冷蔵庫の前で水ガブ飲みしてましたユトです。
私、大丈夫ですか?
やだ、ウッカリ出てた、てへ!
って笑えるレベルですか?
さて、皆さん乳出してますか?(えぇ!?)
私、オッパイの後+ミルクの混合です。
私が思うに、オッパイって、正直、ミルクより楽です。
チビの機嫌とか空腹感とか眠いとか淋しいとか、
愚図ったらとりあえずオッパイで、すべてがおさまるんですから。
夜中だって、フニャと覚醒し出したら、
ハイハイ、って乳首くわえさせただけで
数秒で眠り再開するんですから。
これがミルクだった場合。
寒い夜中、起きだしてミルクを作り…。
完全ミルクのお母さんたちには、ほんと、
尊敬の意を表したくなる。
いや、今日はちょっと、母乳の話。
「母乳育児に思う~その時ユトは~」
みたいなノリで、一応残しとこうと思って。(どんなノリよ)
あと、チビへの秘かな想いとかね。
ちょっと、いつものノリと違うかもしれません。
それでもいいよ、と、いう方はどうぞ。(ぺこり)
さて。
私の出産した病院は、出産直後から母子同室、
そして母乳育児に力を入れてる病院だったんですよ。
なんか、ユニセフに、赤ちゃんにやさしい病院ですよーって、
認定されてるとか、されてないとか。(いや、されてるの)
別にそれで病院選んだわけじゃなくて、
たまたま妹も出産してたから、っていうのもあるし、
小児科も小児外科もあって、出産時、万が一の時にも心強いかなー、
っていう理由で決めたんですけどね。
私、妊娠中から漠然と、母乳で行こう、と思ってました。
「哺乳瓶の消毒面倒くさいよー」とか、
「夜中にミルク作るの大変じゃん」とか、
「外出時の大荷物嫌だしー」とか、
「何よりミルク代かかるしさ」みたいな、
なんともグウタラな理由で。
なにより、母乳って、出産したら簡単に誰もが出せるもんだと
疑いもしなかったんですよね。
母乳育児にしようかな、ミルクにしようかな、だなんて、
そんな簡単に選べることじゃなかった事を、
私は10日間の入院で思い知ることになるのです。
さて。
出産直後から母子同室なので、いつもチビと一心同体。
ついさっきまで、腹の中にいたチビを、
温かくも、不思議な気持ちで眺めていると、
ユトさん、授乳してみましょう、と、助産師さんがやってきた。
ユト 「授乳って言われても…。」
出産当日、私のオッパイは母乳を出す気配ゼロ。
妊娠前と変化なし。(乳首の色以外はな)(泣)
助産師 「いいんですよ。赤ちゃんが吸う事が大事なんですよ。
そうする事で必ずオッパイ出ますからね。」
そうなんだ。
何だかよくわからないけど。
とりあえず初めての授乳作業にアワアワ。
助産師さんの指導で、乳首ではなく乳輪すべてを口に含ませるように、
チビの首根っこを手で押さえながらカップリ咥えさせ、ガッチリ固定。
正直、衝撃的でした。
今まで私の中で、授乳=乳首チューチューだったから。
助産師さんの、乳輪部分を赤ちゃんが舌と顎でシゴく事でオッパイが出てくるんですよ、
という言葉で、初めて乳輪存在の意味を知ったんですよね。
まったく、よくできてるなぁ。
吸わせることに意義がある
まさにこの状態でした。
生まれたばかりの新生児は、「オッパイを飲む」欲求ではなく、
「乳首を吸いたい」欲求が強いそうです。
そしてここで問題発生。
チビが上手に咥えられない。
舌を巻いてしまって乳輪ごと乳首を奥まで含めないために、
どうしても楽に浅く乳首だけ吸おうとするのですよ。
奥まで含ませようとすると、気に食わないようで怒る怒る。
その様子を、頭の片隅のどこか冷めた部分で、
激昂するってこういうことなのかな…って、漠然と思ってたんですよね。
きっと、まだ何か感情的な部分で親とか子とか、母性だとか、
スイッチが入ってなかったんでしょうね。
何か、こう、胸のあたりのどっかでリアリティがない、っていうか。
