○細野委員 民進党の細野豪志でございます。
 安倍総理を初め閣僚の皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。
 私からは、まず、日本という国家の基本にかかわる、天皇陛下の御譲位の問題についてお伺いしたいというふうに思います。


 総理も施政方針演説の冒頭で、陛下の御公務の負担軽減等についてというふうに言及をされました。我が党も、これは極めて重要な問題ですから、皇位検討委員会を立ち上げまして、そこで専門家と議論をしっかりと行いまして、一定の方向性を出しました。


 この問題を考える際に非常に重要なことは、象徴天皇というのは一体どういう役割を担っておられるのか、担っていただくべきなのか、このことだというふうに思っています。
 議論のきっかけは、言うまでもなく、昨年の八月八日の陛下のお言葉ですね。私が陛下のお言葉の中で非常に感銘を受けましたのは、これから読ませていただく部分です。何よりもまず国民の安寧と幸せを祈ることを大切に考えてきましたが、同時に事に当たっては、時として人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添うことも大切なことと考えてきましたとおっしゃっているわけです。


 我々が政権を担当しているときに、東日本大震災が起こりました。あのときに、いかに陛下が本当に大変な思いをしながら被災地を回られたか、それを間近で拝見してきた人間として、この言葉には私なりの非常に思うところがございました。


 まず、総理にお伺いをしたい。


 象徴天皇の役割というものを総理はどのようなものだというふうに考えておられるか、このことは御譲位の問題を考えるときに極めて重要なことだというふうに思いますので、お答えをいただきたいというふうに思います。

 

○安倍内閣総理大臣 国会においては、衆参両院の議長、副議長を中心に各党各会派からの意見聴取が行われ、静かな環境で議論が進められているものと承知をしています。
 有識者会議において、日本国憲法における天皇の役割についてさまざまな意見が述べられたと承知をしておりますが、政府としては、衆参両院の議長、副議長のもとでの議論をしっかりと受けとめ、さらに検討を進めていく考えでございますので、現時点で、その中の論点の一つでもございますから、予断を与えるようなことを申し上げることは差し控えたいと思います。

 

○細野委員 議論の結論についてここで総理に断定的に述べていただきたいと言っているわけではないんですね、総理。象徴天皇というのはどういう役割を果たしていただいているのかということについて総理はどうお考えになっているかという、極めて国家の基本的なことについてお伺いをしていますので、お答えをいただきたいと思います。

 

○安倍内閣総理大臣 今申し上げましたように、有識者会議においても、象徴天皇のあり方はどういうあり方であるか、それはやはり、役割をどのように担っていくかという機能としての存在なのか、あるいは存在そのものなのかということが議論の中心的な課題であったことは御承知のとおりなんだろう、このように思う次第でございます。


 それはまさに、退位のあり方等も含めて、そこにかかわってくるわけでございまして、まさにそれを議論している中において、そしてかつ、衆議院議長そして参議院議長、これはまさに静かにやろうということでございますから、やじ等は慎んでいただきたいと思います。(発言する者あり)済みません、重ねて申し上げますが、民進党の皆さん、こういう問題でやじり合うのはお互いにやめようではありませんか。


 まさにこれは、衆議院の議長と参議院の議長と両副議長が入って、そして各党からお話を伺う中において議論を進めていこうということでありますから、私たちはその議論をしっかりとまずは見守りながら、その結論を受けて私たちは法案を取りまとめていくということを考えているところでございます。

 

○細野委員 もう少し具体的にお伺いしたいと思います。
 政府でも有識者会議を開いておられまして、多くの方からヒアリングをされています。その中のヒアリング対象者の一人に八木秀次麗澤大学教授がおられまして、十一月三十日にこういう発言をされています。先ほどの総理の御発言とも重なりますので、紹介をします。


 天皇は我が国の国家元首であり、祭り主として存在することに最大の意義がある。祭り主としての存在が最大の意義だと。八月八日のお言葉は、これは陛下のお言葉ですね、存在よりも機能を重視したもので、皇位の安定を脅かすと。これは、陛下のお言葉を真っ向から否定している、そういう言葉を八木教授が述べておられるわけですね。


 先ほど、機能か存在かという話を総理御自身もされましたが、この八木教授の考え方について総理はどのようにお考えになるか。もちろん、先ほどおっしゃったように、これが法律につながるということでありますけれども、有識者会議もやってこられたわけですから、総理としてどうお考えになっているのか、ここを少しはやはり答えていただきたいというふうに私は思いますので、ぜひお願いします。

 

○安倍内閣総理大臣 これは、殊さら違いを強調する必要もございませんし、エキサイトしながら皆さん議論することでもないんだろうと思いますから、お互いに、静かに、思慮深く議論していくべきだろうと思います。


 八木さんが述べられたのは、憲法に、いわば皇位は世襲によって継承されていくという趣旨のことが書かれています。世襲であるのならばこれはいわば能力主義ではないわけでありまして、そして、その世襲の中において男子の皇嗣が継承していくということになっていくわけでございます。


