溶けてしまいそう(アンナ=きよ葉(日暮)=リンゴ) | 炸熱~歌キチ、愛をうたう~

溶けてしまいそう(アンナ=きよ葉(日暮)=リンゴ)

予告を見て、絶対観たいと思った映画がこれ


さくらんチラシ さくらんチラシ②


何とも素敵な映画がまた一本誕生した。


写真家蜷川実花の初監督作品。


まず映像の豪華絢爛さキラキラに目を見張る。


セット、背景、風景、衣装全てが美しく、色鮮やか。


蜷川監督の色彩感覚が爆発!ロケット


を基調に黄色ピンク様々な色が目に飛び込んで来て

視覚を刺激する ∑(゚Д゚)


思わず溜息が・・・・・・。


そして遊女の象徴として金魚がうごめく。


Oh!Beautiful!!

Sigh Sigh Sigh!!!


そして女優陣の体を張った演技も見所。


土屋アンナは「どろろ」でのマイマイオンバ役など比較にならない程見事な演技を見せる。


土屋アンナ 土屋アンナ②

主人公の遊女きよ葉(後に日暮と改名)はまるで彼女が演じるためにあるような役。

いや、土屋アンナがこのきよ葉を演じるために生まれて来たのだ。

そう言っても過言ではないくらい彼女がはまっていて素晴らしい!


さくらん 日暮②

キセルって便利、横になって吸っても灰が落ちない byきよ葉


てめえの花はてめえで咲かす 日暮

声は出すんじゃない。漏らすんだ」 by楼主


楼主ときよ葉


てめえの人生てめえで咲かす」 byきよ葉


高尾ときよ葉


鬼の笑顔だ」 byきよ葉


きよ葉と清次


泣いても負け、勝っても負け、惚れても負け」 by清次


脚本タナダユキの名台詞が印象的に舞う天使


きよ葉雲のように自由に誰にも束縛されない生き方が清清しい。

好きなものは好き、嫌いなものは嫌い。

一見我儘、でも、惚れた男を一途に信じ待ち侘びる純な姿が、いじらしくも愛らしくて魅力的ドキドキ


きよ葉

私が個人的に好きなのは


山本浩司演じる大工

上客、倉之助(椎名桔平)を相手にせず、自分のところに来てくれた日暮(きよ葉の花魁になってからの名

「おめえはこんな所にいていいのかい?

俺みたいな奴は一日頑張ってやっとここに来られる金を稼ぐんだ。

ま、俺はこうしてお前が隣にいるだけで嬉しいんだけどさ」

あんたに金が無いのは最初っから分かてたさ

と言って

日暮大工を後ろから抱きしめるシーン


もし私が彼女にあんな風に抱きしめられたら、

気持ち良くてきっと溶けてしまうだろう

映像に見入りながら、花魁日暮に大抵の男は惚れてしまうに違いないと思った。


脇を固める遊女たちも見逃せない。


日暮の師匠に当たる役割の花魁粧ひに扮するのは菅野美穂

美貌と知性を兼ね備えたこの吉原一の花魁を凛とした存在感で演じ切った。

中でも、逃げ出そうとした幼いきよ葉に花魁になる決意をさせる場面が印象的。


粧ひ②


彼女の内面から匂い立つ色香、体を張った濡れ場に目は釘付け。

彼女の背中、肩甲骨、背骨、痩せたお尻のライン、揉みしだかれる胸、全てがエロティック。


粧ひ


彼女が幼いきよ葉にかんざしを託す場面も記憶に残る名場面。

そこだけで、きよ葉がこれからのし上がってゆくことを予感させて

同時に粧ひの器の大きさも表現していて、ちょっと鳥肌。


幼いきよ葉


きよ葉に嫉妬する先輩花魁高尾役木村佳乃

彼女も菅野美穂ほどではないが後ろから衝かれ、片胸を揉みしだかれる体を張った演技。

清純派で売り出していたのが懐かしいくらいその面影は無い。


高尾 光信

彼女が思いを寄せる光信永瀬正敏との悲劇は息を呑む美しさ。

飛び散るに眩暈がしそうだった。


高尾と光信


きよ葉の最初の間夫(まぶ)惣次郎成宮寛貴。

鬼の笑顔だ」ときよ葉に言わしめた、単なるウブな男ではないところをしっかり見せる好演。


きよ葉と惣次郎 惣次郎


嫉妬に狂う上客坂口に「ドメスティック・ヴァイオレンス」の遠藤憲一、相変わらずいい声をしてらっしゃる。


玉菊屋の楼主怪優石橋蓮司


その妻の女将に「シュガー&スパイスグランマ役の好演が記憶に新しい夏木マリ


女将


日暮を身請けする武士、倉之助椎名桔平。

身籠った日暮をも受け入れる度量の深さを、落ち着いた演技で見せてさすがの安定感。


倉之助
日暮と倉之助


きよ葉(日暮)を見守る店番の清次に「サトラレ」の安藤政信


脇を固める俳優陣も安定した演技を見せ、さくらんワールドに華を添える。


安藤政信清次がいい

中でも、悲しむ日暮をただただそっと、抱きしめてあげるシーンの演技がいい。

こういうさり気なく女性を気遣える男になりたいものだ。

まあわたし的には容姿も何もかも全て負けているので、彼の足元には及ぶべくもないが・・・。


清次どん


そしてご隠居を演じる市川左團次の最初と最後の登場の演技の使い分けの見事さ。

単なる好色じじいではなく、人生をまっとうした者の悲哀を感じさせる演技。

ラストに日暮に語る台詞が心に染みる

咲かない桜はないのじゃ

自然と涙が・・・。


日暮とご隠居


それから忘れちゃならないのが映画音楽初挑戦椎名林檎の仕事

彼女がこの映画のために斉藤ネコと組んで作った楽曲の数々

この映画の世界観構築に大きく貢献している。


この蜷川さくらんワールドジャスト・フィットしていて全く違和感が無い。


声を枯らして振り絞るように歌う椎名林檎の歌声はまるで日暮の心の叫びのように聞こえる。


椎名林檎=きよ葉(日暮)土屋アンナ

という図式が成り立つ。


私は土屋アンナの歌声を聞いたことが無いのだが

彼女の色っぽいハスキー・ボイスが歌ったらきっと椎名林檎のような歌声になるんじゃないかと思う。

そう私に想像させるくらい2人のイメージが重なるのである。


特にラストシーンで流れる「♪夢のあと」という曲が気に入った。


音譜林檎嬢の歌声音譜日暮の想いとリンクして

HEART恋の矢ビンビン響くベル


ラストシーンに流れるこの曲と、駆け出してゆく日暮たちを観ていて

目頭が熱くなってしまった。

静かな感動を呼ぶと言うのだろうか?


“私の氷のような心はいつの間にか溶けてしまっていた”虹


まさにそんな表現に相応しいラストだった。


間違いなくこの映画は今年の秀作の一本になるだろう。

早くも、2007年MY BEST3入り決定ビックリマーク


同じ原作物でも、「どろろ」の志の低さに比べて、この映画の監督やスタッフのこだわりぶり徹底していて

爽快感すら感じる。


さすが


“どうやら私の人生は、すべてここに向かうために進んで来たみたいです。”

by 蜷川実花


と言い切るだけのことはある。


私は大好きです!


気になった方は是非!


さくらん記者会見

P・S

帰りにCD『平成風俗』CD買っちまったよ!



椎名林檎×斎藤ネコ, コマエノオーケストラ, ノラネコオーケストラ,

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