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海外道中膝栗毛

海外生活20年, 外国人と結婚した著者が,仕事,家庭,趣味, 教養,財産, 健康の6つの軸から,楽しい 海外での生活と学びを紹介していきます。

昨年一年間、優秀なる業績をあげた中国人社員に春の日本旅行をプレゼントすることになった。お花見ができる季節ということで、3、4月の日本旅行は中国人にたいそう人気がある。

日本旅行がだいすきで、すでに数度の日本旅行の経験があるベテラン中国人女性社員がリーダーとなり、9名の中国人社員を引率することになった。

このリーダーになる社員はなかなかソツのない人で、エクセルでしっかりとした旅行日程表を作成し、どこで食事をするかまで決めてある。レストランはネットで評判をしらべて選んだそうだ。ちなみに中国人はネットでレストランの評判をチェックするのがだいすきだ。

そのリーダー社員が近付いて来て、日程表に記載されたレストランに電話をして予約を取ってほしいという。一週間ほどかけて奈良、京都、大阪と周る旅程なのだが、各地のいかにも美味しそうなレストランでの夕食が組まれている。さぞかし、一所懸命しらべたのだろう。おやすいご用だ!と引き受けた。

順番に電話をかけて予約をとって行く。上海からスマホでかけているせいか、日本側の相手の発した言葉の到着が微妙に遅いが、それを計算に入れて会話すれば問題なかろう。

大阪の松坂牛レストランに電話をかけた。

「すいません、予約お願いしまーす!」
元気よく私は言った。

「ありがとうございます!コースはどちらでいかせていただきましょう⁉︎」
松坂牛レストランの人も元気よくそう答えた。

コース⁉︎  これは、当然のことながらリーダー社員に確認をせねばなるまい。

「へええ、松坂牛の料理にもコースがあるんですねえ!どんなコースがあるんですかねえ?」
リーダー社員にコース内容を伝え選ばせるために情報収集に出た。

「.....」
一種の沈黙があった。おそらくこれも上海と大阪の距離による音声の到着の遅れによるものであろう、と気にせず私は彼の次のことばを待った。

「あのう、うちは松坂牛はやってないんですけど...」
おどろくべき回答を私は耳にした。

「ええっ⁉︎ 松坂牛をやっていない⁉︎ あ、あのうおたく松坂牛レストラン"A"さんですよねえ??」
まさか、日程表の中の別のレストランに電話をかけてしまったのか?と私は確認をとろうとした。

「......」
ふたたび、微妙な沈黙タイムがやって来たのち、電話のむこうの男性は言った。

「.....あのう、おたくだいじょうぶですかね....」

「は?」

「うち、ミナミの風俗店ですねんわあ。松坂牛レストランとちゃいますねん」

「ソラ、えろう、失礼いたしました!」

いきなり真顔になり電話をきった私をそばにいたリーダー社員は不審そうな顔をして見ている。

「どうしましたか?」
リーダー女性社員は私に聞くが、まさかあやうく松坂牛の代わりに風俗店の予約を取りそうになったとは口が裂けても言えぬ。

ダンディに浮かべる余裕の微笑みの裏で冷や汗をぬぐいながら、私は電話番号を再度確認のうえ、松坂牛レストランに電話を試みたのであった。

手帳に何か書き込んだり、いらなくなった資料の裏側を使ってアイデア出しをしたりするのに、なぜかシャーペンを選んでしまう。芯は2Bがいい。エンピツの先が紙に乗ったときの柔らかい感触が好きだ。

ボールペンがいらぬわけではない。支払い伝票や契約書にサインするのにエンピツではまずかろう。赤ボールペンがあれば便利なこともある。

というわけで、シャーペンとボールペンが一体化したペンを愛用している。今使っているのはシャーペンに加え黒、赤のみならず青と緑のボールペンが付いたものだが、青と緑はほとんど使わんなあ、正直言って。他の方々はどうなのかしらん。

年に一度、今住んでいる上海から日本に帰る。大抵年末年始だ。この時にシャーペンボールペン一体型ペンを購入するのが恒例となっている。なぜかこのシャーペンボールペン一体型ペンはちょうど使用開始一年経過したあたりで壊れるのである。シャーペンやボールペンのペン先が出なくなったり、シャーペンの芯がノックしても出て来なくなったりする。壊れたり失くしたりすると困るので、いつも2〜3本買うようにしている。

