自主退院しました(その理由の彼のこと) | 顔面神経麻痺でもごきげんに過ごす方法

顔面神経麻痺でもごきげんに過ごす方法

2017年に顔面神経麻痺(重度)を発症。後遺症を抱えながらもゆるーく不定期更新中(*ˊ꒳ˋ*)「自分だけじゃない」そんな風に思ってもらえたらと同じ悩みの人との輪を繋いでいます。
*T大病院でボトックス。再建手術は未定
*LINEで交流してます

骨盤(寛骨臼)骨折
入院生活72日目目
(転院24日目)

※メッセージ・コメント全て拝見しています。
ありがとうございます。
お返事少々お待ちください。


お久しぶりです。


突然ですが…



退院しました。


してしまいました。


予定退院ではなく、なんと自主退院を。



リハビリ環境は最高で

理学療法士さんの技術も人柄には

文句のつけようもないほど

素晴らしかったのですが


病院のシステムの関係で

コロナ、インフルエンザの流行により


申請していた一日の外出外泊が

認められなかったので

双方話し合いを重ねた結果

退院を選択しました。



この先は家から最も近い

「初台リハビリテーション病院」へ転院し

入院ではなく、家から通いの外来受診で

残りのリハビリ生活を送っていきます。



本来なら少なくとも2月末までは

入院で毎日しっかりとリハビリを受けるべき



それは頭では理解しようとも

説得をいくら受けようとも

私は自分を曲げることはできませんでした。



何故なら

事故が起きるずっと前の8月には

予定をしていた大切な用事があったから。



その用事のおかげで

お仕事の大変さや

プライベートでの悲しくも大切な決断

事故後の入院手術の折も

どんなにつらくでも先には

この予定があるからと死なずに

生きて日々を乗り越えてこられたから。



この退院によって仮に後遺症が残ったとして

私はそれでもいい、とすら本気で思いました。



全ては12月16日。

人生をかけて愛した彼にもう一度会うため。



全然歩けなくても、松葉杖でも

途中どんなに痛もうとも

私はもう一度自分の足で

彼の元に向かいたかったのです。



次回、来年また改めてなんて言葉は

大きな怪我を経験した私の中には

もう存在しません。



いつ死ぬかは本当にわからないって

身をもって体感しましたし、



生きている限りは

名前の通り愛のために生きていたい。



だから自主退院して会いに行きました。


我が愛に一片の悔いなしです。


こちらが5ヶ月前から約束していた

「彼」。


クリスチャン・ツィメルマン 

Krystian Zimerman


私の人生の中で最も長く、最も深く影響を

受けてきたピアニストです。



私が生まれる3年前の弱冠18歳で「ショパン国際ピアノコンクール」で優勝。翌年、ドイツ・グラモフォンよりレコード・デビューを果たし、ヘルベルト・フォン・カラヤン、レナード・バーンスタイン、小澤征爾ら多くの巨匠と共演してきた天才ピアニスト。



私がピアノを習い始め、クラッシック音楽に興味を持ち始めたのが5歳なので、芸術音楽を学ぶために大学を選び、音楽に関わる仕事に携わるまでの40年に渡って彼は私の憧れの人でした。



少女の憧れのお兄さんが、


憧れの男性に。めちゃイケメン。


そして今。世界最高峰のイケオジです。


彼の素晴らしさは、私なんかが語ったら罪になる。



言葉で知るのではなくやはり感じるべきものだから。



でもこれだけは伝えておきたいです!



ピアノが好きな人は一曲だけでいいから

聴いてほしいです。人生変わります。



この人の演奏が生で直接聴けるなら、

自らの色々なことと引き換えにしてもいいと


プライベート、仕事の場で

散々ピアノ音楽を聴いてきた

私が迷わずそう言い切れるほどの

価値のある演奏家です。



おすすめのyoutubeリンク貼っておきますね。

(音が出ます)



ppp(ピアノピアニッシモ)、最弱音を統べる男



ピアノ協奏曲第一番はもうこれ一択。


最後に

今回のツアーコンサートの内容はこちら

クリスチャン・ツィメルマン・ピアノ・リサイタル 2023年日本公演


[プログラム]

ショパン:夜想曲 第2番 変ホ長調 Op. 9-2
     夜想曲 第5番 嬰へ長調 Op. 15-2
     夜想曲 第16番 変ホ長調 Op. 55-2
     夜想曲 第18番 ホ長調 Op. 62-2
ショパン:ピアノ・ソナタ第2番 変ロ短調「葬送 」Op. 35
*****
ドビュッシー:版画
シマノフスキ:ポーランド民謡の主題による変奏曲 Op. 1012月16日(土) 所沢市民文化センター ミューズ アークホール

一曲目の、

ショパン:夜想曲 第2番 変ホ長調 Op. 9-2

ノクターンで一番有名な曲。


最初の5小節でのっけから号泣。

信じられないような美しい音色。

この世界に何かあったのかと思うほど。


ツィメルマン先生のは見つけられずに、

ポリーニ師匠でお届け。この方も勿論すごいです。


次の曲からも全て良かったですが、

(『葬送』がまた!)


わたしのお目当てはメインの

シマノフスキ。

演奏会でわたしは出会ったことのない

とてもレアな曲


あのつらい寝たきり生活で

耳だけは使えるからと

イヤホンとスマホを握りしめて


何度も何度も繰り返し

泣きながら聴いていた曲です。


12のバリエーション中

泣くのも忘れて彼が生み出す

音に終始引き込まれていました。


鳴り止まないカーテンコール。

全身全霊で拍手し続けた手には

翌日アザが出来てました。


ツアー最終日。10日目。

コンディションによる波はあります。

収録音源では無く生もの。

それを超えていこうとする在り方にも

心から感動するし心からの敬意を表したい。


あの輝きに満ちた舞台でたった一人で闘う

そんな彼が、彼らが私は本当に好き。


私の幸せはもう間違いなく音楽で


なんならその音楽ために

こんな怪我をしてしまったけれど


やっぱり他のどんな贅沢なものは

何も無くてもいいから

これだけは私の人生にあってほしい。


そのためにまた元いたところに戻りたい

そのためにもリハビリを頑張って

再び歩けるようになりたい。


私に豊かさを感じさせてくれ

生かし救ってくれた音楽のために


私の人生とはまた違った場所で

ピアノや自分と向き合い片時も離れずに

厳しい研鑽を積んで才能のさらにその先を

目指し続けている透徹のピアニストと

点で交わる全ての音楽環境のために


私はまた前を向いて一歩ずつ進んでいきます。


その先でまた「彼」と再会できることを

願いながら。。



これからもずっと大好きだよ。

また会おうね。それまで元気で。




ここまでの72日間の入院生活において

沢山の方からの愛を受け取って

今に至ります。


ここが丁度折り返しですが


心からの感謝と共に

これからも完治に向けて

頑張っていきます。


いただいたものは全て自分の力に変えて

またこの世界に還元していきます。


今まで支えて応援してくださった皆さま

本当にありがとうございました。