 その中で八木さんがおっしゃっていたことは、いや、こちらの方の方がふさわしいのではないかということになるかもしれないという議論をされたわけでございます。その中において、いわば皇位が不安定化する可能性ということに言及されたんだろうと思います。


 この議論について、私が今どのように考えるかということについて述べるのは差し控えさせていただきたいと思います。八木さんとは別の考え方でも意見を述べておられました。


 つまり、この問題というのは、過去、長い長い歴史があります。そして、これから先の未来を見据えながら、慎重にしっかりと議論していくことが求められているのではないか、このように思います。

 

○細野委員 八木氏は、退位そのものに反対をしておられる、そういう御意見をお持ちなんですね。


 私が有識者会議でやや違和感を覚えましたのは、御譲位について国民の九割が賛成をしているんですね。であるにもかかわらず、ヒアリング対象者十四人のうち六人が退位そのものに反対をする意見を述べられている。これはいかにもバランスが悪くありませんか、総理。
 もう一つちょっと気になる発言を八木氏はしていまして、ここを総理にお伺いしたいんですが、八木氏はある雑誌でこういうことを答えられているんですね。


 八月八日の陛下の会見、その前の週の夕方、官邸から私のもとに電話が入りました、電話をくれた担当者は安倍総理とも打ち合わせをしたということでしたが、お言葉の概略や背景事情を知ることができました、こうお答えになっているんですね。


 総理、八月八日の会見というのは、我々も本当に姿勢を正して聞きました、どういう御発言があるのか。これを事前に、官邸から電話があって、しかも総理了承のもとで聞いているということになると、これは、八木さんは相当影響力を及ぼしたんじゃないかということになりますよね。


 総理、こういう事実はあったんですか。

 

○安倍内閣総理大臣 八木教授に官邸関係者が説明を行ったということは、私は事実を承知しておりません。

 

○細野委員 ということは、八木氏が事実に反することを言っておられるか、もしくは、官邸から電話をしてきたという担当者が安倍総理に言ったよという虚偽のことを言ったか、どっちかですね。


 これは極めて重要なプロセスの問題ですので、八木秀次氏をこの予算委員会の参考人として、きちっと出てきていただいて御説明いただきたいと思いますので、お取り計らいを、委員長、よろしくお願いいたします。

 

○浜田委員長 理事会で協議します。

 

○細野委員 もう一つ総理にお伺いしたいことがあります。


 天皇陛下を含めた皇室の皆さんの人権をどう考えるかですね。やや唐突な質問に思うかもしれませんが、非常に重要なことですので、総理にお伺いをしたいんです。


 天皇陛下は、憲法上の国民に入りますか、入りませんか。それによって、導き出される方向性というのは大きく変わります。総理はどうお考えになっていますか。

 

○安倍内閣総理大臣 今、天皇陛下の人権について御議論をされようということだろうと思いますが、一般の国民とは異なる一定の制約があるものと理解をしております。

 

○細野委員 つまり、天皇陛下は国民ではないということですか。

 

○安倍内閣総理大臣 例えば、我々は全員パスポートを持っているわけでございますが、天皇陛下は持っておられないわけでございます。


 天皇については、憲法上、第一条において、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であるとされておりまして、第二条において、皇位は世襲のものであるとされているわけでございます。さらに、第四条において、国政に関する権能を有しないとされているわけでありまして、一票を投じられるということももちろんありませんし、そして立候補するということももちろんこれはないわけでございます。


 そういうことにおいて、一般の国民とは異なる一定の制約があるという御存在であるということではないかと思います。

 

○細野委員 これは学説もやや分かれていまして、例えば、いわゆる憲法の非常に重要な基本書の一つを書かれている芦部信喜教授は、天皇陛下は国民であるというふうな学説を立てておられる。一方で、私は大学で佐藤幸治先生から憲法を習いまして、この方も非常に重要な基本的な本を書かれている方ですが、佐藤教授は、陛下は門地によって区別されていると。確かにそうですね。したがって、国民ではないが、一方で、人権については最大限尊重されるべきである、こういう考え方を提示されている。


 今総理がお答えになったように、陛下には、例えば政治的な、立候補する権利であるとか、さらには投票する権利は、これはありません。さらには、皇居にお住まいでありますから、居住移転の自由もないわけですね。陛下の役割を職業と見るかどうかは別ですけれども、違う職業についていただくわけにはもちろんまいりませんので、職業選択の自由もない。


 なぜ、これだけの人権を与えられない存在でありながら、特別な存在として陛下にいていただく必要があるのか。ここが一つ重要なんですが、総理、ここはどうお考えになっていますか。

 

○安倍内閣総理大臣 まさにこれは、日本の国の成り立ちの中において、現憲法において象徴として定められているわけでありまして、そして、その地位は国民の総意によるわけでございます。


 そして、同時に、現行憲法が成立する以前から、長い期間事実上いわば伝統的な象徴として存在してこられたわけでありまして、ひたすら国民の安寧そして国の平和を祈り続けてきたのが天皇の御存在であろう、このように思うわけでございます。

