今更と言われるかも知れないが、最近観た映画の中で最も泣いたのが『ミッドナイトスワン』だ。
ここ7、8年、母の介護の唯一のストレス解消がPCで映画や海外ドラマを観ることであったので
映画やドラマを年間200本近く観ていたが、感情を揺すぶられ、号泣したり、
腹の底から笑い転げる、また、感動する作品というものは年に1本くらいしかない。
『ミッドナイトスワン』は評判は聞いていたけれど、草彅剛という俳優が失礼ながらあまり好みではなく、
興味もなかったのだが、その草薙剛がトランスジェンダーを演じるということで
怖いもの見たさのような気分でまったく期待せずに観た。
見終わってから、草薙剛への評価がまるっきり変わった。
トランスジェンダーの悲哀、生きる哀しみ、無償の愛、愛故の信頼など
草薙剛は見事に表現していた。
そして、少女役の服部樹咲の上手いこと・・・
その自然な演技に脱帽した。
ネタバレになるが、彼女の最後の独白「見てて」の一言で号泣してしまった。
「映画は監督のもの、舞台は役者のもの」というが
もちろん、内田英治監督が素晴らしいから草薙剛、服部樹咲ら出演者が光るわけだが
この映画に関しては、草薙剛、服部樹咲だったから虚構が現実になったように思う。
登場人物がリアルに生きていた。
いろいろなことを考えさせられ、いろいろなことに気づく映画だ。
ああ、良い映画を観たという満足感が得られる。
もう一度観ようと思っている。