先日、鈴木忠志氏が演出した「リア王」を見ました。静岡の劇場で見て以来、久々です。冒頭から緊張感がみなぎる舞台。音楽も素晴らしい!富山県の利賀で磨きあげた鈴木メソッド。日本人と韓国人、中国人が一緒に演じて全く違和感がありません。やはり、本物は世界に通用します。

 

「演劇とは、人間の同一性と差異を一度に示す芸術である」とは、ピーターブルック氏の言葉です。演劇を見ることで、人とは何か、社会はどうあるべきか、考えさせられます。

 

鈴木忠志氏は私に「文化力こそ経済力」と語って下さいました。対日貿易黒字を積み重ねているのは、米国でも、中国でも、韓国でもなく、フランスやイタリアです。高級車、ブランド品、ワインなどを輸出し、観光客を世界中から集める。文化力がフランスやイタリアの経済を支えています。(中国は単独では対日貿易黒字ですが、日本から台湾や香港を経由して中国に向かう輸入が多いことを考えると、中・香・台の3 China合計では対日赤字と考えられます)。

 

コスト競争に血眼になっているだけでは、日本経済は復活しません。わが国の文化レベル、それぞれの地域の文化力が高まってこそ、日本の物が世界で喜ばれ、日本を訪れる外国人が増えます。

 

文化政策はどうあるべきか。しっかり取り組みたいと思います。

 

鈴木忠志氏演出のリア王は吉祥寺シアターでご覧頂けます。

吉祥寺シアターHP

http://www.musashino-culture.or.jp/k_theatre/