 

○細野委員 そこは、総理と私も見解が一致します。やはり伝統の継承者として非常に重要な役割を担っていただいているので、人権という極めて、本当に国民にすべからく与えられている権利がない状態であっても、そういう役割を担っていただかなければならないわけですね。


 ただ、総理、ここはどうですか。そういう存在でありながらも、やはり、お願いをする我々としては、総意として天皇陛下にこれからも役割を担っていただくということを考えたら、最低限、ほとんど、憲法に書いてある人権は陛下にはないんですよ。その中にあって、例えば思想、良心の自由、さらには、全てというわけにはなかなかいきませんけれども、表現の自由、会見なんかはまさにそういう部分に属するところだというふうに思うんですが、そういったことについては国政に関する機能を有しない範囲において最大限にやはり尊重していかないと、現代において天皇制度そのものも存続し得ないんじゃないかと私は思いますよ。


 八木氏の発言は、八月八日の会見は、これは陛下として発言されるべきではなかったのではないかというようなこともおっしゃっているようでありますけれども、そういう人権問題に対する配慮がなさ過ぎると思います。


 総理、陛下の人権について最大限尊重すべきだ、この考え方についてどう思われますか。

 

○安倍内閣総理大臣 天皇陛下の御存在というのは、今申し上げましたように、特別な御存在である、そして、その中においてさまざまな制約があるのも事実でございます。


 確かに、今、言論の自由ということをおっしゃったわけでございますが、国民統合の象徴という立場を当然天皇陛下もよく理解をしておられます。そして、まさに、天皇になるべくしてずっと教育を受け、よき天皇となる努力をずっと長年重ねられ、そして皇太子から天皇となられたわけでございます。その中で、自己的に抑制すべきところは抑制されながら、象徴としての立ち居振る舞い、言動を見事になさってこられたんだろう、このように思うわけでございます。

 

○細野委員 陛下がそういうふうに、本当にみずからの役割を全うすべく努力してこられた姿を私も拝見してきました。そこは同じです。


 ただ、今、総理の発言を聞いていると、陛下の人権について、できる限り尊重していくという言葉は残念ながら出なかったですね。これは私は残念だと思います。そういった部分についてやはり政治の世界も最大限配慮をして、できる限りそういったところについて、陛下がやっていただけるような環境を整える努力をもっとすべきではないかというふうに感じたということを申し上げたいと思います。


 その上で、具体的な話に入りたいと思います。


 有識者会議の論点整理が先日出ました。結論は保留をされているんですけれども、実際には、意見の羅列をしている数を見ると、恒久化、すなわち皇室典範の改正については非常に消極的な姿勢がかいま見えます。


 例えば、恒久化、すなわち、今上陛下だけではなくて、これからも陛下に御譲位可能な制度をつくるということに関しては、積極的な意見を書いたものは十、課題、すなわち否定的な意見としては二十三あるんですね。一方で、今上陛下に限ったものとする場合ということについては、こちらは積極的な意見が四で課題が三ということですから、この数を見ると、およそ大体どういう方向だったのかというのがかいま見えるわけですね。


 そこで、やや、やはりこれは見過ごせないなと思いましたのは、有識者会議の御厨座長代理は、昨年十二月のインタビューでこういうことをおっしゃっているわけですね。会議発足の前後で政府から特別法でという方針は出ていた、基本的にはその方向で議論を進めるのだと個人的には思っていた、こう発言されているわけですね。


 総理がおつくりになった有識者会議ですので、ここだけは申し上げておきたいですけれども、天皇の地位は国民の総意に基づくとされています。そして、それを決めるのは全国民を代表する国会ですね。これは四十三条。何の権限もない有識者会議をつくって、そこで勝手に方向性を出すということであれば、この基本的な憲法のあり方そのものにも大きく反しますよ。
 改めて確認をしますが、総理、有識者会議というのは参考意見であって、国会でしっかりと物を決めていくということでよろしいですね。

 

○安倍内閣総理大臣 有識者会議の意味は、この有識者会議、天皇の皇位継承も含め、公務負担の軽減等について御議論いただくにふさわしい方々にお集まりをいただき、かつ、さまざまな方々にお越しをいただいてお話をいただいたわけでございます。


 それについて細野委員から御批判もございましたが、しかし、この問題について長い間研究をし、考え抜いてこられた方々を集めているわけでございまして、それが世論調査の結果とは必ずしも異なる場合もあるわけでございますが、そこでの議論は、傾聴に値する議論は多々あったのは事実でございます。そういう傾聴に値する議論の中からいわば論点が導き出され、その中で論点整理をしたわけでございます。


