米澤穂信『夏期限定トロピカルパフェ事件』読了。



『春期』は短編集のようだったが長編だった。

『夏期』は初めから章になっていて長編だと言っている。

だが章ごとに完結もしているのだ。

そうなると、この伏線はいかに回収されるのか、最後に提示される事件とは、と読む速度も上がる。

難関高校に通う小鳩くんと小佐内さんは中学の同級生で互恵関係にある。

小賢しい知恵働きをして時に人を不快にさせる小鳩くんは『狐』で復讐が大好きな小佐内さんは『狼』。

その本性を捨て「小市民」の星になろうと誓い合い、お互いの窮地にはお互いを盾にして逃げてよいとする互恵関係。

ところがだ。

『夏期』では本性を捨て切れないばかりか、2人の知恵比べみたいになってしまい、最後には関係を解消してしまうのだ。

なぞなぞに挑むように各章の推理に参加しながら、最初から貫かれている違和感の解決へと読み進めていくことになるのだが、こんな企みが潜んでいたとは!となる。

そして、ラッキーなことに既に『秋期』も『冬期』も存在しているので、この結末に気を揉むこともなく、期体感だけを持って続編を読み漁るのみ。

『春期』が2004年で『夏期』が2006年の作品。

リアルタイムで読んでいたら待ちきれないよね。

『冬期』がついこないだの作品で、それを読みたいがために『春期』からスタートしている。

『秋季』は上下巻になっている、期待は膨らむ。