「大根、大根はいらんかね」
声をからして、江戸の町を売り歩く男がいた。
肩に担いだ棒の両端には、大根を山のように積んだカゴがぶら下がっている。
もう昼を過ぎたというのに、朝から1本も売れていないのだ。
家には、女房と3人の子供が待っている。
「ああ、このままでは、明日の米を買う銭がない……」
ひもじさに泣く子供の顔が浮かんでくる。
ひたすら、
「大根! 大根!」
と言って歩いていると、ある武家屋敷から、
「おい、大根屋」
と声がかかった。心を弾ませ、
門をくぐると、この屋敷の主人らしい侍が縁側に立っている。
「その大根は、いくらだ」
「1本、33文でございます」
「高いな。24文にしておけ」
「それだけは、ご勘弁を。決して不当な値段はつけておりませんので……」
「そうか。では、よそう。手間をかけたな。帰ってくれ」
言い捨てるやいなや、ピシャリと障子を閉めて、侍は中へ入ってしまった。
やっとつかんだチャンスを逃してはたまらない。
男は、この大根に、家族5人の生活が懸かっていることを、
奥に向かって、すがるように訴えた。
しかし、障子の内側からは、何の返事もなかった。
あきらめて立ち去ろうとした時、
目の前に、小さなタライがあることに気がついた。
珍しい金属製である。
「これを売ったら、米が買えるだろうな……」
切羽詰まった男の胸に、起こしてはならぬ心が、むらむらとわき上がってきた。
そっと辺りを見回す。
人気はない。
障子も閉まっている。
すかさず、タライを大根の下へ隠した。
やってしまった――。
その瞬間から胸が高鳴り、居ても立ってもおれなくなった。
少しでも早く立ち去らねば……。
荷を担いで、そそくさと門を出ようとした時である。
「これ、大根屋」
背後から呼び止められ、男はギクリとした。
振り向くと、障子が開いて、あの侍が出てきた。
「その大根を、皆、買ってやろう。ここへ並べてくれ」
あまりにも意外な言葉に、どう反応すればいいのだろうか。
カゴから大根を出せば、隠したタライが顔を出す。
今さらタライを元へ戻すこともできない。
大根を売らないとも言えない。
逃げることもできない……。
「きさま、何を慌てている! まず盗んだタライを出して、大根を数えるんだ」
「アッ……」
冷や汗が流れ、体の震えが止まらない。
斬り捨てられてもおかしくない。
「どうか、お許しください。
貧しさから、ほんの出来心で盗んでしまいました。
私がここで死ぬと、3人の幼い子も生きてはゆけません……。
命だけは、どうか命だけは、お助けください……」
地面に頭をすりつけるように詫びるばかりだった。
(後編へ続く)
■┓徒然なる ●┓
┗● ひとり言┗■
警察庁は27日、今年1~6月に全国で自殺した人は
1万7076人(暫定値)に上り、
昨年同期より768人増えたと発表した。
(27日 読売新聞より)
これは、過去最悪のペースらしい。
しかも、71%にあたる1万2222人が男性というから、
同じ男として、何ともやりきれない気持ち。
どんな理由があっても死んだらダメだ、と言いたい。
なぜなら、人間に生まれた目的があるのだから。
死んでも楽にはなれません。
それどころか、もっと苦しみの激しい世界へ飛び込まねばならない、
とお釈迦さまは教えておられます。
「人間に生まれて本当に良かった!」
と心から喜べる幸せ、それは阿弥陀仏の本願に救い摂られる以外にないのだよ、
とお釈迦さまは教えておられるのです。
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