 つまり、この論点整理について、これを国民的にも、国民の皆様にも参考にしていただき、そして理解が深まっていくものと思うわけでございます。


 つまり、先ほど申し上げましたように、日本の長い歴史に目を向ける、つまり、長い歴史の中で、例えば天皇の継承の中でどういうことがあったのか、そして、今後あり得る普遍的な課題もあるわけでございますから、そういう課題はどういう課題があるのかということをやはり考え抜いていく必要があるわけでございまして、我々、世論調査結果が出て、そのとおりにするというのであれば至極簡単でございますが、しかし、そうではなくて、これからの皇族そして皇室、そして日本のあり方も十分に視野に入れながら思慮に思慮を重ねていく必要もあるわけでございますから、そういう思慮を重ねてきた方々の御意見も参考にするということは当然私は必要となる、こう思っております。


 そこで、この論点整理したものを衆参両院議長にお渡しさせていただきまして、これを参考にしていただきたいということを申し上げているわけでございまして、これはまさに参考ということでございます。

 

○細野委員 参考意見だという話がありましたので、ここからまさに国会でしっかり議論をしていきたいというふうに思いますね。
 この御譲位を特別法にするのか、皇室典範にするのかというのは極めて重要です。
 そこで、改めてちょっと私の方で申し上げたいのは、固有の事情があるから特別法だという議論があるんですが、私は、そこは違うということは明確に共通認識にする必要があるだろうというふうに思うんですね。


 陛下のお言葉を聞いていますと、御自身が疲れたからおやめになりたいとおっしゃっているわけではないんですね。ここは誤解してはいかぬ。そうではなくて、御高齢になると、象徴天皇としてさまざまな機能、行為をすることができなくなるので、その前に譲位をしたいというふうにおっしゃっているわけです。


 もちろん、陛下の言葉があったから即そのままにしろとは言いませんよ。それは、国政に関する機能を有しないということについてしっかり認識する必要があると思います。


 しかし、天皇制度のあり方そのものというのは、これは、天皇というのは特別な地位であると同時に、まさに陛下御自身の人格そのものでもあるし、御家族の問題でもあるわけですね。そのことを考えると、やはり陛下がずっとこうやって天皇の形をつくってこられたことについてはしっかりそんたくをして、その上で何ができるのか。すなわち、特別な事情で特別法でやるということではなくて、恒久的な制度として皇室典範を改正すべきだという結論を私は出すべきだというふうに思います。


 私どもは批判するだけで終わりたくないと思っていまして、こういう要件を立てました。皇嗣が成年になっていること。それがないと天皇制度が続いていきませんので、なかなか。さらには、天皇の御意思があること。そして、皇室会議の議を要件に、高齢譲位を可能にする制度を皇室典範で導入すべきだというふうに私どもは考えております。


 残念ながら総理はこのことについて答弁の中ではお答えにならないと思いますが、我々の考え方としては、しっかりと御認識をいただきたいと思います。


 この点に関して最後にお伺いしたいのが、憲法の問題なんですね。


 憲法二条には皇室典範が法律名として書かれて、皇位継承に関する条文になっている。有識者会議のヒアリング対象の中に大石真教授がいらっしゃる。京都大学の先生で、私も存じ上げています。この大石教授がこうおっしゃっているんですね。憲法二条で皇室典範という単一の名称まで特定した趣旨に合致しないおそれがある、特別法でやると。


 ちなみに、総理、大石教授というのは御存じですか。御存じですね。この方は京都大学の教授をやっておられたんですが、実は、京都大学の憲法学の中でいうとやや保守派に属する方というふうに一般に理解されています。すなわち、憲法改正についても柔軟な考え方を持っておられるし、また、一昨年問題になりました集団的自衛権の憲法解釈の変更についても理解を示された。


 こういう保守派と言われる憲法学者の中で、憲法違反の疑いについて、慎重な物言いではありますけれども、言われているということについてはどう思うかということなんですね。


 総理、ここはしっかりお答えをいただきたいんですが、私が今懸念をしていますのは、いわゆる保守派と言われる方々の中から陛下の人権をないがしろにするような発言が出てきていることが非常に気になる。さらには、憲法上の地位が危うくなるわけですね、仮に憲法違反ということになれば、特別法でやってしまって。そういったことになる可能性が少なくともある。このことが、むしろ皇位の継承なり天皇制度というのを危うくしませんか。少なくとも憲法違反の疑いだけは完全に払拭しておかないといかぬと皇位の継承の観点から私は強く思いますが、総理はどうお考えになりますか。

 

○安倍内閣総理大臣 まず、この国会の議論の場において天皇陛下のお言葉を引用することについては非常に慎重でなければならないと思いまして、それはまさに玉座を胸壁となすことにつながっていくわけであります。つまり、我々はかつてそういう経験をしているわけでございますから、陛下のお言葉を立法のときに、この言葉があったからどうかということについては我々は非常に慎重でなければならない、こう思っているわけでございます。


 そこで、今、特別法でやるのか、あるいはまた典範そのものでいくのかということでありますが、特別法でいくことについて、我々はそこまでは全くこれは決めていないことでありますが、それが果たして憲法との関係がどうなのかということについては、法制局長官から答弁をさせたいと思います。

