そう、それでこのままだと完全に自分の思い通りに行かないと悟った俺は、
思い切った行動に出た。入学書類などを全部破り捨てて、焼却炉で燃やした。

親は仕事で遅かったため、親には見られずに済んだ。が、しかしだ。
結果通知すら届かないことに不思議がった親が受験した学校に聞くと、

「合格でございます。既にお送りさせて頂いておりますが」

という話で矛先は僕へ。正直に話したら、いきなりの平手打ち。

「なんてことしたの。将来は東大に進んで医者になるかプロになって欲しかった」

僕は、正直わかんなかった。なぜ東大やら医者になるやらが大事なのか。

当時の僕は、そんなことよりもプロになる方が大事だと思っていた。

この燃やして捨ててしまったことが親の心に大きな傷を与えた。
僕の心の奥底にあるものって何だろう。それは、寂しさなんだと思う。

小さい頃、僕は親の愛情を一心に背負って生きてきた。
勉強もスポーツも常に親の期待通りに応えるように生きてきた。

小学生の6年生までは。ある事件を境に何もかもが変わってしまう。

中学受験をする人はよくわかると思うが、基本は塾に通い、必死に勉強する。
ただ僕は必死に勉強する前にサッカーが大好きだった。

言い方悪いが、教科書を一回読めば9割以上は頭に入る。残りは問題といて、
間違えた場合、そこの部分の教科書を読めばいい。勉強なんてそれだけだった。
学校終わってからは全くしてなかった。

それより何よりサッカーの方が大事だった。小学校で全国大会に出場し、
で、グランパスユースに合格し、まじめにプロになろうと思っていた。

中学受験も合格した。親の母校である中高一貫に。東海で一番偏差値高いところ
だった。日本で一番医学部進学が多い中高だ。勉強も順風満帆。

でも、僕にはもっと大事なものがあった。地元の仲間だ。サッカーも勉強も地元で
出来て、最終的に両方とも結果を残せばいいと思っていた。

長くなるので、続きは次回へ。