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今年もやってきました。あれから9年。

「もう9年経つのか。」という声を時々耳にしますが、私はこの9年が「もう」とも「まだ」とも感じません。

 

少しずつ復興を果たしている地域もありますが、まったく手付かずで当時の状態そのままが今なお続いている地域もあります。

 

時として「時の流れが止まっている」、また時として「もう二度と戻らない、継承してきた時代が終わりを迎えてしまった」そんなふうに思うことがあります。

 

毎年この日の前後には各テレビ局がこぞって特集を組みます。これには毎年大きな違和感を感じています。

何のための番組でしょう?私には単なるお祭り騒ぎにしか思えません。

 

この事実を風化させないために、そして、今後いつ起こるかわからない災害に備える心の準備をするため、そんな意味合いがあるのなら1年を通してやるべきでしょう。今日も亡くなった親友の家に行ってお父さんと話をする場面を映していました。毎年どれ一つとして同じ場面を見たことがありません。被災者の方が100人いれば100の、1000人いれば1000の悲しい物語があるのです。苦しい物語があるのです。しかし、それは全て同じ時に発生したもので、今年起きたことではありません。それを、毎年毎年この時期だけ家族や関係者の悲しい顔を映し出して、何を伝えたいのでしょう?必死に頑張っている人たちにカメラとマイクを向けて、当時を思い出させることに何の意味があるのでしょう?画面に映し出されるのは撮影を了承された方で、その裏ではどれほどの人たちがそれを拒んでいることか。

 

国民はもうその苦しみや悲しみを充分にわかっています。今更追い打ちをかけるようなことをしなくても充分に伝わっています。数日間だけ報道するような偽善はもうやめにするべきですよ。もし、テレビ局が本当にもっともっと多くの被災者の人たちのことを全国民に伝えたいのなら毎日定時に報道すべきです。

 

街並みは復興しても人の心は永遠に復興しません。それを強く肝に銘じて番組の制作、報道を真剣に考えるべきです。