“ありがとう”は漢字で書けば、
“有難う”
小学校のときに国語辞典を見て、
「お礼や感謝の気持ちを伝えるのに、
何でこんな漢字なんだろう?」
と疑問に思いました。
“ありがとう”は、実は仏教に由来する言葉です。
もとになった話を紹介しましょう。
お釈迦さまがあるとき、阿難(あなん)というお弟子に、
「そなたは、人間に生まれたことをどのように思っているか?」
と尋ねられた。
「はい。大変よろこんでおります」
と阿難は答えた。
お釈迦さまが、
「では、どれくらい喜んでいるか?」
と重ねて尋ねると、阿難は答えに窮した。
するとお釈迦さまは、一つの例え話をされた。
これは今日、
「盲亀浮木の譬(もうきふぼくのたとえ)」
と言われているお話。
・・・・・
「果てしな~く広がる海の底に、目の見えない亀がいる。
その亀は、100年に1度、海面に顔を出すのだ。
広~い海には1本の丸太棒が浮いている。
その丸太棒の真ん中には、小さな穴がある。
丸太棒は、風のまにまに、波のまにまに、
西へ東へ、南へ北へと、漂っているのだ。
阿難よ。
100年に1度浮かびあがるその目の見えない亀が、
浮かび上がった拍子に、丸太棒の穴に、
ひょいっと頭を入れることが有ると思うか?」
聞かれた阿難は驚いて、
「お釈迦さま、そんなことは、とても考えられません」
と答えた。
「絶対にない、と言い切れるか?」
お釈迦さまが念を押されると、
「何億年×何億年、何兆年×何兆年の間には、
ひょっと頭を入れることがあるかもしれませんが、
ない、と言っても良いくらい難しいことです」
と阿難が答えると、
「ところが、阿難よ。
私たちが人間に生まれることは、
その亀が、丸太棒の穴に首を入れることが有るよりも、
難しいことなんだ。
有難いことなんだよ」
・・・・・
と教えられています。
“有難い”とは、“有ることが難しい”ということで、
“めったにない”ということ。
でも、人間に生まれることは難しい
と言われても、なかなか、ピンとこない……。
気づいたら人間でしたものね。
宝くじで考えてみましょう。
ドリームジャンボ宝くじの場合、1等は2億円!!
1等の当たる確率は、1000万分の1です。
でも1000万分の1って、どんな確率なんでしょう?
東京都民が1000万人とすれば、当選は、東京都で一人。
(少な~い!!)
宝くじを米粒に例えると、
米粒1000万粒は、
10キロ入り米袋が20袋分。
日本人一人当たりのお米の年間消費量は、約60キロ。
実に、
3年4か月分のお米。
お茶碗では3300杯分。
それをぶちまけて、
たまたま手に取った一粒が「当たり!!」という確率。
あぁ……。
宝くじを買う気がなくなってきました……。
orz
だけど、
人間に生まれることは、その比ではないのです!!
地球上に、どれだけの生物の数が存在するでしょう?
哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類、
蝶や蜂やアリなどの昆虫、目に見えないダニのような小さな生き物もいます。
あの大きな体のマンボウは、
1匹から3億個の卵を産むと言われます。
(せっかく生まれても、ほとんど食べられてしまうそうですが……)
地球上に存在する生物だけを見ても、
それはもう天文学的数字の生物の数です。
人間は、地球上に60数億と言われても、
生物全体から言えば、ほんの一部です。
他の生物に生まれず、人間に生まれることの難しさ、
人間の浅知恵で考えても、気が遠くなるほどです。
私たちがこうして人間に生まれる難しさについて、
先ほどの「盲亀浮木の譬え」でお釈迦さまは教えておられます。
それほど、人間に生まれてくることは喜ぶべきことなんだ、
と教えられているのですが、喜んでいるどころか、
「何で生まれてきたのだろう…?」
「人間に生まれさえしなければ、
こんなに苦しまなくて良かったのに…」
と恨んでいる人さえあります。
それは、
自分が何のために人間に生まれてきたのか、
何のために生きているのか、
なぜ苦しくとも生きねばならないのか、
“生きる目的”がわからないからです。
生きる目的を知らされ、生きる意味をハッキリ知らされた時、
「生まれ難い人間に生まれることが出来て良かった!!」
と生命の大歓喜を味わうことができます。
実家が仏教なら、おじいちゃんやおばあちゃんは、
おそらく、よく知っている言葉、
「人身(じんしん)受け難し 今已に受く」
このお釈迦さまの言葉は、
「生まれ難い人間に
生まれることが出来て良かった!!」
という喜びの言葉として知られています。
だから、「ありがとう」という言葉は、
人間に生まれてくることが如何に有難いか、
人として生まれてきたことを本当に喜べる幸せになれよ、
というメッセージが込められている、
すばらしい日本語なんですね☆
「親には感謝せよ」と言われますが、
他人に言われるから感謝するのでなくて、
人間に生まれた心からの喜びがあれば、
感謝するなと言われても、
「お父さん、お母さん、
ボク(私)を人間に生んでくれてありがとう」
と、感謝の気持ちを言わずにおれなくなるのではないでしょうか。
「ありがとう」
いっぱい使いたい言葉です☆
(*^-^)
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