高校時代の友人・Tちゃんは、とても変わった子でした。
彼女はなんと、フォーリーブスのファンでした。
フォーリーブスですよ!
私たちが高1だった1987年当時、もちろんフォーリーブスはもうとっくにグループとして活動していなかったし、子供の頃によくテレビ番組の司会などで見かけていたおりも政夫ですら、姿を見る機会は少なくなっていたと思います。
そんな時代に、10代の女の子がなぜフォーリーブスのファンに…?
そこは今もって謎ですが。
フォーリーブスの中でも特に、北公次が好きだったTちゃん。
私はフォーリーブスは知っていたけど、メンバーの名前は、おりも政夫と、俳優として活躍していた江木俊夫しか知らなくて、Tちゃんと仲良くなって初めて北公次という人を知ったのでした。
Tちゃんが北公次についていろいろ見せてくれたりしても、「へぇ〜北公次って男前なんだね〜」くらいの印象を受けただけでした。
1988年。高2の時。
Tちゃんが「これ読んでみて」と言って、一冊の本を貸してくれました。
それが、北公次の『光GENJIへ』でした。
この本は後にベストセラーになったようですが、Tちゃんが私に貸してくれたのが本の発売後すぐだったこともあって、私は内容については何も知りませんでした。
本は好きだから、家に持ち帰って速攻読みました。
衝撃でした。
こんなことがあっていいのかと。
そして「大問題になるねこれは!!」
と、思ったのです。
ところが、何も起きなかった。
確か話題にはなったと思うし、週刊誌にも取り上げられていたように思います。
でも、それだけ。
芸能界で何かあったら、テレビのワイドショーのレポーターが、対象者の家だの事務所だのに突撃しますよね。
そういうのは一切なかった。
結局のところ、世間では「芸能活動が上手くいっていない過去の人物の売名行為」みたいな受け止め方で終わっていたように思います。
すぐに北公次の本のことは忘れ去られ、私も興味を失いました。
でも正直、テレビ等にジャニーズのタレントが出ていると、「この人もそうなんだろうか…」という目で見てしまっていたのは確かです。
私には、北公次のあの本の内容が嘘だとは、とても思えなかったので。
あれから35年も経って、今、大変なことになっている。
加害本人、もう亡くなっているのに。
北公次も亡くなっているのに。
今頃問題にしたって遅いよね。
才能や魅力に溢れた若い男の子たちの尊厳を踏み躙りながら財を成した事務所。
名前を変えるとかではなくて、解散するべきだったのではないかな。
しがみついていたいのは、誰なのかな。