「美味しんぼ」読んだことがありません。「びみしんぼ」と勘違いしていたくらいです。

当然作者の雁屋哲さんも知りません。取材をして自分なりに考えて作品にする人で、考え方は共産党よりも過激である(?)、とネットにはありました。「原発のない社会をつくる会」の世話人の井戸謙一弁護士のコメントが事実をついている、と思います。なお、これもネット情報ですが、「美味しんぼ」には、こういう描写があり、安倍晋三政権は、これがガマンならなかったとか。

「最近、政治家たちが、”美しい国”などと言葉を飾り、その実、日本を再び戦争をするような醜い国にする動きが目立つ。
 連中は、本当に美しい国とはどういうものか知らない」
 
 まっとうな批判です。


「福島第一原発事故の後,福島県や北関東では,多くの人が鼻血を出しました。そのことは,福島に留まった人たちや福島から自主避難した人たちが口々に述べていたことであり,私自身も何人もの人たちから聞きました。「今までほとんど鼻血を出したことのなかった子どもが鼻血を出した。」「今までのタラタラと出る鼻血とは違ってドバッと出た。」「一旦出たらなかなか止まらない。」「クラスで何人も出した。」「クラブで何人も出した。」等々。
 鼻血を出したという話は,福島第一原発事故の直後が最も多かったのでしょうが,それから相当時間が経過してからでもありました。なお,熊本学園大学社会福祉学部教授の中地重晴氏によると,福島第一原発事故から1年半が経過した2012年11月に,福島県双葉町,宮城県丸森町筆甫地区,滋賀県長浜市木本町の3か所を調査対象地域とし,質問調査をしたが,それによると,双葉町,丸森町において,木之本町よりも有意に多かったのは,体がだるい,頭痛,めまい,目のかすみ,鼻血,吐気,疲れやすいなどの症状であり,鼻血に関して両地区とも高いオッズ比【丸森町で3.5,双葉町で3.8】を示したとのことです。【「水俣学の視点からみた福島原発事故と津波による環境汚染」大原社会問題研究所雑誌(特集 原発と社会運動/労働運動(2))】
 「美味しんぼ問題」について,福島県や双葉市が主張しようとしていることが,福島第一原発事故後,住民に鼻血が多発した事実がなかったということなのか,鼻血が多発した事実は否定しないけれども,その原因は放射能ではないということなのか,必ずしも明確ではありません。
 もし前者であるとすれば,多くの人が明確に体験した事実を公権力がその圧力をもってなかったことにしようとするものであり,到底許されない暴挙であると考えます。それは,民主主義を標榜する近代国家ではありえないことです。
 もし,後者であるとすれば,医学的に議論の分かれる問題について,公権力が軽々に口を挟むべきではありません。福島第一原発事故による被ばくが原因で鼻血が出るはずがないと主張する学者がいることは承知していますが,他方で,西尾正道北海道がんセンター名誉院長は,「鼻血は低線量でも広範な粘膜が被ばくした場合は出ても不思議ではありません。私は放射線の影響だと答えています。」と述べておられます。放射能による健康被害については未だにわかっていないことが多いのです。歯科医院で口腔部や鼻腔部にX線を当てても鼻血は出ませんが,外部の放射性物質から発せられたX線やγ線が体内を通過する外部被ばくと放射性物質自体が鼻部の粘膜に付着し,β線が周囲の組織の細胞にダメージを与える内部被ばくとでは同列には論じられないでしょう。少なくとも,福島第一原発事故の直後から今まで経験したことのない態様の鼻血が多くみられたのですから,放射能のせいではないかと疑うのは普通の感覚だと思われます。
 福島は,復興一色で染め上げられ,子どもの健康を心配している親たちも,放射能に対する不安を口にするのが極めて困難になっていると聞きます。放射能に対する不安を口にすること自体が風評被害を招き,復興の妨げになるというのです。
福島第一原発事故後,住民の間で鼻血が多発したという多くの人が知っている事実を漫画に描いただけで,民間だけでなく,政府や公共団体からもパッシングされるという今回のようなことがまかり通れば,福島の親たちは,放射能に対する不安だけでなく,現実に体験した事実を語ることもできなくなります。こんな異常な社会の出現を許していいとは思いません。
これは,福島だけの問題ではありません。これは,私たちがこの国をどんな国にしていくのかという問題だと思います。」

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