サマースクール中に溜まった洗濯ものを

一気にやっつけてしまいたかったのに、

一日中洗濯機が空かずに

できずじまい。


そうなのです。

スイスのアパートの多くは、

洗濯機を各部屋に設置せずに、

共用の洗濯機を使うのです。。。


で、うちのアパートの洗濯機。

2台あるうち1台がずっと壊れっぱなし。

だましだまし使えはするけど、

なんか激しく水漏れするし、

気分次第で脱水はしないしで、

みんなほとんど使わない。

ので、実質1台。


ちなみに世帯数は24世帯笑


これは非現実的ですよね。やっぱり。


そんな洗濯機不足なのに、

色柄ものとか、

何だのかんだのいちいちこまめに分けて洗う人がいて、

その人が洗濯機を使う日はまず隙はないのです。

いや、几帳面にきっちり洗濯するのは良いんですが、

共用の物で一日一人で5回も6回も回されるとさすがに迷惑笑



うわ、なんだか愚痴っぽいことになっちゃった。。。


ので気分を取りなおして、映画の感想です。



洗濯することをすっかり諦めて、

今日は“シザーハンズ”を見たのです。


はい、超メジャー映画ですが、恥ずかしながら実は未だに見ていなかった。

周りの人たちがやたら良いって言うから

ずっと気になってはいたんですがね。


で、率直な感想は、

んー、微妙。。。。



不運なことに両手が刃物のまま放置された人造人間エドワードが

ひょんなことで一般の人間世界にやってきて、

いろいろ起こると、そういう話です。



この映画のミソは当たり前ですが

異質な“人”(つまりエドワード)に対する一般人の反応、

と、それに対するエドワードのさらなる反応。


一般人の反応としては、

他の同類の映画の物に見られるのと大差のないもの。


この映画の特異な部分は、

一般人に反応し返すエドワード。


良くある図式としては

「ずっと世間から隔離されてきた

 →人との付き合いを知らない

 →人間界での暮らしを始め

 →良いこと悪いことあって

 →“人間の心”を手にして

 →……」

といったパターン。

観客が、異質な主人公と一緒に喜び悲しみ、

共感できる要素がふんだんに盛り込まれているもの。


しかしこのエドワード青年は、

一見シンパサイズしやすそうに見せながら

実は最後まで「学ぶ」ことなく、

「ただ街へ来て、いろいろあって、結局自分の屋敷へ帰ることになった」

という時間を過ごしたのみ。

デフォルトで“発明家”からインプットされた感情因子を超えるものを

結局手にすることはない。


キンバリーとのロマンス的な要素もあるけど、

それはあまりに無垢な感情を露呈するだけで、

発展性の要素が一切ない。

キムが本気で頼んだ訳でもないのに、

泥棒のまねごとをするし、

挙句の果てには人を一人殺すのです。

学ぶ準備のできてないピュアな心のため。


人を愛すると同時に感じる

自分に、あるいは近しい人に対する責任というのを知らないし、

最後の最後まで知ることもない。


それは別に

「愛する人に触れたらその人が怪我しちゃうからやめとく」

とかいう分かりやすい次元の話ではなくね。

「そもそも一般的な倫理と自分の正義が微妙にかみ合わない」

という部分。

エドは倫理について知る由もない生活をしてきて、

それでも自我はあるから自分の正義・美学は存在して、

その美学に従う感情しか持たない。

そして最後まで一般の倫理を学べない。


彼の持ってる美学が

優しさがベースで、観客も受け入れやすいものになってるお陰で、

なんとなく“ハートウォーミング”なタッチになってるけど、

実は、物事を前進させるエネルギーの欠落した

奇妙なおとぎ話でしかないように感じられたのでした。



って言うより、

分かったようなことをわざと書くと、

ティム・バートン監督は発展性の無さに主題を置いていたんじゃないかと

思うのです。

だって、単純なラブストーリーにしたいなら

もっとロマンチックにできるはずの要素がふんだんなのに、

そういう演出もしないしね。


The more is the better的な前進あるのみ主義ではなく、

そもそもの前提にある程度の美しさがあれば

何か成そうとするエネルギーが無くても

世界に素敵な事が起こるかもしれないですよねと、

ぽつっと呟いてみた、

そんなような映画です。

例えばエドが屋敷に帰ってから雪が降るようになったエピソードとかね。




という訳で、

なんとも不思議な後味の残る映画なのでした。

比較と前進を前提にした経済原理の中で生きてる人間にとって、

良く言って「忘れてた物を思い出させる」

悪く言って「今更そんなこといわれても、、、、」

な気分になるといったところか。

そういった意味では「崖の上のポニョ」にも共通したような映画ですね。


ポニョの感想はまたそのうち。

見た時のショックが大きすぎて未だに書けずにいるのです笑


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