goldfishfilmsのブログ

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2017年7月21日、「ぼくらの勇気ー未満都市ー」の続編が、SPドラマとして、20年越しに放送されました。

 

ここから先はおそらくもうすでに100人以上のひとが書いているであろうありきたりな感想でしかありませんが、あまりにも素晴らしすぎたので語らせてください。ほんとにただ、この嬉しさとドラマへのリスペクトを込めて、自分が書きたいだけの文章です。

 

まず、20年前の「ぼくらの勇気ー未満都市ー」(以下、「未満都市」と表記)、当時ドラマが放送されていたころ、わたしは小学3年生でした。

 

前提でいうと、まず、わたしはこのドラマを機にkinki kidsにどハマりし、それから中学生までひたすらにkinkiファンでした。

あのころ(地方出身)って、アイドルの写真がプリントされたうちわとか下敷きとかを近所の文房具屋で買ったり、お祭りでカードくじ引いたりすることが当時の子供が好きなアイドルへできる精一杯のファン行為だったわけですが、今もそうなのかな?まぁいいや。

 

私の家は、ちょうど私が小3くらいになるまでテレビはNHKや子供向けアニメしか見せてもらえない家庭だったので、そんなときにあのドラマを見て、衝撃だったのです。

小3ってね、ちょうど、大人への反抗心とか目覚め始めるの。

で、かつ、そんな大人達と戦うことにも、どこかしらで憧れがあったりするの。

あのドラマは完全に、「大人VS子供」のドラマだったんですよね。

それも、ものすごい規模の世界観の中で。

子供が隔離され、劣悪な環境におかれ、食べ物を奪い合う事態が日本で起こっているというのを、めちゃめちゃリアルに描いていたんです。

つくづく今だと完全にドラマで放送できない内容だなって。

 

あ、ちなみにそれから数年後に、おこずかい貯めてVHS全巻買いました。

 

ただ20年越しに考えると、今、いろいろとこの20年間で起こってきたことと、リンクする部分があるのです。

まず、やはり彼らが閉じ込められた場所、幕原を見て思うのは、震災後の被災地にとても近いということ。

そして、3.11のときの放射能が、あのドラマのウイルスと、どこか通じてしまう部分があるということ。

あの震災が起き、原発付近は封鎖され、日本でもリアルに未満都市に近い場所が発生しえるという残酷な現実とのリンクを、あのドラマは偶然持って生まれていたのです。

 

そして、そんな中で「大人」、その先にある「政府」という敵と懸命に戦い、生きようとしていた彼らの姿。

わたしの、生涯ナンバーワンドラマ。

 

という前置きをした上で、いったん、今回の20年後のSPドラマの話に戻りますね。

まず、なにがすごいって20年後にリアルに20年の年を経たキャストを集結させ、完全にあの続編の世界という前提のドラマをつくったことですよ!

最初に続編放映のニュースを知った時は、興奮しすぎて震えました。

自分が映像業界にいる人間なので理解していますが、それって本当に実現するのが奇跡みたいなことなのです。

私は正直ヤマトとタケルが再会した冒頭のシーンだけで、かっこよすぎて嬉しすぎて泣けました。

 

まず、内容に関してはいろいろと突っ込みどころはありますよ。

警備隊とか政府とか警察とか、ツメが甘すぎるだろ、と。

そういう意味ではもっとずっと残酷にリアリティを追求していた20年前の未満都市とは、完全に別作品だと思います。

ただ、それでいいんです。今回の未満都市2017は、完全にkinki kidsのアイドル映画であり、エンタメであり、コメディなんです。

だから、未満都市という作品のファンからしたら、たとえわかりきった展開であろうと、そこにすべて乗っかって、それで気持ちいいと思えるんです。このドラマは、豪華すぎる彼らの同窓会であり、ファンサービスなのです。

 

まず、小道具の中でちょこちょこぶっこんできているkinkiネタ。

冒頭のコンビニでの商品から始まり、以降、抜けにうつる美術の様々な場所に、メジャーな曲からCDがっつり買ってた人間にしかわかんないんじゃないかというような曲のタイトルまで、そこかしこに散りばめられているのですよ。

この細かいディティールがもう最高です。

 

そして、ちょこちょこ過去の未満都市の映像を織り交ぜながら、見せていく展開。

それが、過去の悲しくてせつない名シーンだけでなく、くすりと笑えるシーンまで。

愛が!作品に対する愛が、作り手から伝わって来るんです、ちゃんと。

モリの決戦に向かうときの衣装でボーダー+オーバーオールを再現してくれたところも、もう、グッジョブ!!って叫びたくなりました。

 

内容は、言ってしまえばただただみんなかっこいい、につきます。

20年ぶりに集結し、さらにヤマトに感銘を受けた現代っ子が仲間に加わり、政府と戦う。

ただそれがかっこいいー、って見れるかどうかのドラマだと思います。

実際に、kinkiのおふたり、めちゃくちゃかっこよかった...!

彼らは20年たっても、ずっと王子様なんだと再認識。

留置所にいた彼らの背中あわせのカットも、まるでアルバムのジャケ写のような美しさでした。

 

けれど、このドラマの素晴らしさって、そこだけじゃないんですよね。

20年を経て、制作したってことが、そもそものこのドラマの意味だと思ったんです。

 

当時、小学3年生。

大人と戦うヤマトとタケルをリーダーだと思い、一緒に戦っているつもりで見ていた子供だった私も、もう28歳になりました。

幼い頃、トトロを見て、大人になったらトトロは見えなくなってしまう、わたしは大人になる前にトトロと出会えるかどうか、とか、子供だからこそを描いた素敵な作品を見て、子供でいることの美しさを感じつつも、ずっとどこかで自分が大人になってしまうことへの怖さがあったのです。

今回のドラマの冒頭でもさんざん強調されていた、「つまらない大人になってしまったんじゃないか」。

未満都市は、当時、子供が正義という描き方をし、そこが素晴らしかったんです。

だからこそ、いつのまにかクレヨンしんちゃんの年齢も、ちびまるこちゃんの年齢も、ルフィの年齢も超えてしまった自分は、それをどこかで寂しく思うようになってしまっていました。

けれど、20年後を描くことで、きっちりと大人になり、さらにまた戦ってくれた彼らを見て、その寂しさを埋めてもらった気がしたんです。

彼らもまた、私と同じように年をとり、あの世界の中で生きていた。

それだけで、泣きそうになるのです。

 

また、今回、この内容のドラマを制作し、放映したこと。

昨今、日本のテレビ業界はどんどん規制が厳しくなり、少しでも過激な内容は、即、排除対象となってしまいます。

いま、ドラマがつまらなくなったと言われてしまっている原因のひとつでもあります。

震災、原発事故、世界中で起こっているテロ事件、問題だらけの五輪に向けた建物の再開発、築地の汚染水問題、政府の汚職事件...。

今の日本で起きている様々な問題の要素を明らかに感じさせた内容を、未満都市2017は取り込み、今、放送したということ。

それは、ぜったいに意味のあることだと思うのです。

 

素晴らしいドラマを、本当に、本当にありがとうございました。

 

細々したところはキリがないので割愛しつつ、最後に。ちゃんと主題歌で当時のまま「愛されるよりも愛したい」をつかってくれたことと、ラストで金田一と銀狼ネタ放り込んでくれたところもまた....!最高かよ!