今日は悟空がお空に逝ってから丁度二年目にあたります…。

それで、「悟空最期の日」と題して…記したいと思います。

なので…。

犬好きの方、悟空の関係者(笑)…。

もしくは、長くなりますので、時間のない方…。

興味のない方…等々

は、

スルーしてくださって構いません…。

あ、あと、涙腺の弱い方も…(笑)

ただ、悟空が『ここにいた』ことだけは、覚えていてくれたらとても嬉しいです。

私は、タオルを片手に綴りたいと思います。

一度、記しときたかったんです…。二年も経ってしまったけど…思い出すと涙は出るけど…。これが、ブログを始めたきっかけだし…。

今日は覚悟して悟空の最期の日、すべてを書こうと思います。





二年前…2011年7月15日

悟空が病気をして、すでに二年が経過してた。



…二年前(2009年)、かかりつけの動物病院の先生はもう、諦めていた…。

「覚悟してください…。

手は尽くしてみますが…。
今日は、預からせてください…。」

私たちは病院に悟空を残して帰った。


次の日、大好きなりんごを持っていったけど、一口も食べなかった…。

「トイレにも行っていません…」

先生の声で、旦那が悟空を外に連れていった…。

「先生、しました!!」

旦那の報告でちょっと安心し、また、預けて帰ろうとすると…。

うずくまったままだった悟空が立ち上がる

『俺も…帰る…。帰らなきゃ…。』

そんな声が、そこにいる人、全てに聞こえた気がした…。

「ここにいてストレス溜めるより…連れて帰った方がいいかもな…。」

先生はそう言った…。

「何かあったら、すぐに電話ください…何時でも構いません…。」

私たちは悟空と一緒に帰ることができた。



それから二年…。

悟空は今日も私たちと一緒に居てくれてる…。

ただ、目が見えなくなって…。
ただ、耳が聞こえなくなって…。

痩せて、毛が抜けて、

そして、吠えることもできなくなって…。

人から見たら、とてもみすぼらしい犬になってしまったけど…。

それでも、

私たちにとっては、かけがえのない家族…。

いてくれるだけで良かった。
生きていてくれるだけで良かった…。

でも、悟空はだんだんとご飯を食べるのもおっくうになり…。
お散歩も行けなくなってた。

粗相も頻繁で…。



私にとっては、そんなこと全然平気なのに…。

悟空自身が…

いたたまれなくなってきてた気がする…

そんなある日…。

旦那が言った…。

「もう、俺たちのために頑張らなくていいよ…。」

そして、数日後…。

その日は来た…。



これが、あの病気になった二年前の日だったら、旦那も長男も耐えられず…どうなっていたか分からない…。

学校とか、勉強とか、部活とか友達とか、仕事とか…。

全て、投げ出していたと思う。

心も身体もボロボロになり、泣き暮らしてたと思う…。

それを察してか、悟空は…。

自分が頑張ることにより、

私たちに…

『死と向かい合う時間』

をくれたんだと思う。

自分はボロボロになって、私たちに生きることの素晴らしさを教えてくれたのだと思う。

悟空…。




2011年7月14日…

いきなり
悟空は、ご飯を…食べなくなった…。

大好きなリンゴも…。
高級な缶詰めも…。

ただ、唯一効く鼻の先に持っていっても…。

いらない…


と、顔を背ける…。

明日になれば食べてくれるかな…。

その日、私は22時には、二階に上がった
…。

で、ちょっと眠り、下に降りてみた。

すると、長女も次女も起きてて、悟空の回りにいる

「お母さん、悟空が変…」

なに?

「狭いところに入ろう入ろう…とする」


……。

き、来た…。
犬の最期の習性…。

人から避けて…一人になろうと…。
狭い場所に移動しようと…。する…。

すでに愛犬を亡くしていた人から聞いていた話…。

時が来た…

私は明日に備えて…
私がしっかりしなきゃいけないんだから…
と、寝ることにした…。

まだ、大丈夫!

勝負は明日…。

私はまた、二階に行ってうとうと…としていた。

深夜をまわって、

2011年7月15日

旦那が下に行った…。

…。

しばらくして、涙目で帰ってきた…。


!!!!!!

ヤー!!
私は慌てた…。

悟空…悟空…!

!!!!!!

半狂乱寸前に飛び出そうとする私の腕をつかんで…旦那が言った。

「まだ…

悟空は生きてる…。」

犬の習性の話を下で聞いてきたらしい…。

「犬って、死が分かると、狭いところへいくとか?
一人で行こうとするとか…?」

うんうん…。

首をたてに振りながら…。
私は冷静に下に降りた…。

まだ、起きてると?

