先日読み終えたこの本
「夜行観覧車」  湊かなえ著


あらすじですが、
高級住宅地に住むエリートな一家・高橋家で、父親が被害者、母親が加害者という殺人事件が起きてしまいます。
事件当時、3人の子どもらは家にいませんでした。医大生の長男は他県におり、女子高生の長女は友達の家、進学校に通う中学生の次男は母親に促されコンビニに。

また、向かいに住む遠藤家は、家の大きさも夫の勤めも、娘の学校のレベルも
高橋家と比べて環境が大きく異なります。
夫婦、娘ともお互い口には出さなくても3人とも妬ましい気持ちを抱いています。


各章で両家それぞれの人物の視点で話が進み、
事件の動機や真相が明らかになっていきます。

そして章と章の間をうまく繋いでいるのが、遠藤家の隣人、小島さと子という年配女性のつぶやきです。

遠藤家の娘が、それまでの不満やストレスが鬱積してしょっちゅう激しい癇癪を起こし、叫び暴れる様は「積木くずし」のドラマを超えて凄まじいものがあります。

そんな娘に怯え続けていた母親ですが、とうとうキレて、常軌を逸した行動に出てしまい、
その描写がまたリアルで物凄いこと、この上なし。
心臓の弱い方は要注意です(・・;)


しかし、他人が羨むほどのエリート家族にも、それなりの問題がありました。

高橋家の事件は、親が次男に過度の期待をし過ぎたために起きた悲劇でした。
なぜ次男に期待をしたかはこの家の家庭環境にあり、動機が明らかになるところで書かれています。

子どもの意志を無視し、自由を全て奪いとってしまっては子どもは潰されてしまう。
普段から家族で会話をして、意思の疎通を図ることが大事なのでは、と気づかされます。

夫婦とは、親子とは、兄弟とは。
それぞれの繋がりを見つめ直す家族小説だと思います。

でもラストはなんとなく中途半端というか、
無理やり終わらせた感じがしなくもないですが。



湊かなえの作品は「告白」「少女」「境遇」を読みました。
私としてはどれもちょっとコワイ系(境遇はそうでもないけど)のイメージで、いつもドキドキしながら読みました爆弾
特に「告白」はショッキングなストーリーだったのを記憶しています。
たしか何年か前に「本屋大賞」を受賞したと思います。

あれ、ほんとにコワイです(*_*)