「土方…死ねコノヤロー!!」



かぶき町の一角に轟音が響いた。

「おゎっ…!! てめぇ!!本当に撃つかフツー?!」



それは真選組の例の二人組の、パトロール中に見られるいつもの光景。…少なくとも二人には日常のヒトコマなのであろう。

初めて目撃した時は僕もかなり驚いたが、慣れとは怖いものである。端からみた一般市民には、やっぱり真選組はなんだか怖い人たちだと、イメージをどんどん植え付けているような気もするけれど、まあ、今更…な気もするし、いいのかな、あれで。

遠巻きに、なんだかバズーカの音と、何か言い合ってる声が聞こえる。


今日はスーパーの特売があった。いつもは銀さんが原付に乗せてくれるところだが、思ったより荷物が多くなりそうなので、敢えて銀さんに歩いて一緒に買い物について来て貰った。
その帰りの出来事。



「何だか相変わらずですね、あの二人は」


何気なしに言うと、銀さんはため息をついて僕に言った。

「新八ぃ…ワカンネェか?」

「え、何がですか?」

銀さんの言葉の真意が気になる僕は、先を促す。



「あいつら、多分…俺たちと同じだぜ」


同じ…?

「えっ…それって…」

銀さんはしれっと言った。


「相思相愛ってこと」


「……っ」


銀さんの言葉に驚きと羞恥で、僕は言葉を失った。

あ、あの二人が?

て、いうかそんなに堂々と言い切られると、一体どのポイントで驚いていいか分からないんですけどっ。


「…や、やめてくださいよっ。こんな所でっそんなこと言わないでくださいっ恥ずかしいじゃないですか」


僕が、冷静になろうと突き放す言葉を発すると、決まって、銀さんは、容赦なくとどめをさしてくる。


「へへっ。…それでも否定はしねぇんだな…?」


ただし、僕はひるまずすぐに言い返した。


「当たり前でしょう!」


「!……」


あ…あれ?


「うわ…。相変わらず、カウンターだな、お前」

「あ…」

口が勝手に喋ってた。銀さんは苦笑い。

「もー銀さんやられたわ…」


愛の告白をしてきてくれた相手に対して、自分の気持ちを、僕も貴方が好きだと、キチンと伝えられていない、ヘタレな僕なのだ。
せめて、自分の気持ちの否定はしたくなくて。

「…ここじゃなければ、いいんだな?」

銀さんは僕の耳元で囁いた。僕は、一瞬心臓がドキリとして。

「…早く帰ろうぜ。…ゆっくり話とか、したいじゃん?」

そのうち、頭がクラクラしてきた。
やられているのはこっちの方です。

僕は、この人に、絶対に敵わない――

「…はい」

散歩に行った神楽ちゃんと定治が、万事屋に帰ってくるのは、僕らが着いてから、もう少しだいぶ後だろう。

僕と銀さんは二人きりになるために、万事屋に帰る。

もう、足元までフラフラしてきそうになるのを僕は必死に我慢した。

End. But starting another story ..


駄文失礼しましたあ。