もし本当の俺の矮小さ、つまらない部分を見せたら、コイツは幻滅するだろうか。
ふと不安にかられる。



思えば昔は…生きて行くために手段を選ばなかった。



数えきれない殺生や、犯罪まがいの事をしていたな。
いや、戦争のドサクサにまぎれていなければ、間違いなく捕まっていただだろう。

未だに夢にみる。

目眩がするようなドギツイ出来事や、潜在意識以下にまで追いやった過去が、どうしようもなく数えきれないくらいある訳だが。
自分の罪が、消えることは無い。



敢えていうなら、生きることが贖罪であるから。




俺が、迷いながらも生きて来れたのは、あの人が俺に人としての生き方を教えてくれたからだと思う。



俺は…



あの人が俺を導いてくれたように、コイツを導いてやれてるのか?


自信がない。



最近、あの人の気持ちが少しだけ解るようになった気がする。
あの人だって生身の人間だったんだ、と当たり前の事を考える。きっと、こんな風に、たまに、時々、辛かったのかも、な。



だから、ついつい部屋を汚くしてしまうのだ。



…えっ?それとこれとは話が別だって?
まあそうだけど。

「新八…手伝う、わ」

俺はいつものソファーでジャンプを読みながら横になっていた姿勢から、よっと、起き上がった。



「…は? …どういう風の吹き回しですか?…」

掃除機を持ちながら、新八がこちらを見た。

「愁傷な、心がけだろ」

そこら辺に散らかるゴミをまとめ始めてみる。

「…愁傷なら、初めから自分で掃除して下さいよ」

掃除機に向き直って新八は手元のスイッチを入れた。それを見計らって新八の後ろからそっと近付いた俺は、新八をギュッと抱き締めた。



「銀さん…?」

「いつも助けられてばっかりだな…」

一人でいたら、暗い思考に支配されそうになる俺の毎日を、万事屋にお前が、お前と神楽が側にいてくれるお陰で、明るさを保てている。



俺は師匠にはなれない。父親にもなれない。…ならないけどな。



新八の手から落ちた掃除機の先は、電源が入ったまま…。
構わず腕に力を込めた。


…愛しい。

「銀さん、掃除機が…」

と、言葉ではいいつつ、実際にはこれといった抵抗をされないのをいいことに、俺は新八を後ろから抱き締めたまま、その白い頬に、そして耳に、口づけをした。




続く。

【ああああ…迂闊に、あの人、だすんじゃ無かった…モノローグがしっくり来ない…でも二人の関係を描写するのには外せなくて…うだうだ…ていうか銀さん、語尾に幅が有りすぎてムズい】