiのヘッドランプは私のGTのそれに比べて、その文字のかなり上方まで照らし出した。2cmの車高の差にしてはそれはあまりに大きかったし、一旦停止の状態で観察したのでサスペンションの挙動は関係ない。今思えば、壁に向けて車を置いて、きちんと照射角度を測定してけばよかったと思うが、あとの祭りである。

結論。過去の記事において私は『見てもいないものについて「対向車にとって良くない」などと断定的な記述をすることは慎むべきだと考えている。』と記載した。しかし、今回それを私自身が目にし、揺るぎない確信を得て以下の主張をする。ゴルフ5のリフレクター式ヘッドランプにHID(キセノン)を装着することは、あくまで私の主観においてではあるが、他者にとっては迷惑である

「自身は満足であるが、物言わぬ他人は眉をひそめる」という点では、
香水プンプンでレストランに来る
オバサンと同じである

と断じたい。

下記のようなプロジェクターヘッドランプアセンブリだと、光軸を下げておけばちょっとはマシだろうか?高いけど。
http://www.abeshokai.co.jp/news/print/p_others_29.html
以下同ページより引用。【適合車両:2006年1月1日以前のゴルフ5ハロゲンヘッドランプ標準装着車。保安基準の一部改訂により、キセノンヘッドランプに対する自動ヘッドライト光軸補正コントローラー義務化の為、2006年1月1日以降の登録車両には適用できません。】・・・ということだが、元旦に登録はされないからそこはツッコミ入れなくてもいいか(笑)。それより、継続車検でそこまでチェックするのだろうか?ということの方が疑問である。この店のロジックだと純正オプションのキセノンバルブをつけてしまうと継続できないことになってしまうゾ?!

【2006年10月1日追記】リフレクター式のヘッドランプにHID(キセノン)バルブを装着されたが、散乱光が制御困難であったためにプロジェクター式に変更された方のウェブページを発見した(http://t-style003.cocolog-nifty.com/gti/2006/02/index.html)。ゴルフ5 ではなくゴルフ3の例であるが、対向車幻惑について高い見識をお持ちの方とお見受けするので、紹介させていただく。
番組の途中ですが、ここで臨時ニュースをお送りします。

週末の夜のこと。ショッピングセンターの自走式立体駐車場で、駐車場所を求めて彷徨っていた私は、側方の通路から出て来た車に目を奪われた。それは、「リフレクター式照射のヘッドランプにHIDバルブを装着したゴルフ5」であった。瞬時に、その車が「これから買い物する人のルート」から出てきたと読み、にこやかに(←夜なんだから顔は見えないってば)先を譲って追尾を開始した。その車の駐車位置を確認したのちに、自分も駐めようとしたのだが、近くに空きがみつからない。仕方がないので、もう1階上がって駐車し、件の車を確認しに戻った。気分は探偵、もうワクワクで買い物どころじゃありません。

まずは年式とグレードを確認。天井に偽アンテナがあるので06年式、ホイルがアルミじゃないのでグレードはE。VWマークのバルブキャップはそのまま。運転席を覗き込んだところ、光軸調節のスイッチは最も下げる位置に調節されてるように見えた。バルブ交換のみのHIDがどのような光線を出すのかを確認するには、あとは持ち主のお帰りをお待ち申し上げるのみである。当然のことながら、駐車場内を走行するのにスモールランプしか点灯してくれなかったら、この目的は達せられない。

30分経過・・・。幸いにしてそのゴルフは店舗出入り口のエレベーターホールの真向かいに駐められていた。私は人を待つフリ、携帯電話をかけるフリをしつつ時間を潰した。60分経過・・・。自販機に吸い寄せられて缶コーヒーを購入。ついでにたくさん並んだガチャガチャを入念にチェック。と、その時、「それらしいお客様」が!!

「お客様」は荷物を後部座席にお乗せになって、いざ発進。私は携帯電話を耳に車の正面をウロウロ。ヘッドランプON!! スパァァァクゥッ!! (←sparkデス)。しかも出口が混雑気味でモタモタ。神様ありがとおぉぉぅ(涙)。

ここで一旦、CMをはさみます。
2006年5月某日、スイスはチューリッヒに降り立った私は、本来の目的である仕事もそっちの毛(←笑)で、とあるディーラーに向かった。AMAG社はそのサイトhttp://www.amag.ch、さらにその中の店舗リスト(トップメニューから"Partner">"AMAG Filialen")を御覧になればお分かりいただけると思うが、スイスにおいてAudi、Porsche、VW、SEAT、Skodaを扱う輸入車販売大手である。日本のヤナセのようなもの、と言えば分かり易いだろう。AMAGのブティックサイトhttp://www.amag-boutique.ch/には、自動車用品に限定されない、幅広いジャンルの各社ブランドグッズがテンコ盛りで、見ているだけでも非常に楽しい。

