「おかあさんといっしょの体操のお兄さんさー、よしひさっていう名前なのに何で『よしおにいさん』って違う名前で呼ばれてるんだろうね。あだ名かなー」と夫に問いかけ、「…『よしお・にいさん』じゃなくて『よし・おにいさん』だろ…」と冷たくつっこまれたこつぶです。
納得
考えてみれば、彼だけ『にいさん』と兄弟っぽい親しみさをかもしだす必要もないわけで。
ましてや『よしお』と名前を変えられる必要も全くないわけで。
今となってはこんな思い違いをしていた自分が分からない…
そんな悲しい朝を迎えておりますが。
今日はとっても真面目な話をしたいのであります。
先週土曜日にある講演会に夫と参加してきました。
福岡市男女共同参画推進センターという所で今年度から共感ゼミというのが企画されているのですが、その第2回。
『パパはガンに負けないぜ! 余命半年、人生でいちばん大切なもの』という講演会です。
講演者は阿部敏之さんという方。
会社員として働いておられたのですが、2年前にガンが見つかり、過酷な抗がん剤治療を受けたものの今春に余命半年と宣告され、いろんな思いを伝えたいと退職して現在は講演活動をしておられます。
先月夫が告知チラシを見て「これはどうしても行きたい!」といつになく熱く語り、私もガンという病気の経験者として興味を引かれ、参加することに。
約90分の講演は非常に濃い内容でした。
阿部氏のプライベートな内容もありましたのでここで講演の内容を詳しく書くつもりはないのですが、聴いていて心に響いた部分が本当にたくさんありました。
たとえば鏡の法則について。
ざっくり言ってしまうと周囲は自分を映す鏡であり自分の言動や考え方が周囲に反映されている、つまり自分が変われば周囲も変わりいろんなことが好転するという法則なのですが。
この法則、私も知ってはいたものの正直とても懐疑的でした。
確かに自分が適当に対応すれば相手もそれなりの対応しか返してこない―といった状況はすぐ想像できるけれど、私が変わったからといって相手がどうとらえるかは相手の考え方次第じゃん? と。
しかし阿部氏がご自身のかつての上司や部下・お子さんたちとの関係においてこの法則をベースにしたお話をされているのを聴いて、ふとある友人を思い出したのです。
その友人は広島にいた時に時々一緒に仕事をしていた人で、当時は協力会社でインテリアコーディネーターをしておられました。
しかしその会社はいわゆる下請なので工事のみの請負が多く、コーディネーターが活躍できるような設計からの案件はほとんどなし。
なので彼女も熱意をくすぶらせ、いろいろ迷っていてよく仕事や将来のことについて相談を受けました。
そして私が福岡に引っ越す時期と前後してその会社は経営母体の会社が変わり、彼女は退職。
「人が住む家そのものよりも家に住む人に興味があるから、新しい仕事をしてみたい」と言っていた彼女の言葉がとても印象的でした。
それから数年たち、私が妊娠中の頃に「福岡で仕事があるからぜひ会おう!」と連絡をくれたので会ったところ。
ものすごくキラキラした表情で、おだやかな語り口で、やさしい笑顔で今の自分の生活を話す彼女がいました。
「今はすごく充実してるよ」という彼女の話を聞いていて、私は何度も感じたことを今でも思い出します。
彼女自身が変わったから仕事とか人間関係も変わったんだな、と。
それは努力なのか運なのか分からないけど、彼女が前を向いて進もうと決めたその時からいろんなものが動いたんだなーと。
彼女は一生勉強したいことが見つかったことにも仕事を紹介してくれる周りの人々にも、そして家族にも、「ありがたい」という言葉を言っていました。
そう言える、そう思える彼女自身が自分で世界を広げていっていることが、話していてよく分かりました。
なぜそう感じたかというと、私自身もそういう経験があるから。
詳しく書くと長くなるので割愛するとして、どうしても住宅業界に入ってインテリアの仕事がしたくて猛勉強した時期があります。
また実際に仕事に就いて、今度は資格を取ろうとこれまた猛勉強した時期があります。
考えてみると、この2つの時期には人間関係にとっても恵まれていたんですよね。
