ー開幕ー

目を覚ました貴方、目先にあったのは見慣れない天井、少し重い体を起こし、辺りを見渡す。
見慣れない質素な部屋には、顔も知らない人達がいた。各々同じ心境なのだろう、不思議そうな表情の人もいれば、焦った人や怯えた人等三者三様だった。
まだ回りきらない頭に、騒ぐ声が響く。
男の悪態に応えるように、バルコニーから人影が現れ…。


いばら「紳士淑女の皆様方、お目覚めはどうでしょうか?
 私、いばらと申します。長いお付き合いになるでしょう、私めのことは「ばち」とお呼びください。(みんな一斉に話す。一言二言で)それでは、以後お見知り置きを。」

モブ1「は!?自己紹介とか求めてねぇんだよ!」

カスミ「そ、そうよ!」

ヒロト「ここは一体どこなんだ?!」

(弱々しく独り言っぽく)
気弱なビビり「こ、こんな所にこんな人数集めて…。な、何をする気なのかな…?」


外面のいいヤバい奴「…お、大掛かりな撮影か何かかな?」

マイペースな子「それなら、何処かにカメラがあるかも!」

モブ1「いやいや、呑気なこと言ってっけど、仮にそうだとしても、無許可ってヤベぇだろ」

冷静な子「…(悩む様に)仮に誘拐だとしても、人数が多すぎますし」

気弱なビビり「…本当、何が目的なのか見当も付きませんね。」

いばら「その疑問、このばちがお答え致しましょう!(かぶせて。「見当も」辺りから入る)
 (ひとつ咳払いしてからでも可)皆様が此処に集められたのは、とあるゲームを、皆様自身で愉しみ、攻略して頂くためです。」

(各々反応してもろて)

モブ1「(一言二言後に)おい待て、何ふざけた事言ってんだ?(悪態付けて)」


ヒロト「本当に、何かの撮影か何かか?」

外面のいいヤバい奴「それなら、事前情報は必須ではないのかな?」

モブ1「いや、そもそも、んなくだらねぇ企画に乗るわけねぇだろ、付き合ってらんねぇ」

いばら「え?なんのゲームが気になる?教えて欲しい?(耳に手を当て聞き入れる様に)
皆様は本当に、待ての出来ない駄犬ですね(煽るように笑って)」

モブ1「は…?んなの聞いてねぇし、人の話聞けや」

いばら「(かぶせて、「の聞い」辺りから入る)そんなせっかちな皆様には、愉しい愉しい、脱出ゲームをして頂くんです!」
(セルフで盛り上げる)

モブ1「聞けよっ!」
(セルフ盛り上げとかぶる様に)

マイペースな子「脱出…?」

気弱なビビり「(小さく“あ”とか入れても可)協力プレイが重視のゲームだから、この人数」
(どこか納得したように)

外面のいいヤバい奴「(なるほど等入れても可)…集められた人数に納得は出来ましたが、初対面の多いこの環境で、協力プレイというのはなかなか厳しいのでは?」
(後半は悩みながら)

カスミ「(かぶせて、「なか厳」辺りから入る)は?何すんなりと受け入れてんのよ」


マイペースな子「オンラインゲームみたいだね」

気弱なビビり「!!…確かに。」

モブ2「え…?なんかすんなり受け入れて、考察してません…??」

カスミ「順応性高くて逆に引くんだけど?」

冷静な子「…オンラインゲームの法則性を借りるならば、ここに集まった人達には、何かしらの共通点があるのかも知れませんね」

(誰でもいいから“共通点”を反芻)

いばら「皆様、いい線でしたね。聞いていて楽しかったですよ。
さて、考察も程々に、軽い説明でも致しましょうか。」

モブ1「あ?おい!やるなんて誰も言ってねぇぞ」

いばら「(かぶせて、「るなん」辺りから入る)リタイアやご帰宅はご自由ですよ、私は止めません。」


カスミ「(くいぎみ、「ません」辺りから入る)リッ…リタイアする!!します!!」


いばら「(くいぎみ、「します」辺りから入る)ただし、2人以上の参加が無かった場合や、残って頂けなかった場合は、皆様仲良くここで飢え死にを待つ羽目になるかと」


カスミ「(ひゅっと息を飲む)」

モブ1「あ?2人残れりゃいいなら、俺は帰るぜ」

いばら「…おや、そう即答されてしまうと残念に思ってしまいますね…(悲しそうな声色)
(ボタンを押す音と同時にモブ1の頭が弾ける)
(声色が一変して戻り)さっ!他に帰りたい方は?」

