金曜の疲労感のせいなのか、
土曜日もなんとなくぐったり気味。
せっかくディナーのお誘いを受けてたのに、
申し訳ないながらお断り。。。



そして本日日曜も、
コンサートのお誘いを受けてたのに、
これも不参加。。
あー、せっかくの機会だったのに。
やっぱり日曜の夜にチューリッヒの外(電車で1時間ちょい)
でのイベントに行くのは、ちょっとつらい。。。


まあ、存分にだらだらしたおかげで、
不調はすっかり脱したので良かったとします。



そんな週末。
とある映画を観たのです。


こないだ木曜のカラオケイベントは(前回の記事をご覧ください)
実は「タランティーノの映画で使われた曲をフィーチャー」的な
趣旨があったりして、
事前に“パルプフィクション”で使われた曲を
マルティンと一緒に予習?したりなんかもしてたんです。

そんなこともあって、カラオケ前の食事中に、
タランティーノの映画で使われてる音楽談議になり、
そこでロバートが嬉しそうに
自らのiPod(旧型のshuffle。僕のと色違いでした)を取りだす。
「そういや日本語の歌も入れてるんだよ。」と(!)


何じゃいなと聴いてみると
流れてきたのはなんと演歌笑
しかも音質からしてかなーり古い歌。。。

「なんでこんなもん入ってんねん?」と聞けば
「あ、これ“Kill Bill”のサントラ。」とね。

へぇ、と感心?し、
それがきっかけでなんかキル・ビルが引っかかって、
結局この週末Vol.1、Vol.2と続けて観てしまったと、そういう訳。



公開当時は
日本が重要な舞台ってのもあって、
随分流行ったのを覚えてますが、
なんか、当時の周辺の皆さんの感想を聞いて
勝手にに「どうしようもない3流映画」というイメージがついてて、
大して何の興味も持たなかった。
そもそもタランティーノのイメージがそんなに自分の中でよくなかった。
多分某携帯会社の何とも馬鹿げたCMのせい笑

その後随分経って“PULP FICTION”は
相馬さんの薦めもあって観て、
これはあまりに完成度の高い映画で衝撃をうけはしたけど、
それでもタランティーノがたまたまクリーンヒットを打った映画
というこれまた勝手なイメージのみ。


で、“Kill Bill”。

一言で言って
大いに衝撃を受けました。

なんか、画の構成、カメラワークの緻密さがなんか完璧で、
とにかくどのカットも美しい。
そんな素晴らしいカメラワークなのに
それに気が取られない程物語がするする流れる。
そこにツボを押さえに押さえた音楽が合わさる。

全体の展開にも停滞、急転のリズムもあり、
そのスピード感に感覚を任せるともなく任せてしまう。

実はストーリーライン自体は
救いようもなく陳腐で、
「復讐」をキーワードに
主人公が、かつて自分を殺そうとした敵(かつての仲間)に対して
一人ずつ復讐を果たす(「お命頂戴」ということね)というだけ。


でも、かなり痛々しい暴力表現と
所々緊張感を異常に高くキープする演出も相まって
息が詰まる程の迫力。


とにかく
「復讐」に関する
監督自身がやりたい映画表現を
ただただこれでもかと並べ立て、
それを合計4時間程の物語につなげ合わせたと、
それだけの映画といえばそこまでなんですが、
全編に溢れる演出センスのお陰で
圧倒的なパワーに気圧されるのでした。


全体としては
サムライ映画、
ヤクザ映画、
日本のアニメ、
マカロニ・ウェスタン(スパゲッティ・ウェスタン)、
カンフー映画
のそれぞれに共通の空気感を出すベタな演出を
タランティーノ風にしてみました、という感じ。

物語に中身は無いので、
演出を楽しめない場合は
この映画そのものを楽しめないかと。

そもそもThe BrideあるいはBeatrix KiddoあるいはBlack Mambaは
物語の主人公なのに、
確かにその強烈な存在感を放っているものの、
キャラクターの人格的な部分がとっても薄い。
一方、タランティーノはとにかくこれでもかこれでもかと
よせ鍋の具の様にいろんな映画的演出を盛り込み盛り込む。

Kiddo(というよりKiddo演じるUma Thurman)は
その演出をある意味補助する程度の役目でしかない。
復讐に燃える殺人鬼って以外にこのキャラの個性は無いもん。
感情移入とかそもそもできない。


いや、もっと突っ込んで言うと、
感情移入できるようにキャラを作り込むと、
物語がいろんなところで破綻してる点に観客の興味がそれるから、
監督は計算の上で、
Uma Thurmanをそういう風に使ったということなのだと思うのです。
そしてUma Thurmanの演技は
Kiddoというキャラとしての演技というよりも
各シーンの演出との相乗効果を狙った演技と言いましょうか。

キャラ設定で言うと、
主人公よりもむしろ
Vol.1のボスのO-ren Ishiiの方がよっぽどキャラだ立ってたね。
Lucy Liuがなんとなく気になるってのもありはするけど、
実はKiddoよりも人格描写がしっかりしてるし。



全体を通してでは、
冒頭の血みどろ花嫁衣装のシーン、
栗山千秋演じるGoGo Yubariとのファイト、
Lucy Liu演じるO-Ren Ishiiとのファイト、
Daryl Hannah演じるElle Driverとのファイト、
辺りが秀逸かと。



総じた感想としては、
タランティーノ恐るべし、といったところ。
久々に画面そのものに迫力のある映画を観た。
数は多くないけどその他の作品も観たい。うん。

でも、血とかに弱い方は
決して観ないでください。
かなり壮絶なシーンがてんこ盛りなんで。


ん、なんか取りとめもなく書いちゃいましたね。
お目汚しご勘弁。


最後こちらが
今回のきっかけになった歌↓

梶芽衣子、“修羅の花”
こちらは演歌というより歌謡曲。

そして

同じく梶芽衣子、“恨み節”


こんなのをiPodに入れてるドイツ人って、
どうなんですかね笑
僕はそういうセンスとても好きですが笑


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