~自分社会から、

 存在しない者、

 ノーカウントの

 人間なのではないか~

 

 30年間

 フィクションの執筆へ打ち込みながら、

 芳しい結果が伴わなければ、

 

 ふと、そんな被害妄想から、

 取り憑かれてしまいます。

 

 無論、そんな事実はありません。

 

 仮に事実なら、逆に凄い人という、

 証明になりかねないからです。

 

 評価されないのは、

 単純に、評価されるに

 値しないからであって、

 

 特別な理由など、

 実はどこにもないのです。

 

 4年ほど前に、

 執筆の筆を折った私は、 

 人生の目標も目的も失い、

 

 何より最大の武器

 世に打って出る手段

 無くしてしまいました。

 

 そんな宙ぶらりんの生活の中、

 ひょんなことから、手の中へ

 飛び込んできた、ラストカード

 

 それが、漢字の勉強。

 

 漢字で知の大巨人、林修先生へ

 勝負を挑み、倒すという、

 

 いい年齢の大人が言い出すとは、

 とても思えない、

 

 およそ現実感ゼロ

 壮大かつ無謀な目標

 自身へ課しました。 

 

 それまでの人生を変えるべく

 長年に渡り取り組んできた、

 

 長編小説執筆への

 時間とエネルギーを

 

 すべて漢字の勉強

 注ぎ始めたのです。

 

 仕事の待機中、ハンドルの上で、

 勿論、自室内や移動の電車内でも、

 勉強を欠かさず続けてきました。

 

 通常漢字、難読漢字、固有名詞、

 四字熟語まで及びますから、

 簡単には仕上がることはありません。

 

 いや、仮に仕上がったところで、

 何かが手に入る保証など、

 どこにもありませんから。

 

 しかし、筆を折った以上、

 何もしなければ

 

 人生を変えられる確率

 それは、0%

 ええ、宝くじなど当たりませんから。

 

 仮に、林修先生を倒せるレベルまで、

 仕上げられたなら、

 

 確率は、

 0.001%くらいにはなります。

 

 と、0.001。

 は黙って

 後者を選んだだけなのですが、

 

 執筆へ勤しんでいた、30年間

 現実という名の壁を、

 

 大きく動かすことは

 出来ませんでした。

 

 開始以降、毎日欠かさず勉強を続け、

 すでに何年も経過していますが、

 

 やはり、現実という名の壁は、

 一ミリも変化することはなく

 

 ただうんざりするような日常

 過ごしているに過ぎません。

 

 こんなの頭上へ、

 地上へと続く、蜘蛛の糸

 舞い降りる気配など、

 

 微塵もなかったのです。

 

 <続く>         バッタもん