こちびまんじゅうとの面会後、私の意識はもうすっかりはっきりしていて、朦朧とする日はなくなりました。
体も少しずつ感覚を取り戻してきているようで、鼻から栄養を入れられると、苦しいような気持ち悪いような感じがしたり、体の向きも自分では変えられなかったので看護師さんが時間で来てくれて右向き、左向き、仰向けなどと動かしてくれていたのですが、それも、同じ姿勢でいるのがつらくなってきいて時間まで我慢できなくなったりしていました。
そしてもう一つ、動けなかった私はナースコールが使えなかったので、アラームが鳴るような緊急事態の時以外は、ひたすら看護師さんを待ったり、面会に来てくれる旦那を待つしかなかったのですが、ある看護師さんが
「ちびまんじゅうさん、首が動かせるようになったから、顔で触って鳴るナースコールが多分あるから、それを設置してもらおうか?」
と言ってくれました。
そのナースコールは、先端に少し触れるだけで鳴るというものでした。
ただ、顔の近くに設置してもらわないと届かなかったので、間違えて鳴らしてしまうことも多かったけれど、その時はまだ自分の唾液や痰を飲みこむことが出来なかったので吸引をしてもらっていたので、苦しいときにはナースコールで看護師さんを呼べるようになりました。
まったく動けなくて毎日ベッドに寝てテレビを見ているだけだった私は少しだけ前に進めた気がしていました。
そして、旦那からは、リハビリ病院に行く話しをされていました。
病気の発症からの期限が決まっていて、リハビリという扱いで転院できるのは6月12日まででした。それまでに呼吸器を外せないと、リハビリ病院には行けるけれど療養と言う扱いになるということでした。
この、リハビリと療養という扱いの違いは後から知ったのですが、リハビリをやってもらえる時間が変わるということでした。リハビリという扱いで行ったほうがリハビリの時間は多くなるので、なんとか呼吸器を外してリハビリ扱いで転院しないと、旦那にそう言われました。
候補が二か所あり、近いところと、県内ではあるけれど遠いところ。
担当の看護師さんと旦那が、厳しいけれど、私の今の状態を考えると、遠いほうがおすすめかなと話しているのが聞こえました。
後日、私が一人の時に、多分、転院先の病院と連絡をとってくれている看護師さんが来て、
「ちびまんじゅうさんは、どっちに行きたい?」
と聞かれました。
そのことについて、旦那ときちんとは決めていませんでしたが、私は担当看護師さんとの話を旦那からも少し聞いていたし、自分もなんとなくそのほうがいいのかなあと思ったりもしていたので、遠いほうの病院を答えました。
看護師さんは、その病院に連絡をとると言っていました。
そして、呼吸もだいぶ安定してきた私は夜もCPAPの設定で過ごすことができるようになりました。
それが、転院期限のぎりぎりでした。
転院予定の三日前、私はついに人工呼吸器を外すことが出来ました。