10月の終わりから11月の始めにかけて、
家族である島へ旅行に行ってきた。
最終日は飛行機が出るまでの間、
観光をして回ろうということになり、
フェリーで島を移動して別の港に降り立った時のことだった。
フェリー降り場のすぐそばには、
観光客や、遠方者の為に用意されたタクシー乗り場と
大きなお土産屋がある。
建物の中には、フェリーのチケット販売所や売店が所狭しと
立ち並び、乗船客でごった返していた。
平日にも関わらずこのにぎわい。
聞けばその日は地元名物の祭りが夜から始まるとのことで、
それも関係しているのかとも思った。
そんな中ふと建物の出口付近に目をやると、
初老の男性が、大きな箱になにやら土産品を詰めて抱えていた。
それは地元の特産品で作ったお菓子だった。
フェリーの乗り降り客に対してそのお土産を売ろうとしているようだった。
箱の中にはまだぎっしりと詰まったままだ。
道行く人に声をかけながら売り歩くのがいいのだけれど、
男性はそれができない様子だった・・・。
すれ違う家族や恋人たちの笑顔と黙ってその場でお土産の
入った箱を抱えている男性との温度差があまりにも大きすぎて
僕はひどくやるせない気持ちになってしまった。
「なぜ、もっと声を上げて声をかけないの?」
「お菓子なんだから、試食でも付ければ立ち止まってくれる人がいるかも」
でも、男性にはそれができないのだ。
売り方がわからず、ただただそこにいるだけしかできない
その時の男性の光景をいまも思い出してしまう。
どういういきさつであの場所で商売をしているのか
当然僕には知りえない。
ただ思うことは、自分や周りの人たちに
同じような思いはさせたくないということだった。
皆に幸せになってほしい。
けれど、口で語るほど成功した人間でもない。
早く貢献できる人間になりたいと改めて感じた。
