悪天候の週末です。

今週は随分晴天続きで

週半ばには26度とかもはや夏の様相だったのに。。。


なので、本日は(も?)引きこもって、映画鑑賞。


今日見たのはソフィア・コッポラ監督の

“Lost in Translation (ロスト・イン・トランスレーション)”。


日本から戻って以来、

自分自身を見失いがちな最近なのですが、

そんなときに見て、何ともいろいろ考えてさせられた映画でした。



というのもさすがに引っ越してから1年以上経って、

日本の好きなとこ、嫌なとこ、

欧州の好きなとこ、嫌なとこ、

異文化の中で生活する楽しさとつらさとか、

見えてきたものも少なからずあって、

そういうのって感情のプラスマイナスがはっきりしているから、

自分のモチベーションをコントロールするのに

ものすごく直接関係するんですね。


例えば1週間の海外旅行とかだったら、

全部ポジティブに楽しんじゃえー!っていう

ある種の緊張感を保つのは簡単なんですが、

リアルな日常の中で、

楽しんじゃえの勢いをずーっと持ち続けるのは不可能なので、

たまにはすっかり気持ちが参ってしまうこともあるのです。


とくにこないだ1カ月も日本にいて、

仕事も遊びもものすごく充実した時間を過ごして戻ってきたとこなので、

こちらでの生活(というより自分自身に)に少なからぬ鬱積を感じていて、

どっちかというとネガティブな自分で過ごしているこの2週間。実は。




で、この映画です。


主人公達アメリカ人男女それぞれ1名が

日本にて異文化に直面して、

同時に自分が自身に抱えてる問題にも直面して、

なんだかよくわからない時間を過ごしてしまう、

という映画です。


異文化に接する時に表面化する問題は、

その文化に対する知識あるいは理解の度合い、

その文化を持ってる人達への理解、

言葉、

が多分主だったものなのですが、

大抵の場合はこれらがいっしょくたになった状況なので、

とにかくどうしたらいいかわからなくなる。


それがかなりリアルに描かれてるのですが、

この映画はさらにそんな問題に直面した人物達の描写が秀逸で、

なんか共感しまくってしまいました。



異質なものに直面した時って、

対象が異質なものと判断する根拠は

自分自身でしかなく、

ものすごく分かりやすい形で、

自分と他者を相対化できると思うのです。


で、その相対化のプロセスを経て、

他者を批判するのか、

自己反省をするのか、

あるいはその両方のバランスをうまくとるのか、

あるいはバランスを取れずに混乱に落ちていくのか、

いずれかに、主体あるいは状況に応じて思考が動いていくのが多分人間一般。




僕の現状に照らしてみると、

もっと現地に馴染みたいという根本の要求があって、

そのためには自分のバックグラウンドの要素を

場合によってはそのまま持ち続けてはいけないかもしれないと、

思ったり思わなかったり。


ものすごい単純な例で言うと、

スープを飲む時日本では音たてるけど

じゃあ、欧州にて日本流を貫く?現地のマナーに合わせる?

とか、そういうことです。

この場合は音立てなくても自分に必要以上の負担はかからないんで、

別に大した問題ではないんですが。


もちろん現状の諸々の問題は

もうちょっと複雑というか、精神的な物。


で、自分自身どう変われるのかなーっていろいろ思うポイントが、

やっぱりそれは自分が日本人だからこその要素な訳で、

たとえば人間関係についての根本的な考え方とかなんですね。



そういう日本人である自分のバックグラウンドが、

異文化として対象化される映画を見てしまって、

主人公達のStrangerとしてのもやもやと、

自分の実生活のもやもやが同時に想起されて、

あやうく過呼吸にでもなるんじゃないかってくらいの

精神的な圧迫を感じたのでした。


かつて東京で一度この映画を見たときには

外国人がみたら日本てこんな見え方なのかねー、

って程度の印象の映画だったンですが、

ちょっと違う経験を経て、

ここまで見かたが変わってしまうとは思いもしなかった。


そして、主体と対象の両方の視点から

しっかりと筋の通った映画にしあげている監督の力量に感銘を受けたのでした。



なんか異常に重たい書きぶりになっちゃいましたが笑

基本的にはコミカルなタッチの映画なので、

気楽に楽しく観れますよ。


個人的には主人公ボブが

Mathew's BestHit TVに出演するくだりが好きです。

マシュー南のファンであるのももちろんですが、

シャーロットとの出会いを経て日本で自分が過ごす時間の質の変化を感じたボブが、

超絶的に日本的な状況に立たされて見せる表情が、たまらない。


とくに外国住まいあるは長期で住んだ方には

是非お勧めです。

そして感想を聞いてみたい。


なんだか激しい長文になってしまいましたね。。。。

ご堪忍下さい。