今回のカタナミーティング2024に参加して思ったこと、考えたことを残しておこうかと思います。
後々は、もしかしたら考え直すことがあるかも知れませんが、今の気持ちという事ですね。
★新型カタナの製作についての裏話について
現行モデルの外観デザインの根底にある原因は、カタナ3.0を製作したエンジンズ・エンジニアリングによる計画的な売り込み戦略で実現してしまったことだということがわかりました。
確信犯なのは、2017年のミラノショーでテロ的にスズキブースの隣(ブースの中という話もあるようです)に、さも制作途中ですよと言わんばかりのカタナ3.0を展示したこと!
これにより、メディアに「もしや!?」と誤解を与えたことが発端ですね。午後にはスズキからの申し出で展示を変更したそうですが、メディアに一瞬でも印象を与えるだけで十分だったのでしょう。
この「事件」は、スズキ社にとっては寝耳に水の出来事であったそうです。
あまりにもインパクトの大きい出来事であったため、誤解だと伝える暇もなく、あっという間に「ついに新型カタナが出る!?」とメディアが報じました。世間はザワつきました。自分もネットで知ってザワついた一人でした。
急に湧いて出たニュースのため、社内で会議が開かれたようです。
当時、スズキ社内では新しいカタナを作るプロジェクトは存在していたそうですが、決め手に欠けていたところに今回の出来事があり、S1000ベースでぱっと見カッコいいということから、周囲からは良い意見が出ていたので、上から指示が出てこのデザインを忠実にということで製作が決定したようです。
そして、初代カタナが「ケルンの衝撃」で知られる発表をドイツのケルンで行ったことにあやかって、2018年のケルンショーで正式発表して、2019年に発売する事に繋がります。
この話は昔に雑誌で読んだことがありますが、開発者の方から生で聞くと、当時のスズキ社内の困惑をダイレクトに感じました。
(雑誌等ではエンジンズ・エンジニアリングのことをどこも悪く書いていませんが、当時の社員の立場であれば苦笑いというか遺憾というか、感情が出た方もいたんじゃないかなと推測されました。でも、こうなってしまうとどこかに着地点は必要なので、波風を立てないように収めたのかなと考えました。)
上からの指示とは言え、GSX-S1000ベースのデザインとインパクト重視のカスタムマシンを元に正式採用するとなると、それは大変だったと思います。
個人的見解ですが、カスタムショップのショーモデルは、基本的にデザイナーの自己満足が満載で、実用性は二の次であることが多いと思うので、それに実用性と信頼と品質とインパクトを付け加えるとなると、その大変さは想像できます。
なので、あの小さいガソリンタンクは、カタナ3.0のデザインを取ったが故に妥協せざるを得なかったのですね。
そして「いまふう」なインパクトを与えるアイテムとして、カタナには似合わないと思う人が多い意味不明なスイングアームマウントのナンバープレートベースと短いリアシートが採用されたのでしょうね。
新型カタナのデザインで遺憾に思うところは、イタリア人デザイナーには響かなかった、カタナのアイデンティティであるちょうどよい高さのスクリーン、バックミラーがスルーされたところです。せめてここを正式版のオリジナルとして入れて欲しかったです。
その代わりに、カタナ3.0が採用しているヨシムラ1135Rを真似たフロントウィンカー位置をそのまま採用しているところは、安直すぎると思います。初代カタナをイメージするならば、フロントカウルにウィンカーを付けるデザインを考えて欲しかったと思います。ヘッドライトの下のポジションランプも微妙なところですかね。
お話では、カタナ3.0は、カタナをリスペクトしているイタリア人がデザインをして作られたそうです。
「は?、どの程度リスペクトしているのですか??」と思ってしまうほど、初代カタナの姿のポイントを外しているように思えます。日本人に好まれるカタナのデザインを分かってないなと思いますよ。
リスペクト度合いで言えば国内のカスタムメーカーの方が遥かに高いと思います。ですが、切り口の違う外国人デザイナーが形にしたカタナ3.0が世間に与えたダメージは、良い意味でスズキに効いてしまい、とてつもない苦労をして綺麗に格好良くまとめたんだなと思いました・・・。
エッジの効いたカタナらしい姿は、初代のイメージを踏襲していると思います。改めてカタナ3.0と見比べて見てみると、現行カタナの外観は素晴らしく改善されています!