そんなの、上海で売ってるんじゃないの?と思われる方もいらっしゃると思う。しかし、上海ではこのシャーペンボールペン一体型ペンが手に入らんのである。

上海の文房具屋さんだけではない。いくつかある日本系デパートにも行って探してみたが、やはりない。ほとんどの店員さんは、シャーペンボールペン一体型ペンの存在すら知らぬ始末だ。

なぜないのか、長年ふしぎに思っていたのだが、11月27日朝に見た新聞記事で疑問が氷解した。その記事を以下に引用する。

「中国財務省は24日、食品や家電、日用品など187品目の輸入関税を12月1日から引き下げると発表した。ウイスキー、洗浄便座、乳児用おむつなどが含まれる。国産品では消費者のニーズに対応しきれない商品を安く輸入できるようにすることで、海外に流出する消費の呼び戻しと内需拡大につなげる狙いがあるとみられる」
(The Daily NNA 2017年11月27日号より)

要するに、自国民が外国で爆買いするのが許せなくなったわけね。

それにしてもさあ、11月24日に発表して12月1日から実行って準備期間短すぎない⁈

たぶん、準備期間を与えると皆こぞって12月1日以降に商品が到着するように発送するだろうから、それを防ぐためなんだろうなあ。

その187品目が表にされているのだが「(中国)国産品では消費者のニーズに対応しきれない商品」というテーマに沿って、実によくセレクトされている。

その表の中にあったのである。
「2つ以上のペンの機能を持つペン製品」という品目が。

今までは関税21%もかかっていたのが、12月1日からは12%に減税される。

「ボールペン」も現在15%の税率が8%に、「シャープペンシル」は現在の21%から12%になるという。

これらのペン類は、「(中国)国産品では消費者のニーズに対応しきれない商品」であると認定されたわけである。

ペン類って、何気にハイテク商品だったのね⁈

要するに関税が高いので、小売価格も高くなり、シャーペンボールペン一体型ペンは中国市場では売れんだろうと判断され輸入されなかったのだろうなあ。

税関で変な検査員に引っかかり「こりゃ、シャーペンとボールペンとなおかつ2つ以上のペンの機能を持つペン製品であるからして、関税は21%+15%+21%=57%ね♪」などと言われちゃった、というような事件が発生しておったのやも知れぬ。中国は人によって規則や法律の解釈が違うのが当たり前だから十分あり得る話である。

リスク高すぎ♪

この年末、日本のハイテクペンを大量に買って中国のネットで売ってみようかしら。

どうせもう誰かやってるだろうけど。

この減税187品目表は、税が安くなるとはいえ、中国国内で買うと高い商品一覧表ということになり、ますます皆海外で買うことになりはしないのだろうか、と心配なのだが大丈夫なのかしら。


2日ほど、青島ビールで有名な、青島に出張に行った。

上海に帰ってきて、水を飲もうと冷蔵庫を開けると、棚が水浸しになっておる。

いったいなにごと⁈

おどろいて、冷蔵庫の奥に眼をやると、何やら氷のようなモノが張り付いている。

どうやら、この氷が溶け出して、冷蔵庫の棚が水浸しになったらしい。


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突如として、冷蔵庫壁面に現れた此奴らは何奴⁉︎

ネットで「冷蔵庫の中の氷」で検索してみた。

けっこう、たくさん出てくる。
同じような驚きを持った先輩方がたくさんいるんだなあ。

安心した。

ヤフー 知恵袋で下記Q&Aを発見した。



Q
突然、冷凍庫に霜が大量に出来てしまいました。 原因は何ですか? また未然に防ぐ方法はありますか? わかる方いたら教えて下さい。

A
冷凍庫の扉が不完全な閉まり方をしていた可能性が強いです
僅かの隙間から外気が進入し、着霜したと思います 
霜が何度も繰り返し付くなら霜取り装置の故障も考えられます



なるほど、この氷は霜という名前なのだな!

私、冷蔵庫のドアをきちんと閉めずに青島に出張に行っちゃったわけね⁈
青島ビールを飲みに⁈

えらいこっちゃ、夏休み台湾帰省中のコワイコワイ嫁はんが帰ってくるまでに何とかせなあかんがな(涙)!