 

○細野委員 法制局長官の答弁は聞きました、秋の臨時国会で、予算委員会で。ですから、もうそれは結構です、同じ答弁でしょうから。ですから、法制局長官の答弁は、特別法でやっても憲法違反ではないという答弁ですね、確かに。


 しかし、保守派の憲法学者の中にも憲法違反の疑義について言う、そういう意見が出てきている中でやり切ることが本当にいいんですかということを聞いているんです。これは極めて重要です。


 総理、もう一度お答えいただきたいと思います。

 

○安倍内閣総理大臣 大石先生は、安倍政権においてもいろいろと御助言をいただいておりますから、よく承知をしておりますが、しかし、憲法との関係においては、純粋に、行政府としての解釈はかつて法制局長官がもう答弁をしているとおりでございまして、これが政府の立場でございます。

 

○細野委員 総理、それは余りに都合がよ過ぎると思いますよ。だって、集団的自衛権については大石先生の意見を聞いておいて、この問題については大石先生の学説は違います、そういう話ですか。


 少なくとも、集団的自衛権も重要ですよ、憲法解釈を変える変えないは大変重要だったけれども、国家の基本ということに関して言うと、こちらの方がさらに重要ですよね。一点の曇りもなく憲法上しっかり問題ない存在として皇位を継承していただくということでなければ、まさに後世に禍根を残すじゃないですか。それは当たり前でしょう。

 

○安倍内閣総理大臣 今私が言ったことを誤解しないでいただきたいんですが、集団的自衛権の行使変更のときは、そのときも、当然でございますが、法制局の見解というのは安倍政権の見解、安倍政権の見解はまさに法制局の見解でもある、これは一体でございますから。
 今回も一体でございますが、これは皇室典範を変えないということを申し上げているのでは全くないわけでありまして、特別法でやる場合の憲法との関係においての政府としての解釈を申し上げたわけでございまして、今度どのようにこの法制を考えていくかということは、これは立法技術的なこともかなり含まれるわけであります。それについては、まさにそれはこれから考えていくわけでありまして、まさに両院の議長、副議長の間で、各党からお話を聞いて意見を取りまとめていかれるわけでありますから、その前にここで私がどちらでいくということを申し上げることは差し控えさせていただきたいと思っております。


 事実、これは本当に我々は決めておりませんから。それは事実でございます。

 

○細野委員 立法技術上の問題は私も理解します。


 今総理は、皇室典範の改正をしないとは言っていないとおっしゃいましたね。すなわち、皇室典範の改正も含めて幅広に議論して、必要があれば改正するという理解でよろしいんですね。答弁ください。

 

○安倍内閣総理大臣 それは当然、必要であれば改正をするわけであります。

 

○細野委員 わかりました。


 もう一点だけ、この点について聞きたいと思います。


 御譲位が可能となる制度になった場合は、その後どう皇統を守っていくかということが重要になるわけですね。今、一部聞こえてくるところですと、秋篠宮殿下が皇太子に言うならば該当する、そういう地位につかれるということであります。そうしますと、その次のお子さんは悠仁親王でありますから、そこに皇位が継承されていくと考えるのが国民的には自然だし、今の制度ということになるわけですね。


 ただ、男子の親王、皇族ということでいうと、お若い皇族は悠仁親王しかおられないわけですね。そうしますと、悠仁親王に男のお子さんが生まれなかった場合については、現状においては皇位が断絶をされてしまう。この問題について、やはりそろそろちょっと考えていかなければならない時期に来ているのではないかと思いますが、総理、いかがお考えですか。

 

○安倍内閣総理大臣 安定的な皇位の継承を維持することは、国家の基本にかかわる極めて重要な問題であると考えています。


 この問題については、慎重かつ丁寧に対応する必要があると認識をしており、男系継承が古来例外なく維持されてきたことの重みなどを踏まえつつ、今回の公務の負担軽減等の議論とは切り離して、安定的な皇位継承の維持について引き続き検討してまいりたいと思います。

 

○細野委員 私もこの問題にすぐに結論が出るとは思っていません。しかし、逆に言うと、こういう議論が行われるときでないと、こうした議論も正直言うとなかなかやりにくい面があるので、あえてさせていただいているんですね。


 そこで、総理、かつて総理はこういう発言をされていますね。男系を維持するために、希望する旧宮家の皇籍復帰もしくは養子、このやり方を総理御自身が発表されていますが、こういう考えを今でも持っておられるんですか。

 

○安倍内閣総理大臣 これは総理大臣に就任する前の話でありますが、一つの選択肢としてそれはあり得るのではないか、こう考えていたわけでございます。


 と同時に、これは制度として考えることと、非常に個別具体的に考えていくことにもつながっていくわけでございまして、それぞれ対象者の方々がいわば宮家におられるわけでございます、女王の方々がおられるわけでございまして、そういう方々、まさにその方々の未来が決まっていくということにもつながっていくわけでございます。