長女、次女、長男まで悟空の回りにいた…。

明日、学校やろ、早く寝なさいよ…。

私は、三人を残してまた、二階へ上がった…。


朝、5時30分…。

下に降りると…。

悟空は…

いた…。

私はお弁当を作り始めた。

悟空が私の回りをウロウロとする。踏まないように、ぶつからないように、身体を交わしながら作業をする。

そして、私はお弁当を作り終えると、買ったばかりのビデオカメラを持ってきて悟空を撮ることにした。

長女が、おちゃらけて言う…。

「いやだぁ、初めての撮りが悟空の死なんて…。笑」

そして、最初の映像は…。
最後のうんこ…。

しかも、台所…。
おいおいおい…。

そうやってるうちに、旦那が仕事に…。

「悟空…行ってくるな…今までありがとな…。」

長男、次女が、学校に…。

「悟空…じゃあねー♡」


残ったのは私と長女…。

悟空は外に行きたい…という素振りを見せるので…、玄関から外に出した…。

すると…


フーッと…

空に吸い込まれそうになった…。

行かないで!!

私はとっさに悟空を抱くと…

そのまま家の中に入れた…。

まだ、まだダメだよ。
みんなが帰ってくるまで…待って!!

私と長女は、今度は二階のベランダに連れて行った…でも、壁が高くて、圧迫感があるから、落ち着けないかな…とまた、下に降りた。

このときにデッキが出来てたらな…。

一回も遊ばせてあげれなかったね。

作り始めた時だったから…
ただ眺めていたね…


そうこうしていたら、長女が学校へ行く時間に…

私に聞く…

「大丈夫…?」

大丈夫よ!行ってらっしゃい…

…と長女も送り出した…。

みんな一緒に居たいだろうな…。
私だけ…ごめんね。一緒にいれて…。

やっぱり、外に出たがる悟空…。

私は大きな外にある長椅子をふたつ並べてそこに二人で座った…。

悟空は…その頃はだんだんと呼吸も荒くなって苦しそうだった…。

その時、私の膝の上で、粗相をした悟空…。

慌てるように立つと、申し訳ないような顔をした…。

ぜーんぜん…大丈夫よ。悟空。そんな顔しないで…。

私は悟空を抱えて、中にはいると、そっと悟空を拭いた。そして、寝かせた…。

お風呂場へ…。

その時、電話が…。

Nちゃんだ…。思わず呟いた…。



悟空がね、なんか…おかしい…。



「すぐ行く!行きたい…!」

Nちゃんはすぐに来てくれた…。

なんと心強かったことか…。


悟空は起きてるとうろうろして、外へ行きたがり、狭いところへ入り込む。

そのたびに…広いところへ戻して様子を見る。

今、寝てるからと、二人でコーヒーを飲んでも、前みたいに起き上がって足下に来ることはもうない…。

熟睡していたら…
死んじゃった?…と、慌てて鼻先に耳を当てる。

あ、かすかな息…。

何度繰り返したことだろう…。

また、息をしているか…と鼻に手をやってみたり…。

「苦しいね…苦しいね…悟空…。」

とNちゃんが話しかける…。

悟空の吐息がホントに幽かになってくる…。

私は悟空を抱いてしゃがみこんだ…。心臓に手をあてた…。
時を刻むのをこの手で感じるために…。

まだ、まだ、悟空…まだダメだよ。

トクトクトク…
トク…トク…トク
トク…トク……トク…ト…

その時、悟空が…。
声の出ない悟空が…。
二回、大きな口をあけた…。


そのあと、悟天は失禁し…。

そして、鼓動が静かに止まった…。


悟空…。

悟空…。

悟空…。

…。

バスタオルに悟空を寝かせた。

お尻にナプキンをあてた。

そして、眼を閉じた…。



Nちゃん、ちょっとごめん…見てて…。

と、私は、悟空から最後にもらった…
生きていた証拠を…
惜しむように流した…。



私は幸せだった。

自己満足だとわかってるけど…。

悟空の最期の瞬間を…この腕の中で送ることができたのだから…。



でも、帰ってきた家族は…。

どうなんだろう…。


悟空が眠る中…。

私はNちゃんから話を聞いた…。

抱っこしてたから…悟空の最期の顔を見てなかった…。

Nちゃんは泣きながら教えてくれた…。

「悟空、最後に吠えたね…

わん

わん

って。

きっと、

ありがとう。

ありがとう。

って、言ったんだね…」

って。

涙が止まらない…。

悟空…。



その時、長女が帰ってきた…。

間に合わなかったよ…。

と、告げると、長女は、泣き崩れた。


「じゃあね。」

と、気をきかして帰るNちゃん!


ありがとう。本当にありがとう。



悟空の身体はまだ暖かかった…。



そして、20分もせずに…旦那が…。

間に合わなかったよ…。

私はまた、同じ言葉を…言った。


「ごめん、ありがとう。
最期に一緒にいてくれてありがとう。」


それは、私に向けての言葉だった…。

え?

