朝の番組を見ていると、よく“星座占い”をやっています。
雑誌では、“今日の運勢”が 必ずと言っていいほど載っていますね。

“手相”をネタにしたお笑いもテレビや雑誌に出ています。
神社にいって毎年“おみくじ”を引く人もあるでしょう。

自分に引き起こる結果を「運命」という言い方をすれば、古今東西の人間の最大関心事は“自分の運命”かもしれません。

特に、未来に大事なイベントがあると、とかく“運命”が気にかかるものです。
受験、就職、結婚はもちろん、商談や工事、宝くじを買う日や場所など、どうすれば少しでも良い結果(運命)が得られるか、必死になります。


種子島で、ロケットの打ち上げの日が近づくと、打ち上げの関係者は、宇宙センター近くの3ヶ所の神社に詣りに行くそうです。
平成14年、ロケットの打ち上げに失敗したときも神社に参っていました。
次回の平成17年の打ち上げ時もやはり成功祈願の宮参り。
今度は、前回の反省(?)もあって神社の参拝順序を変更したとか……。


最先端の科学を駆使する技術者たちも、運命となると、手も足も出ないのでしょうか。
「やることやったら後は神頼みしかないでしょう」
とセンターの職員は語っていたそうです。

日常生活で引き起こる些細な結果(運命)から、未来を大きく変えるような結果(運命)まで、いったい私たちの運命は何によって決まるのでしょう?


占いが運命を決めることがあるのでしょうか?
運命を与えるような絶対的な神がいたりするのでしょうか?
先祖や何かの霊の影響?
手相や人相、親がつけた名前が運命を左右する?
星座や、その日の善し悪しが今日の私の運命を決める?


どんなに努力しても、結局、神サマが運命を決めるのなら、努力するのがバカバカしくなります。
先祖の霊のきまぐれで私の運命が左右されるなら、悪い運命がくれば先祖の霊を呪わねばなりません。
“先祖のタタリ”は聞いたことありますが、
“先祖をタタる”は聞いたことがありません。

2600年前、インドで活躍なされたお釈迦さまは、私たちの幸福や不幸という運命は、何によって決まるのか、
その法則をハッキリと教えられた方です。

その法則を『因果の道理』と言われます。

「因果」とは、原因と結果のことで、“すべての結果には必ず原因がある。 原因なしに起きる結果は、万に一つ、億に一つもない”ということです。

髪の毛が1本落ちたという結果にも原因があります。
今、皆さんがパソコンや携帯の画面を見ながら、この文章を読んでいるという結果にも、必ず原因があるのです。

“どんな結果にも必ず原因がある”

これはいつの時代、どんな場所でも変わらない真理であると、お釈迦さまは教えられています。

何の原因もなしに結果が生じるという意味の「偶然」や「奇跡」を仏教は認めません。
すべて必然であり、一つとして例外はありません。

「そんなの当たり前じゃないか」
と思われるかもしれませんが、ここは大切なところです。
しっかり心に留めて聞いていただきたいと思います。


『因果の道理』の「道理」とは、「三世十方(さんぜじゅっぽう)を貫くもの」をいいます。

「三世」とは過去世、現在世、未来世のことで、「いつでも」ということ。
「十方」とは東西南北上下四維(しゆい:北東、南西など)で、「どこでも」ということ。

いつでも、どこでも変わらない真理を「道理」といわれます。

この世のすべてのことは、必ず原因があって結果が生じるという、いつの時代も、どんな場所でも変わらない真理が「因果の道理」です。

平安時代は、それは通用したけど、平成の今日では通用しない、というものは道理とは言えません。
今は成り立つけど、1万年後の未来は成り立たない、というようなことも道理とは言われません。

また、中国では正しいけど、アメリカでは、それは間違いになる、というもの、日本では通用するけど、ヨーロッパに行くと通用しない、というものも、道理とは言われません。

その時代、その場所のルールや価値観に左右されない、いつでもどこでも成り立つこと、正しい事実を仏教で道理と言われます。

そんな道理を、仏教では、2600年前から教え続けられているのです。

特にお釈迦さまは私たちの最も知りたい、幸福や不幸の原因と結果の関係を詳しく教えられています。


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