8月のお盆休みの時だったか、その前の普通の週末だったかあまり覚えていないのですが、病院がある町?の花火大会
がありました。

食堂やいろんなところでみんなが、今日は○○の花火大会だよ、なんて言っているのを聞いて知りました。
2日間やるということでしたが、初日は雨が降っていた気がします。看護師さんや介護士さんが、雨だからどうだろうね?と話していました。
花火か…
私は、昔から結構花火大会が好きでした。
旦那さんともあちこち見に行ったり、たまたま観光で出掛けた先で花火をやっていて見たりしていました。
私はなんだかとても悲しいような寂しいような、絶望のような、なんとも言えない泣きたい気持ちになりました。
少し前だったらどこへでも行けた。
花火大会だって行ってた…
旦那さんと歩いて、こっちの方がよく見えるよ、なんて言ってた。
それが今は病院から見るなんて…
まさか、自分が病院から花火を見るようになるなんて思いもしなかった…しかも一人で。
今まで日常だった花火大会。行きたければ、行こうよと言って行けたこと、それが今は日常ではなく、とても遠い手の届かないものになってしまった、そんな風に考えてしまいました。
花火の話を聞いた私は寂しくて旦那さんに電話していました。そのために来るなんてないだろうけど。
私の病室は山側で、花火は反対側の部屋の人しか見えないからそのまま寝ればいいんだ。そう思いました。
それに、私は今入院しているんだ。花火なんかどうでもいいだろ、とも思いました。
でも、お恥ずかしい話ですが、花火、見たいなと思いました。
夕方、豆カレーさんが帰る前に部屋に挨拶に来てくれました。
「それじゃあ私帰りますね。今日は○○の花火大会なんですってね。」
私 「そうみたいですね」
私の浮かない顔に気づいたのか豆カレーさんはとても明るい感じで、
「病院から花火を見るなんてもうないかもしれないよ?ちびまんじゅうさんは元気でもう病気にならないかもしれない!だから楽しんでね」
と言ってくれました。
私→→→ぽか~ん
な、なんて、なんてプラスなの

そんな考え方、思いもしなかった

今思うと、今までの看護師としての経験から、家族から離れて長期で入院している人の気持ちがわかっていたのかもしれません。
でも、私はまた豆カレーさんの言葉にすごく救われました。豆カレーさんはこうやっていつも私をプラスに引き上げてくれる⤴️⤴️凍りつきそうだった気持ちが一気に暖かくなりました。
前向きな気持ちになり、夕御飯の時間になり食堂に行くと、今度はうどんさんが、
「雨でどうだかわかんないけど、花火見るなら私の部屋においで。よく見えるから」
と声をかけてくれました。私は嬉しくなって、
「わかった。行くね」
と言いました。
まだ自分でベッドから車椅子に乗ることが出来なかった私は、夜勤の看護師さんに、花火が始まったら教えてください、うどんさんの部屋で見たいので車椅子に乗せてください、とお願いしておきました。
そして嬉しいことに、夕方、旦那さんが来てくれました。別に花火だから来てくれたわけではないとは思うのですが。
まだ雨は降っていましたが、花火が始まり、私は旦那さんと、うどんさんの部屋で花火を見ることが出来ました。うどんさんが他の人にも声をかけてくれていたので、賑やかな感じで楽しく見ることが出来ました。
きっとお祭りの催しの一つが花火なのか、15分くらいしかやらない花火大会でしたが、とても思い出深い花火になりました。
すぐに下がってしまう私の気持ちを豆カレーさんをはじめ、うどんさん、旦那さん、その他にもたくさんの人達に引っ張りあげてもらい支えられて今があるのだなあと思いました。