ママの遺したラヴソングママの遺したラヴソング

LAで凹む私に、mimi子 が試写会お誘い。

あったかいプレゼントありがとう。

マックで100円ナゲットに感動後、会場へ。

"A Love Song for Bobby Long ~ママの遺したラヴソング"

全米でも一般公開にならず。
しかも2004年のを今さら?と思うが。
おそらくスカジョ人気のためかと推察。

↑HeartWarmingではありますが、とにかく暗い。よって、ADもタイトルも、明るく仕様変更済み。


ジョントラのエロい老人姿、スカジョの強烈なミサイルおっぱい。

そして、なんと言ってもGabriel Machtが素敵で釘付け。

ママの遺したラヴソング


Themeだけに非ず、映像も全体的に暗いですが美しさは秀逸。

鮮やかな色彩となるジャズの聖地、New Orleansの古い町並み、ミシシッピ川、路面電車、風景とのコントラストが美しく。写真ちょっと調べたら、全て現地Louisianaロケにて撮影されたそう。

映画でありながら、スタジオ撮影無し。

殆どのシーンの舞台となる家ですら、セットではなく実在の家とのこと。

ジャズや映像に興味のある方、英米文学好きにはきっと垂涎。

ふと背景となったこれらの場所は。

2005年のハリケーンで失われたのかもしれないなあ。と思った。


以下、ネタバレ。映画観る予定の方は読まないで下さい。

2002年、ニューオーリンズ。

Bobby Long(John Travolta)が、自宅近くのバーから墓地へ向かうところから始まる。

埋葬されるのは、New Orleansで皆に愛された往年のDiva、Lorraine Hominy Will。

Bobbyはかつての助手だった、作家志望の青年Lawson(Gabriel Macht:ゲイブリエル・マクト)と、寝室2つだけの古い家に住んでいた。アラバマ出身の元英米文学専攻の大学教授と言う設定ゆえ、ボビーの台詞には、偉大なる文人たちの珠玉の言葉が散りばめられている。

一方Lorraineには、Floridaに音信不通の娘Pursalane Hominy Will(Scarlett Johansson:スカーレット・ヨハンソン)がいた。
18歳のPursyは、長く学校も行かず、どうしようもない男とポルノを観ては、自堕落なトレーラー暮らし。
Skippysの付いたスプーンを、M&Mに入れて食べる。観るだけで、なんとも甘ったるくジャンキー。
そこへ、Bobbyから突然の訃報。葬儀が終わったことも知らずPursyは全てを後にし、ニューオーリンズへ。


母の友人と名乗り、家に居座るアル中のオヤジ2人。少女らしい嫌悪感を露にFloridaへと踵を返すPursy。

Grayhoundバスの待合所で、遺品であるカースン・マッカラーズの'The Heart is a Lonely Hunter'(「心は孤独な狩人」を読み始める。
何かに惹き付けられたのか、はたまた神の意志なのか。Pursyは一気に貪り読む。
すると、本の最後のページには、Bobbyから母へのメッセージ、“どんな時も歌がある”を見つける。
全く記憶の無い母を取り戻そうと思ったのか、Pursyは家に戻り、共同生活が始まる。

写真Bitchとアル中。互いに蔑視と嫌悪を明らかにしつつ、徐々に懐柔。
スカジョの放射線技師になりたい夢を聞き、Lawsonは協力開始。
Bobbyも、Pursyの寂しさと心の傷、少女らしい部分に触れ。心を痛め。
Lawsonの車を密かに売り、高校への復学、大学進学資金を工面する。
LawsonはPursyの復学条件に酒を断つことを誓い、Bobbyも同じ努力を始める。

2人のオヤジに見守られる、穏やかな日々。真っ白だった母の記憶を辿っていく。
母が歌ったライヴハウスとかつての仲間。寝転んでよく読書た大木。あたたかいクリスマス。
折々、街で出会う人々に生き写しと言われ、母の記憶を1つずつ拾い集める。
そして、母が自分を愛していて、“黄金の花のような子”となる願いで命名したことを知る。
Pursyの心は、いつしか少しずつ癒されて歳相応に。中年オヤジたちも、また同じだった。写真

Pursyはある時、遺品から出されずことなくしたためられた、
母から自分宛ての手紙の束を発見。
それはたくさんの愛と、驚に満ちたもの。
全ての話は、ハッピーエンドへと向かう。
大学へと進学したPursy。Bobbyの自伝をまた書き溜めるLawson。
2年後、Bobbyは腎臓病で他界するも。Lawsonの著作はベストセラーとなるところで、話はおしまい。

Bobbyの台詞の大半は文豪の言葉の引用。思わず書き留めたくなる言葉が連発。

Lawsonの「ディラン・トーマス」とか、「T.S.エリオット」「Robert Frost」「 WH Audenだ」 と絶妙な合いの手で説明。

私は、ディラントーマスの言葉が一番のお気に入り。「愛の光なき人生は無意味である。 」

しかし、最後のPursyの卒業祝いのシーンでも、引用句で絞めてしまうところは、ちょっと微妙だな。

私がスカジョだったら。父Bobby一個人としての一言が、何より嬉しいと思うんだけどね。

ストーリーの軸は、3人各々の自己回帰、発見のエピソードが錯綜。
母親を知らずに育った娘が、母親を虚構から実像へと徐々に昇華してゆく過程は、ひたすら、想像裡で進行。
母の記憶が全く無いことの象徴か、エピソード中に、Lorraineの映像、声は一度も描かれません。
それぞれ蔭と刺を持った3人を、あたたかい田舎の景色と人々が包み込みます。
そこにアル中男の過去の家族愛・情愛・情熱・熱情などを発見して行く過程がSynchronize。


しかし。誰も、働いていないのに、生活できるのか?車を売らなきゃ飲めないほどなのに。

Lawsonが御曹司だからか?BarのオーナーでLawsonを愛するGeorgiannaの計らいなのか。不明。

このGeorgianna。あまりに切な過ぎる大人の女性。一番痛々しいのは彼女です。

Traditionalなジャズとともに、Nada Surfのオルタナ・ロック、Blonde On Blonde等も織り込まれ。

音楽好きな人にも、おもしろいのではないでしょうか。

ただ、和訳がちょっといただけない部分を数箇所感じたのが残念。


一本通った筋はなく、何となく感情的な内容ながら。妙に印象に残る作品。

US2往復でかなりの映画を見ましたが、中でも印象深いものです。


シネスイッチ銀座にて、4/7公開予定。

監督:Shainee Gabel

原作:Ronald Everett Capps

出演:John Travolta、Scarlett Johansson、Gabriel Machtほか