さて、今回はあるパーツを入手すべくその店舗のひとつに出向いたわけである。御存知の方も多いと思うが、スイスは地域によって4つの公用語があり、チューリッヒはドイツ語圏にある。しかし、市民の多くは英語を解し、十分にコミュニケーションが可能であった。これについてはhttp://www.wao-shuppan.com/books/mirai/01autumn/english/s.htmlが参考になる。情報収集の不足ゆえにドイツ語が必須であるという誤った認識を持っていた私は、相当な下準備(=カンニングペーパー)をしておいたのだが、肩すかしをくらった格好になった。ドメイン名の.chの由来については、この言語圏の問題が根底にあるのだが、これについては皆様でそれぞれお調べになることをお勧めしておく。

さて、話を本筋に戻そう。東洋人がスーツケースをゴロゴロと転がしながら自動車販売店に現れたら気味悪がられるのも無理はない。どこからどう見ても非現地人、車を買いそうに見えないばかりか、見ようによってはテロリストである。さすがに店のスタッフにも緊張の色が見て取れる。しばしのインターナショナルな気まずい時間ののちに出た言葉が「い、いくすきゅーず、みー」。ど、どうして英語なのだ。あんなにドイツ語で準備したのに、ひとこと目が英語とは。バカバカバカ。

その後はスムーズと言えなくもない展開になった。各種資料を見せてもらいつつ、そのドイツ語表記を英語に翻訳してもらい、目的にかなったパーツのリストを作成することはできたのだが、残念なことにそのすべてを在庫しているわけではないと言う。滞在期間中に取り寄せられれば、手荷物として持ち帰ることができるのだが、もし間に合わなければ航空貨物として送ることになる。そうなってしまうと実はいろいろと手続きが面倒なのだ。しかし、さぁどうする?と問われたら、ここまで来た以上は引き下がるわけにはいかない。結局、ギャンブルとなるのを承知で初志を貫徹した。
遅くなったが、結果発表。遅くなった理由は、次の記事で。あらかじめお断りしておくが、やはり無数のファクターが関わった上で得られた結果なので、安易な結論づけは非常に危険である。

GTでの燃料消費率(単位km/L)は
80km/h走行で15.80±0.35(n=6)、
120km/h走行で13.74±0.28(n=7)であった。
一方GLiでは
80km/h走行で16.14と15.90(2回測定のみ)、
120km/hで13.18と12.94(2回測定のみ)であった。
なお、±で表示してあるのは標準誤差ではなく、標準偏差である。

このデータを恣意的に解釈すれば、「80km/hでは両者間に差はないが、120km/hではGTの方が燃料消費が少ない」ということになる。しかし、必要とした燃料の量にブレが大きい(同じ条件で走行したつもりなのに最大と最小の間に5%もの差があった)ことから考えても、GLiの方でも十分なn数を集めて集団として検定すれば、有意差が出ない可能性がある。このことを念頭に置いて、考察を進めよう。

今回のデータ取りにはMFI(Multi Function Indicator)の数値を全く取り入れていない。タイヤの周長が計算通りでなかったり、スピードメーターにも意図された誤差があるだろうから、このような「車サイドの計器による計測」は個体差の影響を排除しきれない。そこで、【1】出発点と目的地を固定し、【2】ほぼ同じ所要時間で走行し、【3】同じ給油機で給油量を測定する、ことで車の計器類の性質の差が結果に反映されないようにしたつもりであった。しかし、この稿を書くに及んで、「GTとGLiの差を明らかにする」という目的を達成するには、これでもまったく不十分であったことに気づいたのである。

まず、影響を与えた因子として見逃せないのが天候、より限定するならば風向風力である。データとして使用した計測に雨の日はなかったが、風については考慮していなかった。また、「GLiをお借りした段階でタンクに入っていた燃料の質」も明らかではない。これは「私の前にGLiを借りていた人がハイオクではなくレギュラーで満タンにして返却していた」といった場合に悪影響が出たであろうことを想定している。さらに、タイヤの空気圧に無頓着であったこと、給油機の自動ストップの動作ブレ(少量給油なので走行前と走行後の2回の給油誤差が無視できない)なども正確さを求める上では不適切であったと考える。

