かなこの「恋はときどき」

かなこの「恋はときどき」

いまどき男女の恋愛事情と、ドラマや映画の批評を、ときどき更新します。

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 こんなご時世、と言われかねない中、テレ朝で連ドラ「特捜9」(水曜午後9時~)が4月8日、始まった。コロナで世間がざわつき、「緊急事態宣言」という名で日常が奪われ、不安が募る中、普通のことが「いつも通り」「普通に」あることがいかに安心感を生むか。テレビには、こういう機能もまた求められているのではないだろうか。

 

「特捜9」はジャニーズのⅤ6メンバーの井ノ原快彦が主演刑事ドラマシリーズ。今作が3シーズン目だ。

 

まずは、この安定感。4月新番組が始まる時期に、「ちゃんと予定通り」始まった。ドラマの収録自体が難しくなり、TBSは収録の遅れを理由にドラマ「半沢直樹」などの放送自体を延期。NHKも朝ドラ大河の収録も見合わせている中、前もって取りだめていたおかげだろうか、予定通り、テレ朝で4月新番組が始まったこと自体、喜ばしい。(もちろん、TBSやNHKの判断もまた素晴らしいと思う。こういう状況下、ドラマの制作現場がコロナの感染クラスター化しかねないわけで、予防措置の意味で収録見合わせや放送延期をしたこともまた英断だ。)

 

さらに、テレ朝お得意のシリーズものだ。前回までと「同じ」顔ぶれ、同音異曲の筋立て。ワンパターンともいえるが、逆に安定のストーリーともいえる。つまりは「水戸黄門効果」とでも言おうか。安心して見られる良さ、ということだ。最後にはヒューマンドラマとして「ほっとできる」良い話が待っている。だから、緊張せずにリラックスして見ていられる。

 

コロナによって日常が脅かされている現在だからこそ、明日が分からない日々だからこそ、「いつも通り」「変わらない日常」がそこにあることは安心感を与えてくれる。ドラマを制作し続けることはリスクも伴うし、それを避けるためには普段以上の手間ひまもかけているだろう。でも、だからこそ、テレビには、こうい時こそ、「普通どおり」を提供してほしい。ことにドラマは架空の世界。人々がひととき日常を忘れ、安心して「ほっとできる」場を提供することが、ドラマ製作者に今こそ求められていると感じる。

 

そういう意味で、ありがとう、テレ朝。ありがとう「特捜9」。無理のない範囲で、まるで「都市封鎖」状態(あくまでも強制ではなく要請ではあるが、心理的なプレッシャーは高い)に焦りと不安を抱いている人々に、「いつもと変わらない日常」を届けてくれてありがとう。そして、テレ朝、どうか頑張ってください。感染者を出さず、リスクを回避して、かつ、エンターテイメントを提供してほしいと、期待する。

 

(2020・4・8、元沢賀南子執筆)