 ですから、これは制度として考えていくことではあるわけでございますが、その制度をつくっても、これは全く絵に描いた餅にならないようにしなければいけないわけでございますし、そもそも、私が今申し上げたことについても、では果たしてその対象者がどこも希望というか、全てから拒否されるということもこれはあり得るわけでございます。


 いずれにいたしましても、安定的な皇位継承につきましては、今私の考え方を述べることは差し控えさせていただきたいと思います。これも含めて御議論を今後いただければ、また検討していきたい、このように考えているところでございます。

 

○細野委員 正直言って今の総理の答弁は、私は聞いてちょっとびっくりしましたね。一つの選択肢ですか。


 すなわち、皇太子殿下、秋篠宮殿下、この宮家の御家族については、我々も非常によく拝見をしておりますし、大変親しみを持っています。ほかにも幾つか宮家がありますから、大事な役割を担っていただいていますが、国民的にいうと、やはりこのお二人の御家族ということになると思うんですね。


 今、総理が一つの選択肢とおっしゃった。それ以外の宮家の復活、戦前の宮家の復活や、また、そういう御家系で、男系だということだけを理由に養子に迎える、そんなことをやった瞬間に国民の気持ちは天皇家から急激に離れると思いますよ。国民が親しみを持たない方に陛下になっていただいて、今、この現代において天皇制度はもちますか。
 きょうはこれ以上議論しても総理から答えは出てこないようですから、一言だけ最後に申し上げますが、私も、女性天皇、女系天皇をどうするかということについては、簡単に結論を出せないと思っています。


 しかし、少なくとも、皇族の活動というのをしっかりとお支えし、そして、さまざまな可能性やリスクに備える意味では、女性宮家だけはできるだけ早くつくっておいた方がいい。そして、その時期は、秋篠宮殿下の二人のお嬢さんはもう二十代半ばになられているわけですね。愛子様だって、そんなに時間がかからずにそういう年齢に差しかかってくる。そういうことを考えれば、それほど時間がなくなっているということだけはぜひ御認識をいただいて、この議論も並行してぜひやっていただきたい、やっていきたいということを申し上げておきたいというふうに思います。


 では、次の議題に移っていきたいと思います。


 総理の施政方針演説を聞かせていただきまして、その後も改めて読ませていただきました。
 その中で私が一番印象に残ったのは、これからお読みをする部分なんですね。どんなに貧しい家庭で育っても、夢をかなえることができる、そのためには、誰もが希望すれば、高校にも、専修学校にも、大学にも進学できる環境を整えなければなりません。


 こういうことは、これまで歴代総理は言ってこなかった。すばらしい、踏み込んだ発言だ、この点については心からそう思います。


 我々も、十二月十三日に民進党の経済政策をまとめておりまして、こういう、人にしっかり投資をすることが日本経済をよくするものなんだという観点から、教育の無償化についても相当踏み込んだ提案をしました。


 しかし、総理、お配りした資料をちょっとごらんいただけますか。誰もが大学にも進学できる、専修学校にも進学できる環境には残念ながらなっていないと私は考えています。これをごらんいただきたいんです。


 それぞれの御家庭が大学、専修学校に進学しているかどうかの割合を示したものです。全世帯でいいますと、七三%の子供が進学をしているわけですね。しかし、生活保護家庭に限定をするならば三三%、そして児童養護施設に住んでいる子供、家庭的養護が必要な子供ということに関して言うならば二三・三%にすぎない。


 総理、まず端的にお伺いしますが、生活保護家庭においては三〇%、三割、児童養護施設においては二割しか大学もしくは専門学校、専修学校に進学できていないという現状は、総理が施政方針演説で言われたこの目標を満たしているというふうにお考えになりますか。

 

○安倍内閣総理大臣 まさに、まだ残念ながらそういう状況になっていないからこそ、私は、そういう社会をつくっていきたい、このように申し上げたわけでございます。

 

○細野委員 一つ、今回、給付型奨学金を導入されたというのは高く評価したいと思います。


 特に、その中で児童養護施設について、六百人の子供について、二万円から四万円という金額は正直十分ではありません。十分ではありませんが、給付型の奨学金が導入されることになった。


 私は幾つかの児童養護施設の応援をしてきた経験がありまして、そういう子供たちと接すると感じるんですよ。やはり彼らに一番足りないのは、将来、頑張れば自分の希望する仕事につけるかもしれないとか勉強できるかもしれないという希望がないんですよね。ですから、ある施設では、例えば先輩が大学に行って教免を取って教師になった、そうなってくると、その下の子供たちも頑張って勉強しようと思うようになるんですよ。


 児童養護施設、そういう社会的養護が必要な子供というのは四万人います。さきの国会で、そういう子供を里親なんかでサポートしていこうという法案が通ったことは、私はよかったと思う。四万人いるんですよ。六百人というこの数字は、そういう意味では本当に一部にすぎない、希望を与えられるのは。