測定系の設定自体がスキだらけなのだが、120km/h走行で差が出たと強引に解釈して、その理由を考察してみよう。【1】GT は車高が低いことによって空気抵抗が低減されている、【2】タイヤの接地面積に大差はないのだが、空気圧もしくはゴムの性質の違いによる転がり抵抗に差があった(GTのタイヤは回転数が上がっても形状の変化が小さいものであったのか?)、【3】エンジンブレーキの効き方が違った(GTの方がマイルドに効いていた、逆に言えばGLiの方がフリクションが大きかったとすれば、アクセルオフで走れる時間が長くなるはず)、【4】オートマの変速タイミングに違いがあった(GLiは試乗車なので高回転まで引っ張るよう学習していたのか?)、といったところが思い浮かぶ。ただ、上記のいずれも推測でしかないため、ソリッドな結論を導くには至らない。

意気込んでデータを取ってはみたものの、つまらない結論になってしまった。意味のある結果が出たものと読者の皆様に期待させてしまったことについて、申し訳なく思う次第である。
ここからはGTとGLiの燃費のお話。つい先日まで、仕事で片道50キロの訪問先へ毎日顔を出していたのだが、お借りしたGLiはGTと同じエンジンを積んでいるにもかかわらず、燃料消費量が少し多いことに気がついた。この現象を擬似サイエンティフィックに分析できるよう、影響を与えうる因子を可能な限り排除して考察した。以下にその測定方法を記す。

1.会社近くのインターチェンジそばのセルフ式ガソリンスタンドで給油。ハイオク満タン(自動停止位置まで)。
2.高速道路で約41キロを走行。橋や高速バス停留所などをチェックポイントとして設定、設定した目標通過時刻に対して誤差30秒以内で通過するようにした。
3.目標通過時刻はナビで計測した距離を設定速度(80km/hと120km/h)で割って算出。たとえば20km地点にあるトンネル入り口は80km/hだと15分後、120km/hだと10分後に通過することになる。
4.目的地インターチェンジを降りてすぐのセルフ式ガソリンスタンドで給油。同じくハイオク満タン。本当はもう1kmばかり走ったところに、スタート地点にあるスタンドと同じ給油機(タツノ・メカトロニクス製)を使っているスタンドがあったのだが、信号があったりして高速走行以外の影響が出そうだったので、給油ノズルの違いには目をつぶることにした。

上記のような設定でGLiとGTについて、80km/h巡航と120km/h巡航で各2回のデータを取った。GLiについてはお借りしている間に6回の走行を行ったが、最初の2回はこのようなデータを取ることを考えずに走ったので、データ取りを行ったのは残りの4回だけである。各々について3回ずつのデータがあれば平均と標準偏差が算出でき、統計学的な検討が可能であったことを思うと非常にもったいないことをした。復路についてはセルフ式スタンドが中央分離帯を隔てて反対車線側にあって非常に入りづらいこと、また社用ゆえに少量給油の領収書を徒に増やすのもどうかと思ったので、データ取りは行わなかった。なお、出発地に比べて目的地の方がやや標高が高かったが、起伏は大きくはない(峠越えはない)と思われるコースであった。

結果は次の記事で。
GLiの乗り心地はやはり明らかに違った。身体に伝わる細かな振動が少ない。旋回時のロールは少しだけ大きいが、GTやGTIの「車体は踏ん張るが身体は持って行かれる感覚(グレード設定上やむを得ない)」が軽減されていて、ロールと身体感覚のバランスが私にとっては自然であった。シートの出来も満足なものであった。キセノン標準でさえあれば、自分はGLiを選んだだろう、というより「2007年モデルでキセノンを標準装備にすればGTの存在意義は無くなる」とまで言っても良いだろう。

しかし、その一方でGTの方が優れていると気づいた点がある。それは高速道路を走行する際の感覚、そしてその際の燃費である。

高速走行時の感覚がGTとGLiで違う。「路面に吸い付く感じ」「ねばり強さ」とでも表現できようか、その感覚がGTの方が鮮明に強い。私にとってその感覚の基準となるのは前車レガシィでありAudi A6なのであるが、これらはいずれもフルタイム四駆の車であり、高速走行時の踏ん張りの強さには独特のものがある。

ちょっと話がそれるが、フルタイム四駆の最大のアドバンテージは走破性の向上でもなく、四輪へのトルク配分のフレキシビリティでもなく、四輪にエンジンブレーキがかかることであると考える。これは日産のアテーサに代表されるパートタイム四駆(普段は後輪駆動・滑って初めて四駆になる)では得られないものである。フルタイム四駆に一度乗ってしまうと二輪駆動に戻り難くなるのはこのためであろうと思う。