私だけがいい思いをさせてもらった…と、申し訳なく思っていたのに…

この言葉は私には驚きだった。

「俺は一緒に最期を見る勇気が無かったから、朝も早く行った…。
こんな思いをお前にだけさせてごめんな…。」

…と。

不思議な気持ち…。

あー、これが役目ということなのかな。

私は一緒にいたかった。
旦那は一緒にいるのは耐えれなかった…。

そうか、悟空はそれが分かっていて、ギリギリの所で旅立ったんだね。

身体には温もりを残せるくらいに…。

しかも、明日から三連休…。

「みんな大泣きして大丈夫だよ…」って。



いろいろと気を使ったね…悟空…。

そして、長男が…。

帰ってきた…。

ガチャ。

逝っちゃったよ…。と、声をかけた。

「え、嘘やろ…。
悟空…。」

長男は…悟空をさわったあと、お風呂場へ行き…。

号泣…。

人目も人耳?もはばからず、思いを叫んでいた…。

唸るような鳴き声が響いた…。


それから、次女…。

声も出さず、はらはらと大きな目から涙を流すのを見ると、また、涙が込み上げてきた…。

みんな、それぞれの悟空…とのお別れの瞬間だった…。


悟空を輪の中心にして、いろいろと話し出した私たち…。

そっかぁ、それぞれに悟空との思い出があるんだね。

私たちは一人一人なのに、悟空は一人でみんなの相手しなきゃいけなかったんだね。

本当にお疲れ様!

本当にありがとう。



私は、その日はなんとか乗り越えられた…。

涙もみんな以上にはこぼさなかったと思う。

さて、この後のこと…。

悟空をどうしよう。

庭に埋める…。そんなに大きな庭じゃないし、掘り返されたらいやだ…。

海に…。
山に…。

取りあえずは…火葬しよう…。

ということで、ペット霊園に電話をして、時間を決めて次の日に連れて行った。


7月16日…。
その日は土曜日だった。

受験生でいつも学校の次女も
学校がなかった…。

部活、部活の長男も今日は
部活が休みだった…。

長女も旦那も別に用事もなく…
みんなが珍しく何もない土曜日…。

悟空…どこまで分かってるのよ…。

みんなで悟空を抱っこして…火葬場へ向かった…。

悟空は、棺に、入れられた…。

「悟空…」

みんなが声をかける…
みんなが最後に悟空をさわる…

お花入れて、オモチャいれて、リンゴいれて…。

悟空…本当にありがとう…。





悟空を焼いている間…。
私たちは家に帰った…。

運転しながら…。
みんなが気づく前に私は言った…。

みんな、大丈夫?

家に帰っても悟空は待ってないんだからね…。

絶対に寂しいから覚悟しなさいよ…。



…と、言ってる途中から…。

私の目から涙が溢れだした。

ヤバイ…
止まらない…


みんなは平気そうなのに…。

どうして、どうして、私が…。


気付いた長男が…言う…

「自分で言って、自分が一番泣いてるじゃん…。」

運転しながら…私は…ただ、前をみて…泣いていた…。

私は…


いや…

私が…

悟空のいない家に入ることが出来なかった…

私は…みんなを家で下ろすと


ガソリンを注いでくると…一人で車を出した…。


一番弱虫だったのは、気を張っていた私だった…。

もう、止まらない…。

涙が溢れだして止まらなかった…。

心に穴が

空いた…

…のを感じた…

いつも、いるところに
いるべきものが…
もう、いない…

ずーっと、もう、いない

その、当たり前のことがなぜ…
こんなに受け止められないのだろう。

私の一部だったんだね。悟空…
私と同じ時を過ごしていたんだね…

思えば一番一緒にいる時間が多かったね…


もちろん、それぞれみんなの一部だったから…。

みんなの心にもすっぽり穴が空いた…。






気を取り直して…ガソリンをついで帰る途中…。

次女からメールが…。

早く帰れ…ってことかなと、開くと



また、涙が…。

次女…後で覚えとけ…と
悪態をつくのがやっとだった…。


家に着くと…私は…
やはり家には入らず…


みんなを車に乗せ
悟空を迎えに行った…。


悟空…

心配だったのは…
目が見えなくなって…頭を柱にぶつけたりしてたから…

陥没してないかなぁ…

ってこと。

あ、きれいな頭蓋骨…。
大丈夫だった…。

わあ、かわいい♪

これは手だね。

きれいな本当にきれいな骨だった。


それをみんなで骨壺に納める作業…

車での火葬なので5人一緒にはできない。

初め、旦那と息子…

めちゃくちゃいっぱい入れてる…
それから、長女

そして、私と次女…。

入れるところないじゃん…。

最後に頭を入れるらしいけど…。

のせて…。

入らないじゃん…と思ったら…


グシャ…。


え?

潰した…。

そんなもんなんだ…。

ちょっとびっくりした…


残りは?

と聞くと、

「ちゃんとお山に撒きます…」

とのこと。

そうなんだ…。

よろしくお願いします…。

「納骨もできます…。

皆さんの気持ちが固まったらお持ちください…。」

何年後でもいいんですか?

「はい、大丈夫ですよ…!」

ということで、帰りは悟空も一緒に帰った。



骨なのに…確かに…悟空…。

存在感が…。

半端ない。

明るい車内…。

悟空がいるだけで…。



ペットって何なんだろうね…。

うちの家族は悟空からいろんなこと学んだよ。

悟空がうちの子供たち育ててくれたよ。

思いやりも…。
愛情も…。
弱いものに対する接し方も…

私が…教えられないことを
悟空が教えてくれた…


悟空…
悟空…

私たちは…また、悟空と一緒に暮らすことになった。









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