「ホ・オポノポノ」の本を読んで、イチョウの葉っぱが解毒機能の向上に効くと書いてあったのでカミさんを誘って山下公園まで行ってきた。
潰れた銀杏の「香り」を嗅ぎながら秋の山下公園のイチョウ並木をビニル袋を下げて歩いた。
ふと、目をやると、そこには長い行列があった。
どうやらそこは話題の店で、順番待ちの人々が並んでいた。
「エッグスンシングス」
それがその店の名前だった。
聞けば、ハワイの人気パンケーキ店だという。
ハワイ⁈
そいつは聞き捨てならない!
なにしろおれは、ハワイの秘法たる「ホ・オポノポノ」の教えを実行するためにイチョウの葉っぱを拾いに来たのだ!
これは間違いなくセレンディピティだ。
おれは確信した。だが、あの行列に加わる気はどうしても起こらなかった。おそらく10kmは続いていたであろう。もしかすると、10mだったかもしれない。最近おれは年のせいか、遠近感がうまくつかめない。
そんなわけで、おれたちは行列をスルーしてマックのテイクアウトをチョイスした。
考え事の多いおれは、もちろんバニラシェイクだ。
そこにカミさんが、バッグからチキンクリスプサンドとかいう無料券を取り出した。
奇跡だ!
まだボトルパームの鉢植えがない我が家にとって、それは大切なことだった。
こうしてマックシェイクとチキンなんとかをテイクアウトしたおれたちは、再び山下公園に戻り、穏やかな港の風に吹かれながら、ランチをとった。
ランチの後は、大桟橋まで歩いた。
ずっと気になっていたが、なかなか行く機会がなかったので、渋るカミさんを半ば強引に引っ張って行った。
…まあ確かに秋晴れで爽快だったが、そこで(くじらのせなか)、一番印象に残ったのは、『出入国ロビー』と書かれた看板を見た時だった。
何気なく「出入国ロビー」と口にしたつもりだったが、おれの口から発せられたのは「しゅちゅにゅうぎょくろびい」という呪文だった。
その後、おれは歩きながら、何度も「出入国ロビー」がちゃんと言えるように練習したが、成果は出なかった。
このことはもう忘れよう。
そう、クリーニングだ。
…そして、おれたちは息子が学校から戻ってくるまでに、スーパーで夕食の買い物をして帰ることにした。
帰宅したおれたちが見たのは、玄関にそっと置かれた息子のランドセルだった。
カギを持ってない息子はそのまま遊びに出かけていた。
おれは、心の中でそっと呟くのだった。
ごめんなさい。
ゆるしてください。
ありがとう。
愛してます。
穏やかないい一日だった。
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