ボイストレーニングというとどんなことを連想するでしょうか。

スタジオでピアノを弾いている先生の傍らで、「アーアーアー」と音階練習をしている生徒などを思い出すのではないのでしょうか。確かにそれはボイストレーニングの手法の一つではあります。「歌う」ための訓練だから、それを音階関係だって重要であるのには違いはありません。

それ以外にも色々な独特の方法が紹介されるのを見たことある人もいるでしょう。例えば独特の身体を柔らかくする体操の後で、背筋をのばしたり独特の姿勢をさせたりとか。

「声をよく出させる」ために中背で腹筋を鍛えさせるのもあります。足の広げ方から顎の開きまでこだわっていかに良い声を出させようかするのです。

「ボイストレーニング」はどうしても声に関わってくる以上、声を出す身体をフルに使って向上させようとするのは理解できないことではありません。しかしあらゆる訓練法を見ていって気付けることがあります。

「ボイストレーニング」はつまる所、息のやり方、つまり呼吸が一番大切な部分を占めているんじゃないかということです。声を出すのもそうでしょう。

のどの開け閉めから声帯に関わるまで、要は発生が呼吸とともになっているわけです。ボイストレーニングで呼吸の仕方が重用されるのはそこにあります。古代の発声法から近代的な科学的訓練に至るまで、「息」にかかわるのが訓練の根幹だと。
考えてみてください。歌の技法の一つであるビブラートだって声を震わせるのが根本のやり方です。それをいかに美しく、そして最大限に引き出すかがボイストレーニングの要であって、結局は呼吸訓練法と言えるのではないのでしょうか。
このことに気づくかどうか。それが根本的な原理を理解できているかと同じと言っていいでしょう。

ゆっくりと長く息を吐き出させて、歌の余韻を引き立たせる方法。喉と声帯を駆使して、高く、低く音階を練習すること。腹式呼吸で力強く発生できるようにすること。

あらゆるものの基本が「息」に関わってきており、呼吸がボイストレーニングの訓練のイロハとも言えるのではないでしょうか。

ボイストレーニングだけではありません。ヨガやマラソンや、禅や神社の正式な礼拝などの宗教的な瞑想や祈りの作法にまで、呼吸の方法はやかましく言われます。これは声を出すという表面上のことだけでなく、精神態度、体調、こころの落ち着きにも関わってくる大切な部分と理解しているからでしょう。

「はい、深呼吸をしなさい。リラックスして」。何度も言われます。そう、みな心の底ではわかっているのです。ボイストレーニングは瑣末な小手先の技術ではありません。人間の身体の不思議なメカニズムと密接に関わり、精神や心の問題まで鍛錬しようとします。それはやはり太古から人間の経験してた知恵が働いているからでしょう。

ボイストレーニングはこの根本を理解してなくてはならないと言えるでしょう。ボイストレーニングといっても、結局美しい声はやはり整えられた心身の中から発声されていくのですから。


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