とにかく、母乳の分泌が始まる前に、
正しく乳首を含ませるための特訓が始りました。
授乳の度に、助産師さんが、チビの上あごの窪み部分あたりを、
人差指の第二関節まで入れてシゴきます。
怒り、のけ反り、えづきながら、泣き叫んで逃れようとするチビ。
それから助産師さんが乳房を咥えさせます。
浅く乳首だけ含もうと、自分で調節しようとするチビの首根っこを、
グッと押さえつけて。
この時、何とも言えない、今まで感じたことのない感情が湧いたんです。
苦しいような、切ないような、罪悪感のようなものが。
こうして、助産師さんの指示どおり、
泣いたらオムツ&練習&オッパイ吸わせてを繰り返すこと3日。
赤ちゃんが持って生まれてくるという、栄養弁当3日分の期限を迎えます。
未だ、母乳分泌、ナシ。
生まれて3日、一度も栄養を摂ってないチビ。
体重だけが減っていきます。
生理的減少だと解っていても、
不安な気持は燻ります。
4日目。
泣き叫びながら特訓を受けるチビ。
出ない母乳。
減っていく体重。
体温の上昇。飢餓熱です。
とうとう、糖水がスポイトで与えられました。
ほんの少しの糖水で満たされたのか、
オッパイを吸うのに疲れ切ったのか、
静かに眠りについたチビ。
母乳育児のために必要な練習だと、
頭ではわかっているのに、感情が邪魔をします。
泣き叫び、嫌がり、空腹を訴える姿を思い出しながら、
腕の中にスッポリ納まり、今は静かに眠る、
頼りない私の子供を、ボンヤリと眺めながら思いました。
オッパイ飲みたいだろうに。
お腹、物凄く空いてるだろうに。
好きなように吸いたいだろうに。
何で私のオッパイは出ないんだろう。
私、母体として欠陥品なのかな。
ゴメンね、チビ。
ゴメンなさい。
こみ上げる涙を堪え切れませんでした。
大丈夫、ユトさん、絶対出るから!
チビちゃんもこんなに吸うの上手になってるもの!
私の心中を察しただろう助産師さんが、
一緒に泣きながら掛けてくれた温かい言葉に、
唇を引き結んで何度も頷きながら私は、
「もう、ミルクでいいです…母乳諦めます…」という言葉を飲み込みました。
そして5日目。
突然の変化が訪れたのです。
目が覚めるとオッパイがカツンカツンに張ってました。
え、何コレ!?
戸惑う私に、
ユトさん、やった!頑張ったね!!と嬉しそうに言いながら、
助産師さんの乳管マッサージが始まりました。
ははっ、思いだしても痛みが蘇るほど、壮絶なもんでしたよ。
妹から聞いてはいたけど、想像を絶する痛みでした。(まさに悶絶)
陣痛に耐え、分娩に耐え、会陰切開の傷の痛みに耐え、
肛門の痛みに耐え、あげく、この痛みですか、みたいな。
次は何じゃいっ!みたいな。
練習の成果か、チビがオッパイを吸ってます。
まだまだ下手ッピなクチつきで。
頑張ったかい、あったよね、チビ。
君があんだけ頑張ったんだもの、
次は私が頑張る番だな。
そう誓って、数か月。
結局チビの飲みっぷりに私の母乳の生産が、
追いつくことはなかったんですけどね。(どんだけ飲むのよ)
ま、無理をしないで、母乳とミルクでスクスク育つチビ。
旦那ッチもチビにミルクあげたりで、3人で楽しく穏やかに過ごす日々。
あの当時は大変だったけど。
不安と辛さで、イッパイイッパイの日々だったけど。
母乳育児、経験できてよかった。
諦めないで頑張ってよかった。
今日もオッパイあげながら、
チビを見つめて思う。
いつの日か、チビは大きくなって、
オッパイ吸いながら寝たことも、
頭を撫でられながら眠りについたことも、
湧きあがる愛情を持て余した私に、キツク抱きしめられたことも、
きっと忘れてしまうんだよね。
でも、いいんだ。
別に忘れられても。
私は忘れないから。
ずっと覚えているから。
子供を想う、親の気持ちって、こういうことなんだよね。きっと。
そして、あの日。
一緒に泣いてくれた助産師さんに、
ありがとう、を。