話を元に戻そう。高速走行時の粘り強さにおいて、ゴルフのGTは前輪駆動でもギリギリ許容範囲であったから私も購入できたのだと思うのだが、GLiはこの点において少々心許ないと感じた。具体的には、「高速道路の下り坂で、そこそこ速度は出ていて、かつエンジンブレーキの減速能力よりも下り勾配に起因する加速が上回る状態(すなわち駆動トラクション無し)」で車線変更する際の挙動に大きな差が現れた。GTではこの点に不安はない。これが二つ目の結論なり。

GLiとGTの燃費については次の記事で。
いよいよ4月も終わりである。このブログの役割は、あくまで2006年モデルのゴルフGTをお勧めすることなので、「ベスト・チョイスだ」などど得意顔をしていられるのも2007年モデルが一層の改善をもってリリースされるまでの数ヶ月間だけである。そうした意味では、もはやこのブログもシメの時期にさしかかっていると自覚している。

これまでに何度か記述したように、GTの乗り心地はEやGLiに比べると劣る。各グレードのサスペンションはEとGLiはノーマル、GTとGTXはスポーツ、GTIは専用スポーツという設定になっている。タイヤサイズはEとGLiは195/65R15(但しホイルのリム幅はEが6Jに対しGLiが6.5J)、GTは205/55R16、GTXとGTI(オプションで225/40R18も選択可能)は225/45R17。というわけで、GLiとGTの乗り心地の間には、サスペンションの差とタイヤの差が相まって、大きな隔たりがある。私はGTXには試乗していないのだが、同じバネ(=スプリングと同義)とダンパー(=ショック・アブソーバーと同義)で扁平タイヤを使用すれば乗り心地は悪くなるはずで、その結果、乗り心地はE>GLi>>GT>GTXとなるだろう。ここで、GTIがこの序列のどのあたりに位置するのかということについては議論があろうかと思うが、私は断固としてGTより悪いと主張する。

実は私のGT、ある部品を交換するためにディーラーに出していた。その部品は単純な置き換えではないらしいが、これについて語ると脱線するのでここでは触れないことにする。代車として2日間(日曜の夜から火曜の夕刻まで)だけ2006年モデルのGTIを貸していただいた。さらに、当初予定の2日間で作業が完了せず追加部品の発注を要したため、仕事の都合で引き取りに行けるまでの残り8日間、同じく2006年モデルのGLiを貸していただいた。特にGTIの方は月曜火曜と有給を取って遠出をしたので、45時間ほどの間に550キロ走行した。それを踏まえて、今回は乗り心地についての考察を記す。

たしかに、GTIは「大人のおもちゃ(←変な想像しちゃイヤン)」としては非常に良くできている。加速が素晴らしく楽しいし、ちょっと無茶をしてみても柔軟かつ安定した挙動を見せる。しかし、やはりファミリー・カーとしては少々無理があると思うのだ。GTIの乗り心地がファミリー・ユースに「合致している」と思い込んでおられるユーザーの方は「住めば都思想」に溺れておられるだけだと言うのは言い過ぎだろうか。バネとダンパーがスポーティーな性質を帯びているということは、曲率の小さなカーブを高速度で走り抜けても車体の挙動が不安定にならないように造ってあると私は理解している。高速度での旋回時や急な加減速時に加えられる力をどの程度に見積もるか、言い換えれば最良の反応を示す入力量の範囲をどのあたりに設定するかという点において、スポーティーであればあるほど、至適な振る舞いを見せる「スイートスポット」は入力量の大きい方へシフトする。従って、そのような設定に偏向するほど、バネとダンパーは小さな力に対しては剛体として振る舞いやすくなる。この部分を補うという意味で、大きな位置を占めるのがタイヤの緩衝能力だと思うのだが、GTIの17インチタイヤがどうもよろしくないように感じた。扁平率のせいなのか、サイドウォールもしくはトレッド面が硬いのか、設定空気圧が高いのか、理由は分からないが、微少な振動を逃がすことができていないように感じた。その一方で、GTIのダンパーの出来は秀逸であり、大きな変化(=大きな振れ幅)と小さな変化、そのいずれに対しても素晴らしい振動収束を実感した。

GTIのパッケージングは、ダンパーの良さをホイールとタイヤで殺しているように思えてならない。バネとダンパーを人間の足腰に例えるなら、ホイールとタイヤは靴である。GTIは強靱かつ柔軟な足腰をもつアスリートであるが、履いている靴がサッカーシューズ、いや、その緩衝能力を敢えて悪く言うなら木製サンダルといったところである。GTは足腰の出来は凡庸な一般人であるが、靴が(スニーカーではなく)普通の革靴である。攻めの走りをしない穏やかな走りのシーンにおいてパッセンジャーに優しいのは後者である。これが今回の乗り比べで得られた一つ目の結論である。