2019年に復活した新型カタナが不人気なのは、カタナファンはもちろん、バイク好きの方には周知の事実だ。

いくら素晴らしいマシンをベースにして造ったものだとしても、消費者から認められなければ意味がない。

コンセプトは問題ないが、その容姿や仕様は、バイクを所有したいと思う気持ちのど真ん中であることを忘れてはならない。

スズキのバイクの良さは「完璧ではない所」という人がいるが、それが初代カタナの時(1980年代)と違うのは当たり前のことなので、現代の姿で蘇らせるのであれば時代に沿ったコンセプトで行わなければ、ただの「不人気車」でしかない。

バイクの良さを上手く具現化した成功例は、言わずと知れたカワサキのZ900シリーズだろう。

また、ホンダは、CB750やCB900を全く新しいコンセプトで進化させたマシン(CB1100やCB1000Rなど)を販売した。

もしかしてスズキの新型カタナ開発陣はそれらに乗っかりたかったのだろうか?

ただ真似をするだけだとアレなので独自性を出したかったのだろうか?

新しい「出し方」を模索していたのだろうか・・・?

しかしその結果、飛びついた先を間違えたとしか思えない(KATANA3.0)。

百歩譲って飛びついたことは許せても、その後がまずかった。

なぜ開発時に、日本のカタナファンに意見を聞かなかったのか?

なぜ、ほぼそのままの姿で世に出してしまったのか?

意見を聞けば、

・カタナを愛する人は、カタナのどこに魅力を感じているのか?

・どの部分に「カタナらしさ」を感じているのか?

・カタナのアイデンティティは何なのか?

を聴けたはずで、恐らく、まんまKATANA3.0にはならなかったはず。

考え始めると不満が止まらない。

ファンを置いてけぼりにして発表した結果は、SNSや雑誌での批判や、速攻でバイク用品メーカーのカスタムパーツ(スクリーンやリアフェンダー、ローハンドルキット)が発表されたりしたことで、その評価がハッキリと分かる。もちろん旧カタナと比較される。

そして販売結果に現実が表れてしまった。


ここまでかなり厳しい意見を述べてきたが、スズキオフィシャルで発売された新型カタナだからと、この事実を受け入れた肯定的なファンも多数存在するので、スズキの二輪開発の方々には、昔からのカタナファンの意見を大事にして欲しいと思っている。

今の若者を中心に、これからバイクに乗ろうと思っている人や、リターンライダーにカタナを選んでもらうにはどうすればよいのか?を熟考してもらいたい!

・・・正直なところ自分も新型カタナを嫌いではない。フロントからシートにかけてのデザインは「あ、カタナだ」と思わせるものだし、走り抜ける姿はカッコいい!

採用された意味が今だに不明なリアフェンダーは目を瞑るとして、本当に一番のネガな部分(タンク容量)だけでも解消されれば欲しい、買いたいと思っている人の一人だから。

もし購入した場合は、スクリーンをはじめ、自分仕様への部品交換は絶対必須だが。


さて、自分が思う事としてだが、カタナファンが求める新しいカタナの姿の一つは、1992年に発売されたGSX400S KATANAが「それ」なんだと思う。

当時、バンディット400で定評があった400cc水冷エンジンを使い、限りなく1100カタナに寄せた姿は、正に理想の新型カタナ像なんだと思ってならない。今も中古車が人気なのは頷ける。
また、ヨシムラからファイナルエディションをベースに限定5台が製作され発売された伝説のカスタムマシン「KATANA 1135R」も新しいカタナのイメージとして根強いのかもしれない。

つくづく、イタリアのカスタムショップ(エンジンズエンジニアリング)のデザイン「KATANA3.0」だけではなく、すでに30年弱も前に完成していた日本のカタナを手本に令和のカタナを作って(造って、創って)欲しかったと思う。

カタナというバイクは、スズキオフィシャルでファンミーティングを開催するほどの類を見ない名車だ。それほど愛されている存在であることが故に、ファンの意見は大事だと思う。


新型カタナは、まだまだこれから進化する余地があると思うので、カスタムマシンとしての姿ではなく、メーカー発表の純正スタイルがカタナファン全員を魅了し、バイク業界全体が納得できるマシンの形を具現化してほしいと願うばかりである。