(「え?」「は…?」等、各々反応してもろて)

カスミ「あ…ぃ、いやぁぁあああ!!」

マイペースな子「(カスミの声に驚いて、外面のいいヤバい奴に抱きつく)」

外面のいいヤバい奴「大丈夫、大丈夫だからね」(マイペースな子の耳を塞ぎ抱きしめる)

気弱なビビり「(放心、小さい声が漏れつつ)」

ヒロト「か、カスミっ!落ち着いて…ほら、俺がいるから、大丈夫、大丈夫だぞ。」
(喚くカスミを宥め)

カスミ「っ〜!?〜〜!!…っ…はぁはぁ…。」(声にならない叫びから、次第に落ち着いていき。)

冷静な子「(カスミが落ち着く前に)…っいばら…でしたか?どうやって殺したんですか?」

いばら「え〜?ばちとお呼びくださいよ〜」
(じゃれ合うような、呑気な声色で)

外面のいいヤバい奴「(かぶせて、「ちとお」辺りから入る)目立つ動きは無かったし、銃じゃ出来ない所業だ、何で盛大に破裂させたんでしょうか?」

いばら「…あら。よく見ていらっしゃるんですね。」(つまらなさそうに返答)

外面のいいヤバい奴「因みに、ボタンを押す音も聞こえてましたよ?(にこやかな声色で)」


いばら「(不服そうな声を小さく漏らしてから一変)…実は、彼の頭の中にチップを埋め込んでいたんです。貴方の予想した通り、私の持つボタン1つで起動する、起爆装置なんですよ(愉快そうに語り)」


(絶句だったり、取り乱したり、息が荒くなったり等、各々反応してもろて)

カスミ「…っ〜!!」
(完全に取り乱し、言葉にならない声を上げ髪を掻き毟る)

いばら「?…あっ、いえいえ、彼は“頭”であっただけで、皆様も“そう”というわけではありませんよ?」(愉快そうに意地悪く笑いながら)

外面のいいヤバい奴「…え?」(少し震えた声)

いばら「理解出来てなさそうですね」
(安定の嬉しそうに)

ヒロト「分かりやすく説明しろ!」

いばら「そう、怒鳴らなくてもいいでしょう?」

ヒロト「うるせぇ!!こっちは命掛かってんだぞ!!!」

いばら「あ〜、はいはい(呆れた声から愚痴る声に変わって)、これだから短期は怖くて嫌なんです。
(ヒロトが噛み付くように悪態を着く)え〜、こほん(咳払いのタイミングで、声色が元に戻る)。この起爆装置、人によって物も場所も違うんです、大きさもバラバラなので、起動時の威力も異なるという、何とも魅力的なアイテムを、皆様に着けてさしあげました」

外面のいいヤバい奴「チップ型だけでは無い…っ!!…ピアス穴なんてこの子には…!!」
(塞いでた耳を触る)

マイペースな子「っ!?お、お父さん…?」
(ピアスに気が付き、顔をあげさせられ驚く)

カスミ「やだっ!何よこれ!!」
(かぶせて、「おと」辺りから入るか、驚いた声の後、何方からでも可)

(そんな2人の反応を見て、各々自分の起爆装置を探す。身につけている人らは外そうと、見当たらない人らは焦って)

いばら「あ、外したら起爆しますからね、悪しからず〜。(にっこり愉しそうな声色から、圧のある重たい声色で)…で?他に還られる方は?」
(一変した雰囲気に息を飲み黙る)
いばら「そうですか!そうですか!!では、皆様!この脱出ゲームを思う存分愉しんで行ってくださいませ!!」
(雰囲気が元に戻り、酷く愉快そうに言ってフェイドアウト)