大きな刺激をくれる先輩方や同じ思いで頑張ろうとする仲間が周りにたくさんいて、予想できないいいこともたくさん起こって。
自分自身がくさらずに頑張っていると、自分を取り巻く人も環境も変わるんですね。
阿部氏のお話を聴いていて彼女のことやかつての自分のことを思い出し、この部分ではとても共感できました。
ただ、やはり病気の話のくだりは聴いていてかなりつらかったです。
阿部氏は現在38歳、中学生と小学生のお子さんが3人いらっしゃるんですが、そのお子さんに対する思いを口にしただけで声を詰まらせておられて、もう切なくて。
「私の人生の目的は次世代への継承です」と、お子さんたちに対する教育観をたくさん話してくださいました。
同じ育児中の立場からすれば大いに共感できる…はずなのですが、阿部氏ほどの真摯さがたとえば私にあるかというと「ない」と答えざるを得ないのです。
ガンの告知を受けるつらさや治療中の不安については未経験の人よりも多少は共感できるとは思うのですが、術後5年以上経ってとりあえず未経験の人と同じ生活でOKと言われている以上、阿部氏の切迫感や不安感に「共感できる」とはとてもおこがましくて言えません。
おそらく阿部氏ご自身も、安易に「共感できる」「わかるよ」などと言ってほしくはないでしょう。
かつての私もそうでしたから。
ただただ、阿部氏がお子さんたちと一日でも一時間でも長く過ごせることをひそやかに願うのみです。
でもそういえば、病気になったあの時は「今を大切に生きよう」と誓ったんだった。
結果的にその思いはだんだん薄くなってしまって、阿部氏のお話を聴くまで忘れてたといってもいいくらいだけど。
健康で、毎日何事もなく過ごせて、明日がまたくると信じられることは本当に幸せなこと。
きちんと前を向いて、できることをきちんとやって、その毎日の延長が3回めの充実した生活につながるといいな~と痛感しました。
そのためには私自身が変わらなければ。
今のへなちょこな私は、まず自分に自信をもつことが最優先だと思っています。
かつての私(先ほど書いた頑張っていた時期)は、それはもう「できないことはないのよ」的超アグレッシブ女子でした
しかしフリーになって仕事に追われ、やりくりに追われ、精神的に余裕のない生活になり始めた頃からネガティブになったような気がします。
そして福岡に来て人脈ゼロから仕事を始めることに疲れ、不妊治療に疲れ…幸いおちびたちに恵まれたものの今度は育児に疲れ、周囲との関係に疲れ。
おいおい、疲れてばっかじゃん!
でもこの状況は誰から押しつけられたわけでもない、私自身が選んできたものなんですよね。
で、勝手に疲れて自信喪失して、不満を持ってイライラしてる。
何やってんだという気づきが、この講演に参加してもっとも私が得たものかもしれません。
おちびたちを健やかに育てるのが一番大事な仕事。
けれどそのために私が身体的にも精神的にも健やかでいることが大前提。
では私が健やかでいるためには何をすればいいのか、どうありたいのか。
そう考えると、育児中であろうとできることはたくさんあるわけで。
講演を聴いた日の夜、それらをざっくりとながらピックアップしてみました。
少しずつ少しずつ、やっていきます。
こうしてほしいからこうしよう…と狙ってしまうときっと続かないので、私がこうなりたいからこうしようという気持ちで少しずつでも動いていきたいなと思います。
あの頃の前向きにひらすらに頑張る感覚、ほとんど忘れてますけども
たとえば3年後、5年後、今よりも笑っていたいもんね。
おちびたちが通っているであろう幼稚園でおばあちゃんに間違われないようにするというリアルな願望目標もしっかり入れておりまする。
何だか話がそれてきちゃいましたが、とにかくこの講演に参加できたことを大きなきっかけにしたいですね。
阿部氏に深く感謝いたします。
えらそうに夢を語るなどとめったにしないことをしたせいでお腹がめっちゃくちゃすきましたので、お昼食べまーす。
…そこのあなた、ただお腹すいただけだろとか言わない。
おちびたちが寝ている間にささっとパスタでも
って起きたよー……では皆さんのところにはのちほど。