 ですから、そこはまず総理に、しっかりと児童養護施設の子供についてはこれからも進学の可能性の道を開いていくということについて、前向きな御答弁をもう一度いただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。総理にお願いします。

 

○安倍内閣総理大臣 給付型もありますが、無利子の奨学金については成績要件を外させていただいているわけでございますし、また、養護施設の子供たちについては、文科省の予算とは別に厚労省予算から、五万円でしたか、この給付、これは貸し付けでございますが、五年間継続的に仕事を続けられれば返還の義務がなくなるというものも行っているわけでございまして、これは本年度も行いますし、併給することも可能ということでございますが、今後も我々、さらに財源を確保しつつ拡充していきたいと考えています。

 

○細野委員 私も、貸付制度はいい制度だと思いますね。しっかり仕事についたら返さなくていいよという制度が導入された。


 ですから、我々のときも努力したんですけれども、安倍政権になってさらに児童養護施設の問題について取り組んでいることは評価しています。それをぜひこれからも前に進めてもらいたい。


 しかし一方で、総理、生活保護の家庭についてもぜひ考えていただきたいんですよ。
 総理、御存じですか。生活保護の家庭というのは、現状においては大学や専門学校に入ることを認められていないんですよ。


 先日、貧しい家庭の勉強の支援をしている団体に行ってきまして、改めて話を聞いてきました。みんな元気に勉強していましたけれども、生活保護の家庭もあれば、そうでない家庭もありますよ。さまざまな家庭の子供が来ているんだけれども、元気で勉強していたけれども、実際の現実は非常に厳しい。


 そこで、ボランティアをしているある学生と出会いました。その学生の名前は島田了輔君といいます。きょう、たまたま時間がありましたので、昼飯も御一緒して、実はこの委員会も傍聴しているんですが、彼は高知の生活保護家庭で育った。その中で、周りからは非常に、簡単にはそんな大学に行くことはできないよとか、生活保護家庭で本当にできるのかという声がある中で、自力で勉強して、食うものにも困るような生活をしていたそうでありますけれども、高校の修学旅行も行けなかった。自力で勉強して東大に入った。今、教養学部から理学部に転部して、数学者になりたいと。極めて優秀です。


 しかし、聞くと、物すごい反骨精神ですよ。あんな子はいないというぐらいの反骨精神。周りから何と言われようが自分はやるんだといって勉強して、大学受験もやり切った。今も生活している。こういう子供ばかりじゃないですよね。


 ある子供と、高校の二年生の子供ともしゃべりましたけれども、彼は国立の医学部に行きたいといってやっている。しかし、生活保護家庭では大学に行けないんです。世帯分離といって、生活保護家庭から分かれて一つの別の世帯をつくらない限り、大学に行けないんですよ。


 総理、そこだけちょっと聞いてもらえますか。例えば、大学の受験をする場合に受験料がかかりますよね。例えば、高知から東京に来て受験をしようと思ったら、ホテル代や何やかんやでやはり十万ぐらいかかっちゃうわけですよ。そのお金を生活保護費からため込んだら、貯金があるということで、生活保護費を減らされるんですよ。


 この現状は、総理、どうですか。どんな貧しい家庭に生まれようが、誰でも大学や専門学校に、就職ができるという環境になっていますか。総理にお伺いしたいと思います。総理にお願いします。

 

○塩崎国務大臣 制度のお話でございますので、まず私の方から答弁したいと思います。


 もちろん、意欲と能力とをあわせ持った若い人たちが経済的な理由によって進学ができないというようなことはあってはならないというふうに考えておりまして、高等教育についても、家庭の経済状況にかかわらずに、必要とする全ての子供が機会を与えられるようにすることが我々にとって重要であり、また総理が施政方針演説で申し上げたとおりであります。


 そこで、まず、生活保護の場合の世帯分離の話が今ありましたが、これはすぐれて制度として税金の使い方を、どういうふうにして助け合っていくのか、こういう中で、高等学校につきましては、ほとんど全ての子供さんが進学をしているわけでありますので、これは八割ぐらいの子供さんが高校に行くようになった段階でもう既に、全て生活保護費の中でも高校に行けるようにしたということでございます。


 きょうお配りをいただきましたが、大学への進学率につきますと、一般世帯の大学、短大への進学率が今約半分、五一・八%、そして今、専修学校を入れると七三・二という数字であります。そこにとどまっているわけで、現段階の扱いとしては、夜間や通信を除いて、生活保護費を受給しながら昼間の大学に就学する仕組みとはなっていないわけであります。


 しかし、意欲と能力のある子供さんにはぜひということで、子供が生活保護受給世帯と一緒に暮らしていても、運用上、その子供を生活保護の世帯から形式的に分離するという扱いになって、大学に進学はできるというふうになっているところでございます。


 生活保護費で何をカバーするのかということが大事な議論の別れ道でありまして、その子供たちの教育をどう支援するかということにかかわる問題でありますので、今回の給付型奨学金などのさまざまな施策も組み合わせていきたいと思いますし、これまで幾つか生活保護費について、例えば、安倍内閣になって、二十六年度から大学などの入学金にアルバイトで得たお金はカウントする、あるいは学習塾の費用に充てるということも、アルバイトについて二十七年の十月から認めるようになりました。


