日本センチュリー交響楽団 第272回定期 秋山和慶 ベートーヴェン/近衛 交響曲第3番 ほか | 音と言葉と音楽家  ~クラシック音楽コンサート鑑賞記 in 関西~

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クラシック音楽の鑑賞日記や雑記です。
“たまにしか書かないけど日記”というタイトルでしたが、最近毎日のように書いているので変更しました。
敬愛する音楽評論家ロベルト・シューマン、ヴィルヘルム・フルトヴェングラー、吉田秀和の著作や翻訳に因んで名付けています。

日本センチュリー交響楽団

第272回定期演奏会

 

【日時】

2023年4月20日(木) 開演 19:00

 

【会場】

ザ・シンフォニーホール (大阪)

 

【演奏】

指揮:秋山和慶

ピアノ:髙木竜馬 *

管弦楽:日本センチュリー交響楽団

(コンサートマスター:水谷晃)

 

【プログラム】

モーツァルト:ピアノ協奏曲 第9番 変ホ長調 K.271 「ジュノム」 *

ベートーヴェン(近衛秀麿 編曲):交響曲 第3番 変ホ長調 作品55 「英雄」

 

※アンコール(ソリスト) *

グリーグ:抒情小曲集 第5集 より ノクターン op.54-4

 

 

 

 

 

センチュリー響の定期演奏会を聴きに行った。

指揮は、1941年東京都生まれの指揮者で、センチュリー響のミュージックアドバイザーを務める、秋山和慶。

ソリストは、産休中の小林愛実の代役を、1992年千葉市生まれのピアニスト、髙木竜馬が担当した。

彼の実演を聴くのは、私には今回が初めて。

 

 

 

 

 

前半のプログラムは、モーツァルトのピアノ協奏曲第9番「ジュノム」。

これは残念ながら、遅れて行ったので聴くことができなかった。

この曲で私の好きな録音は

 

●ピリス(Pf) グシュルバウアー指揮 リスボン・グルベンキアン管 1972年7月セッション盤(NMLApple MusicCDYouTube123

●アンスネス(Pf、指揮) ノルウェー室内管 2003年8月28-30日セッション盤(NMLApple MusicCDYouTube123

 

あたりだが、推進力がありながらもたおやかに歌うピリスと、スタイリッシュに洗練された完璧なアンスネスとでいうと、今回の髙木竜馬は前者に近いような印象を受けた(モニター越しにしか聴けなかったが)。

 

 

アンコールは生で聴くことができたが、さすがグリーグコンクール優勝者だけあって、堂に入った美しい表現が聴かれた。

彼が弾くグリーグの曲を色々と聴いてみたくなった。

 

 

 

 

 

後半のプログラムは、ベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」(近衛秀麿編曲版)。

この編曲版は、私は聴いたことがなかった。

原曲で私の好きな録音は

 

●フルトヴェングラー指揮 ウィーン・フィル 1947年11月10-17日、1949年2月15日セッション盤(CD

●フルトヴェングラー指揮 ベルリン・フィル 1950年6月20日ベルリンライヴ盤(NMLApple MusicCDYouTube1234

●フルトヴェングラー指揮 ウィーン・フィル 1952年11月26,27日セッション盤(Apple MusicCD

●カラヤン指揮 ベルリン・フィル 1962年11月11-15日セッション盤(NMLApple MusicCDYouTube1234

●カラヤン指揮 ベルリン・フィル 1976年5月7日、1977年1月30,31日、3月8日セッション盤(NMLApple MusicCDYouTube1234

●カラヤン指揮 ベルリン・フィル 1982年4月30日ベルリンライヴ盤(Blu-ray

●カラヤン指揮 ベルリン・フィル 1984年1月25,26,28,29日セッション盤(NMLApple MusicCDYouTube1234

 

あたりである。

21世紀も4分の1が過ぎようというこの現代に、どうしても20世紀の二大巨匠が振った英雄的な名演ばかり聴いてしまう。

 

 

今回の秋山和慶&センチュリー響の演奏は、これらの名盤たちのような英雄的な力強さや厳しさは持ち合わせていなかったけれど、じっくりとした音楽の運びはこの曲に(あるいはこの編曲版に)ふさわしい。

両端楽章はもっともっと圧倒されたいところだが、第2楽章のフガート部はなかなかの迫力だった。

 

 

近衛秀麿編曲版による今回の演奏、弦が12型くらいのすっきりした編成なのに、管がやたら大編成(ピッコロ1、フルート4、オーボエ4、クラリネット4、ファゴット4、コントラファゴット1、ホルン6、トランペット4、チューバ1)という不思議なバランス。

終楽章冒頭のような弦楽器のみによるフォルテはひ弱に聴こえてしまうが、管楽器が入る箇所は盛り上がり、特にホルンの強奏とティンパニの耳慣れないリズムが目立っていた。

もしこれでさらにワーグナーチューバがあれば、もはやベートーヴェンでなくブルックナーだったろう。

 

 

第1楽章展開部のクライマックス、ここもホルンやティンパニがばーっと盛り上げる編曲で楽しいが、普段あまり目立った表現をしない秋山和慶がここではわざとらしいほどのタメを作り、さらに可笑しみが増した。

第3楽章のトリオは最初の1フレーズのみ原曲どおりホルン3人、それ以降は6人に倍加されブルックナー化される。

そして終楽章コーダは、ホルン6人とトランペット4人の大饗宴。

ピリオド奏法様のスタイリッシュな演奏様式が隆盛する昨今だが、こういう編曲版をやるならばこうした古い様式のほうが合うだろう。

小林研一郎や飯守泰次郎と並んで日本の指揮者の最長齢世代の一人である秋山和慶には、今後も永い活躍を期待したい。

 

 

 

(画像はこちらのページよりお借りしました)

 

 


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