闇を克服したいなら、

闇の生まれた400万年前より前に

帰るしかない。


後戻りをすることが

生命の原理に背くことを

本能のそのもっと根っこから知っているなら、

抗うことをやめて

受け入れることのみが選択肢。


時に抗って得られるのは

個あるいは種としての終わり。


進化なのか

絶滅なのか。

またそこに新たな闇。






過ちを冒すのは人間であると述べさせるのは、

もしかしたらとんでもない自己欺瞞なのかもしれません。

物を喋る機械の製作者は結局人間なんですからね。


自らが計ることのできない闇の長さ・幅・深さを

投影させられるツールを

そんな作用をもつとは気付かぬうちに設計し手に入れ、

本来的には自らに内在するはずの闇を

他人の闇だなんて自分に言って聞かせて、

他人を否定することにより自分を肯定する。


機械が犯す意図的な殺人は、

本質的には人間の意図、

自殺にも似た行為なのです。

いや、自殺よりもひょっとしたら詩性は高いかもしれないけど。






闇、モノリス、あるいは死と向かい合う覚悟をするのに、

一体どれくらいの思慮が必要なんでしょうね。

この宇宙は恐怖のみが支配する世界ではないはずなのです。


世界の美しさに身をゆだねる瞬間には

モノリスの重さ・硬さ・冷たさはもはや意味を成さず、

この身がこの上なく世界に溶け出しても良い気分になれるものです。


美しさの恍惚という麻薬を手に入れる努力を

弛まず続けた人類は、

既にモノリスと対峙できる準備がとっくに出来ているのかもしれません。


願わくば欲を張らない自分でありたいのです。


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