ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』読了。



ブレイディみかこさんは福岡出身の日本人、英国ブライトンでアイルランド系の配偶者と彼との息子と暮らしている。
その息子がカトリック系の優秀な小学校から、のびのび教育で底辺からちょっと這い上がった「元底辺中学校」へ入学することになったいきさつから本書は始まる。
これはノンフィクションの中でもエッセイとカテゴライズするには濃すぎる「物語」なのだ。
タイトルは息子の宿題ノートの落書きからとっている。
「ブルーという単語が意味する感情は?」という宿題に『怒り』と解答して添削をくらい、母ちゃんから『悲しみ』または『気持ちがふさぎ込んでる』ということだと教わる。
落書きは果たして、ブルーの意味を知る前に書いたのか知ってから書いたのか、母ちゃんは本人に確かめていない。
「多様性」という言葉がよく言われるようになった昨今だけど、「元底辺中学校」では人種から貧富の差からごちゃまぜで、日本にいる日本人の子育てもしていない私なんかが感覚で捉えている「多様性」なんて生易しくて、毎日が超ハード。
ぼくと母ちゃんはいろんな問題に直面し、ともに悩み考えて乗り越えていく。
でも、子どもは親や大人が思っているより、ずっとクールで頼もしい。
例えば、
「エンパシーとは何か?」というテストに
「自分から誰かの靴を履いてみること」と答えたり。(難しいテストだね、11歳の解答だよ)
例えば、
カトリック小学校での性教育がなされたタイミングで(10歳のとき)、学校で教えられた生殖ではなく、体外受精で生まれたという事実を告げると、
「クール。うちの家庭も本物だなとおもっちゃった」「いろいろあるのが当たり前だから」と答えたり。
英国では4歳から小学生、11歳から中学生。
教育内容もブライトンという土地柄で起こる諸問題も、びっくりするほど日本と違う。
ブレイディみかこさんは私より2歳年上だから、きっとびっくりするポイントも似ているかもしれない。
でも、英国ブライトン在住なので、当事者感覚が全然違うよね、私みたいな平和ボケ?している日本人にとっては鮮烈なルポルタージュになっている。
『2』では13歳になったぼくが描かれている。
2冊とも、とってもおもしろかった。