 それから、奨学金についても……(細野委員「ちょっと大臣、時間がないので。それは聞いていませんから」と呼ぶ)

 

○浜田委員長 大臣、手短に願います。

 

○塩崎国務大臣 大学の入学金に充てる場合は、減額をしないで保護費を支払っていく中で行けるようにするというような努力もして、可能性を開いているわけでございます。

 

○細野委員 総理、今聞いていただきましたか。高校までは行けるんです、生活保護世帯でも。しかし、大学は行けないんです。


 こういう言葉があるんですね、稼働に資する。すなわち、稼げる人は稼がせるというのが生活保護の考え方なんですよ。だから受験料すら出さないんです。子供たちはどう考えるかというと、世帯分離をすると親は一人分の生活保護費をもらえなくなりますから六万円ぐらい減るんですね、親が食べられなくなるかもしれないといって諦めている子供は多いですよ。これは、総理、あそこまでおっしゃったのなら、変えませんか。


 時間がないので、もう一つだけ紹介したいと思うんです。
 これは横須賀市のデータなんですが、それぞれの家庭で経済的な状態がどうなったかを、総理、二枚目をごらんください。中学卒業の場合、その世帯が経済的に自立をして生活保護を廃止している割合はわずか四一%。定時制高校に通った場合は五七%。全日制高校もしくは大学、専門学校まで行っている場合は七七%の世帯が自立をしているんです。
 これはどういうことかというと、より高い学歴、専門学校も含めてですよ、そうなると、専門的な仕事につけるから家計が自立するんですよ。そして、子供だけではなく親も、子供が頑張っている姿を見ると自立しようとするんです。


 ですから、大学の四年間とか専門学校の数年間というのは、確かにその間は六万円だけ余分に生活保護費はかかるかもしれないけれども、長い目で見たときは、必ず彼らが自立をしてくれる、そしてやがては納税者になってくれる。ここを惜しんでいるんですよ、総理。
 ここは制度的に明らかに不備があります。総理、これを変えようというふうにお思いになりませんか。お答えいただきたいと思います。

 

○安倍内閣総理大臣 生活保護を受けている家庭の子供は大学に行っちゃいけないとか、そういうことでは全くないわけでありますから。何となく、ちょっと誤解を受けられる方がおられるのではないかと思いますので……(細野委員「いや、世帯としては行けないんです」と呼ぶ)それは私はそういう意図で言っておられないと思いますけれども、聞いた方で勘違いされる方がおられるといけないのであえて言わせていただきましたが、これは、行ってはいけないということでは全くないわけでありまして、生活保護世帯の方が行かれた場合、その本人分が生活保護の中から引き落とされるということになるわけでございます。


 同時に、細野委員が言われた問題意識については、これは私も共有しているところでございます。しかし、今までずっと、長年これは、ここまで残念ながらそれを全部カバーするということには来ていないわけでありますが、先ほど塩崎大臣の方からもお答えをさせていただきましたように、アルバイトをして得たお金を大学等の入学金に充てる場合、あるいは学習塾の費用とする場合を世帯の収入として認定しないということを、これは安倍内閣でやったわけでございます。


 もちろん、いろいろな議論があることは細野委員も御承知だと思います。十八歳から実際に仕事に行くお子さんも、生活保護世帯の中から実際に仕事に行くということを選ばれる人も、しかしそれは希望して大学に行きたいけれども行けなかった方もおられると思いますが、そういう中において、その公平性についてはどうかということの議論も存在するのは事実でございます。


 それと同時に、これはやはりしっかりと財源を確保していくということも大切でございまして、財源の確保ということも大きな課題であります。それがありますから、これはなかなかどの内閣においても、これはみんなこういうことをできればやりたいと大体考えているわけでありますが、いわば我々としては、しかし一歩一歩前進はしているということは申し上げさせていただきたいと思います。

 

○細野委員 総理、最後に申し上げますが、正確に申し上げますね。生活保護世帯としては、そこの子供、生活保護世帯そのものの子供としては大学にも専門学校にも行けないんです。世帯を分離して別家計にしないと行けないんです。


 私は、先進国として恥ずかしいことだと思いますよ。一九七〇年に高校までは行けるようになったんですよ。それから四十数年たって、貧しい家庭の子供の大学や専門学校に行くという希望すらこの国は実現できないんですか。総理が、どんな貧しい家庭で育っても進学できるとおっしゃった言葉は、今の御答弁なら絵に描いた餅だと思いますね。中身が伴っていない。
 今総理がやや前向きな御答弁をされようとしたというふうに理解をしますので、しっかり検討してください。こういう議論において政策が変わるということが私は国会という場所の役割だと思いますから、しっかりそのことをやっていただきたいということを最後に申し上げて、私の質問を終わります。


 どうもありがとうございました。