営業職は透明な存在が理想だ、と考えていたことがあります。
お客様は、モノやサービスを買うことを検討しています。
でも本当は、モノやサービスを通して、幸せや未来の中にいる自分を買いに来ている、そのことに自分で気づいていないんです。
例えば、不動産営業。
不動産を買おうと検討している人は、建物を置いておくために買うのではありませんよね。
そこで暮らすことで、今より楽しくて、幸せになれる。
だからお金を出すわけです。
本当の営業は、そうした潜在的な願望、「モノを買う」という行為の向こう側にある本当の気持ちに気づいてあげて、そこを顕在化させるものだと思うんです。
例えば、生保営業。
お客様の気持ちを察して、
「この生命保険は、あなたにとって人生最後の、家族へのラブレターですよね。あなたの家族への思いが詰まっていますよね。ですから、受け取り手続き説明だけでなく、そのこともきちんとご家族に説明させてください」
そう心から言えたなら、お客様の気持ちは、もはやただ生命保険に加入した安心感といったレベルとはかけ離れた、大きな感動に昇華しますよね?
つまり、お客様が本当にほしかった「幸せ」や「未来」を手に入れてもらう、手に入れたという実感を感じてもらう、そういう付加価値が、感動という落差となって現れるわけです。
これは、企画・開発や広報、技術系の仕事では、どうしても味わうことのできないやりがいですよね。
100円の価値のものに100円払ってもらうのは、等価交換です。
当たり前のことです。
しかし、100円のものには100円の価値しかありません。
そこに、数字には表せない幸せを上乗せすることで、はかりきれない大きな価値のあるものにし、結果として「ありがとう」と言ってもらえる、それが営業の醍醐味です。
そのためには、営業マンは自分をやたらに売り込むのではなく、お客様に寄り添う透明な存在を目指さなければならない…そんなことをふと思った瞬間が、あったのです。