母親の留守中に大事なものを壊してしまったガキの如く狼狽える間も無く52歳にならんとするおっさんであった(涙)


慌てて、ネットで継続調査を行なった。


Q
冷蔵庫の中に霜がいっぱい付いてしまって
氷のようになってしまってます。
ひとり暮らし用の冷蔵庫で冷凍庫と調節が一緒で
冷凍庫にはいっぱいものが入ってるので
電源を切るわけにはいきません。

冷蔵庫の方の霜(氷)を取るにはどうしたらいいんでしょうか(T_T)



霜取り機能がついていればそのボタンを押しましょう
ついていないなら諦めて食材が少なくなったら
入れ物に氷などいれて融けては困るものをそこに入れておき冷凍庫を空にします。
その後電源を切りドライヤーを使用して氷を融かします
ドライバーなど使用して浮いてきた氷をはがすと早いです
その後に水分をふき取り電源をいれればOKです
10分もあれば全部できますよ




なるほど、電源を切ればいいのか..

電源はどこかしらん?と冷蔵庫の周りを見たが、冷蔵庫の左右が壁にぴっちりと収まってしまっており、巨大な冷蔵庫を前に引きずり出すことはとてもじゃないができそうにもない。

さすがは上海のマンションと言うべきか冷蔵庫と言うべきか、後のことは一切考えていない設計である。

冷蔵庫のブランドも不明である。
どうせ、名もない中国メーカー製であろう。

霜取り機能などという親切な機能がついておるとは、とてもじゃないが、思えぬ。

仕方ないので、ドアを開けっ放しにして、氷を溶かすことにした。

何せ、今日の上海は40度(涙)を超える熱波に覆われておる。

ドライヤーなどという軟弱なるものは必要あるまい。

冷蔵庫の中の状況を写真撮影した後、収納物を取り出した。

収納物はあった元の場所にきっちりと戻しておかねばならぬ。写真で確認しながらだ!

「アンタ、冷蔵庫の中を触ったわね‼️」などとコワイコワイ嫁はんが台湾から帰ってきた時に怒られるのがもう最高にコワイからな(涙)!


冷蔵庫の氷を溶かすために、部屋のクーラーは消した。

暑い...
何せ、40度を超える気温だ...

差し込む西日に、焼かれるようだ...

案の定、冷蔵庫の壁に張り付いた頑固そうな氷は、情けなく汗をダラダラと流し始めた。

それは、まるで高温のサウナの中で氷と我慢比べをしているような気分だった。


待つこと30分。

もうそろそろであろう、と氷に爪をかけ、揺さぶりをかけてみる。

まだ固いか?と思ったその時に、手応えを感じ、張り付いていた分厚い氷は、前方にバキバキッ、といった感じで崩れ落ちた。

私は、その分厚い氷を流しに運んだ。


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うーーむ......


この適度な厚み...

厚すぎず、また薄すぎない.....

しかも、割ってくれ、と言わんばかりのこの姿勢...

何とも言えず、魅力的だ....


私は、年甲斐もなく、空手を修行する身である。

修行といっても、せいぜい週に二回二時間ほど稽古するくらいですけど。

据え膳食わぬは男の恥、ということばが、突然頭をよぎった。


据え氷割らぬは空手家の恥、とでも言い換えることができようか...



(割るしかあるまい....)

固く決意した眼を、差し込む西日に軽く細める私であった...


(................!)


私は瞬時の精神統一ののち、ゆっくりと右手刀を振り上げた。この時気付いたのは、左手で自撮りをしつつ、己の打ちおろす手刀を撮影するのは、なかなかの困難を伴う作業であるということであった。

側から見たら、もう、バカ丸出しだろうなあ!

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仕方ないので、ブログ用に手刀を割りたい位置に置いて撮影を行なった。


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「ハアアッ‼️」

誰も見てはいないけれども、いちおう腹の底から気合を発しつつまっすぐに打ち下ろされた手刀の下で、分厚い(?)氷の板は、みっごと真っ二つに割れたのであった!


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がシャアン!

割れた半分の氷は、大きな音を立てて床に落ちたのであった!



...................



氷が床に落ちたその物音で、私は我に返った。


(だいたいさあ、氷じゃなくて、しょせん霜だしさあ...)

(薄いしさあ、氷じゃなくて霜である上に....)


床に横たわる氷の半分を見つめつつ、差し込む真夏の夕暮れの西日に優しく、そして厳しく包み込まれながら、何とも言えぬ虚しさに襲われる私であった................


................!................


冷蔵庫にあったものを元通りの位置に戻さねばならぬ....! 

でないとコワイコワイ嫁はんに怒られるがな(涙)....!

突如気付いて狼狽える己に、さらなる虚しさを感じる、繰り返すが間も無く52歳の私であった....